苦痛と快感は紙一重!? スタンガンに撃たれた100人の“イキ顔”ポートレイト


 当初、静止画のポートレイトを撮ることが目的だったホールだが、スタンガンを撃たれる前から撃たれた瞬間、そしてその後、といった瞬間瞬間で目まぐるしく変わっていく被写体の表情をスローモーションの動画に収めたいと考えた。

「表情が不安から苦痛、喜びや怒りなどに刻々と変わっていくのがすごく面白い。男性は怖がったり、痛そうにしているんだけど、女性はなんだか楽しそうなんだ」

 やはり、女性は痛みに強いのだろうか。そして、ホールは被写体だけでなく、スタンガンを撃つ側にも着目した。

「撃つ側の表情も豊かだったから、そちらも動画で撮ることにしたんだ。被写体とは対照的に、撃つ側はみんな、知り合いを痛めつけることにワクワクした表情をしているんだけど、中には撃った瞬間に罪悪感のある表情に変わる人もいたよ」

 撮影された動画は、被写体だけ、被写体とスタンガンを撃つ人、そしてメイキングの3種類ある。動画の中の人々の表情を見ると、人はこんなにも複雑な感情の機微を表情の中に表しているのかとハッとさせられる。嘘偽りのない、“本当の表情”がこの中には収められているのだ。

 我々の日常生活は、取り繕った表情で埋め尽くされている。外では職場の女性が愛想笑い、家では恋人や妻がイッたフリ(残念だが、多くがそうだ)。セックス中の快感の表情は苦痛の表情に似ているとよく言われるが、このスタンガン・ポートレイトを見て、“本当のイキ顔”を学んでみてはいかがだろうか。
(文=ツジエダサト)

■カメラマン本人によるプロジェクトの紹介記事(https://fstoppers.com/taserphotoshoot

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