「アイドルデフレ時代」になっても、きっと楽しいよ! 2014年アイドルポップスベスト10まとめ


■5位:BELLRING少女ハート「UNDO THE UNION」(AqbiRec) 
 

1229_aidolpop_bell.jpg※画像:BELLRING少女ハート『UNDO THE UNION』AqbiRec

 

 本来なら先行シングル「EPEP EP」に収録されていた「男の子、女の子」を選出する予定だったが、年の瀬に届けられたアルバムがトチ狂ったかのようなヴォリュームと内容であったためにアルバムを挙げることとした。

 Blurの「Song 2」のオマージュ、というかなんというかでおなじみの「c.a.n.d.y.」も収録しているので、その動画を貼っておくが、「男の子、女の子」はメンバーの声のみで構成された楽曲だ。ピグミーのポリフォニーは「森のシンフォニー」と呼ばれるが、BELLRING少女ハートの場合はそれを雑にして、機械を通して変質させて作った「狛江市のシンフォニー」(事務所が狛江市にある)といった感のトラックである。アルバムでは最後を飾るスウィング・ジャズな「Revelry!!!」が新鮮で、そのにぎやかなサウンドがBELLRING少女ハートのかしましさと実によく似合う。

 そしてプロデューサーの田中紘治は、ゆるめるモ!の田家大知と並ぶ「今、倒れないでほしい運営」のひとりだ。

 
■6位:うどん兄弟「立入禁止」(P-VINE RECORDS) 
 

1229_aidolpop_udon.jpg※画像:うどん兄弟『ラストアルバムvol.1』P-VINE RECORDS

 

 
 ANNA☆Sのワンマンライヴに登場するだけのはずの、ほぼ同じメンバーによるラップユニットが、なぜかカーネーショントリビュート・アルバム「なんできみはぼくよりぼくのことくわしいの?」に「Edo River」のカヴァーで参加することになり、さらにアルバム「ラストアルバム vol.1」まで制作する事態に。鈴木慶一、柴田聡子、カメラ=万年筆などを作家に迎えた中でも、特に秀逸なのがカーネーションの直枝政広が作曲した「立入禁止」だ。カーネーションの1994年作「a Beautiful Day」あたりに収録されていてもおかしくない爽快にして美しいメロディーの楽曲。プロデューサーの西田一生のもとで育てられてきたうどん兄弟の歌のうまさも光るが、特に素晴らしいのがメンバー自身による歌詞。カーネーションの「Edo River」を踏まえて、女の子の側の視線で描いた歌詞なのだ。これがLINEグループで作られた、という事実にも驚いた。

 この「立入禁止」は2015年にアナログ7インチ盤によるシングルカットが決定している。

 
■7位:バンドじゃないもん!「ツナガル!カナデル!MUSIC」(PERFECT MUSIC) 
 

1229_aidolpop_band.jpg※画像:バンドじゃないもん!『ツナガル!カナデル!MUSIC』PERFECT MUSIC

 「バンドじゃないもん!のこういう曲が聴きたかったのだ……!」と思わず感動した、天照大桃子、甘夏ゆず加入後のシングル。原点回帰として、初期楽曲を手掛けていたミナミトモヤが「ツナガル!カナデル!MUSIC」、大場康司がカップリング「プリズム☆リズム」を作曲している。

 初期楽曲の大半を手掛けていたミナミトモヤによる「ツナガル!カナデル!MUSIC」は、そのポップさ、キャッチーさはもちろんのこと、彼の手によるメンバーの歌割が、その声質やキャラクターを把握した完璧なものであることに感動した。

 2014年のバンドじゃないもん!はワーナーミュージック・ジャパンとの契約が終了することになったが、インディーズでリリースしたこのシングルがオリコン週間シングルランキングで14位を獲得したことは痛快であり、快哉を叫びたい気分になった。

 
■8位:lyrical school「FRESH!!!」(T-Palette Records) 
 

1229_aidolpop_lilical.jpg※画像:lyrical school『FRESH!!!』T-Palette Records

 

 11月には恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライヴを大成功させ、シングル「PRIDE」をオリコン週間シングルランキング9位に入れることになるlyrical schoolが、7月にリリースしたシングル。ヴィデオ・クリップにも登場するtofubeatsがプロデュースした作品で、Madonnaの「Holiday」ネタを入れたり、アコースティック・ギターを小粋に使ったりと、ヒップホップグループとしてのlyrical schoolと、ポップス職人としてのtofubeatsの実力が拮抗している楽曲。「プチャヘンザ!」以来とも言える会心のパーティーチューンだ。

 ちなみにlyrical schoolは、tengal6時代も含めると、このアイドルポップス年間ベスト10に5回中3回エントリーしている。センスは衰えないし、クオリティも落ちないのだ。

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