世にも珍しいAV脚本家・色川ザクロ、伝説のイメクラ『ファイブドアーズ』跡地を行く~風俗史跡探訪~

※イメージ画像:Thinkstockより

 
【色川ザクロの風俗史跡探訪】

 
 事務所というよりは、まるで書斎のようなメンズサイゾーの編集室で打ち合わせを済ました後、少し時間が空いた私は、久しぶりに夜の渋谷を歩いてみることにした。

 今でこそ滅多に足を踏み入れなくなったが、渋谷は十数年前まで、ほぼ毎週のように訪れていた場所である。

 この界隈には、当時、イメクラと呼ばれる風俗店が多数存在していた。

 イメクラとは1990年代にファッションヘルスから進化した「イメージクラブ」の略称で、店の女の子がコスチュームを着て、「教師と女生徒」や「上司とOL」などのシチュエーションでプレイする風俗のことだ。

 本来は直線的なはずの性行為をあれこれデコレーションして楽しむのは、ある意味、凝り性な日本人ならではの遊び心である。

 全盛期の渋谷には『NEWたまご』や『スプラッシュ』、『くらぶう~まん』に『年中夢中』など、伝説的な名店が多彩なコスチュームを揃え、質の高いサービスを提供していた。

 なかでも白眉だったのは、道玄坂にあった『ファイブドアーズ』(5DOORS)だ。この店はSMルームやオフィスなどの本格的なプレイルームをいくつも備えた、まさに王道を行くイメージクラブであった。

 もっとも往時を知らない世代にあえて説明しておくと、いくらストーリープレイを生業にするイメクラ嬢とはいえ、きちんとした芝居ができていたわけではない。たいていの女の子は学芸会レベルの演技力だった。だが、当時の客はその斬新な背徳的シチュエーションを味わえるだけで、十分満足だったのである。

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