今回の食事は、本人の希望で焼肉だ。
「あ~焼肉とかチョー久々ぁ~」
「そうなの?」
「普段あんまり外に食事とか行かないんだよねぇ~」
「えっ、自炊してるってこと!?」
「何、その反応! 店長失礼すぎるんですけど(笑)」
このギャルギャルしい見た目で「自炊してます!」なんて言われれば、みんな同じような反応を示すと思うのだが…。
それはさておき、助手席でキャッキャッと無邪気に笑いながら話す彼女は、とても愛らしく見えた。
スタイル抜群で濃いめのメイクとくれば、どうしても高飛車に見られてしまうネネ。だが、実際に話してみれば分かるが、愛嬌ある性格とのギャップにやられてしまうお客様が多かった。
(男心をくすぐるんだよなぁ…)
そんなことを考えながら焼肉屋に到着。駐車場に車を止める。
「よぉーし、食うぞ! 飲むぞ~!」
「ネネちゃん明日も出勤なんだから、ほどほどにね(笑)」
「はぁ~い」
本当に聞いているのか不安になるような、流すような返事だった。
※※※
「うへへ…飲み過ぎちゃいますた」
「だから言ったのに」
千鳥足になりながら、私の肩につかまって歩くネネ。
調子に乗って何杯もおかわりするからだ。
「大丈夫? ちゃんと帰れる?」
「えぇーてんちょー送ってよぉ」
「うーん、俺もお酒飲んじゃったからなぁ…」
代行で家まで帰るつもりだったが、とんだ誤算だ。
せっかく美味しい思いができそうなシチュエーションなのに。
でも、ここでホテルに誘うのもなぁ…。
そんな下衆な考えを巡らせていると、ネネから思いもよらない発言が。
「だいじょーぶ! ウチの家、ここからタクシーでワンメーター!」
「よし、乗ろう」
彼女の言葉を聞いて、すぐさまタクシーに乗り込んだ。
「てんちょーもちろん上がっていくよねー?」
「そうだね、ちょっとだけお邪魔しようかな」
「…あ、えっちなこと考えてる?」
「…ちょっとだけ」
「んふふ~だよねぇ」
完璧にいただけるパターンのやつだ、コレ!
テンションが上がったことが相手にバレないよう、心の奥に抑え込む。
そのうち、彼女のマンションに到着した。