伝説の鬼畜ライター「村崎百郎」の記念館が完成! 妻・森園みるくが語る“鬼畜”の素顔

伝説の鬼畜ライター「村崎百郎」の記念館が完成! 妻・森園みるくが語る鬼畜の素顔の画像6「村崎百郎館」では村崎氏がゴミ漁りで集めた数々の品物が展示されている

■まさかの「少女漫画」好き

──村崎さんの本好きは異常なほどだったようですね。

森園:集めていた本は魔術系やスピリチュアル系が一番多くて、犯罪系、バロウズ(※)、クロウリー(※)なんかもたくさんありましたね。「月刊ムー」(学研)もほとんどのバックナンバーがそろってたと思いますよ。クロウリーなんかは、同じ本が部屋から10冊近くも出てきて驚きました。

きめら:多分、あまりに部屋が本で埋もれていたので探すのが面倒になって、読みたくなったら新しく買っちゃってたんでしょうね(笑)。

──かなりジャンルが幅広いですね。

森園:それだけじゃなく、ほかにもいろんな本がありました。少女マンガも大好きでしたね。比較的最近の作品では、『君に届け』(椎名軽穂・著/集英社)にハマって心をわしづかみにされたみたいでしたよ。

──え! 村崎さんが『君に届け』ですか。

きめら:あとは80年代の「ぶ~け」(集英社)が好きでしたね。吉野朔実さんとか。それ以外にも萩尾望都さん、山岸涼子さん、まつざきあけみさんとかも。

──かなり意外ですね。少女マンガ好きというイメージは読者にはなかったと思います。

森園:少女マンガの作風と自分の感性が似てるって部分があったんじゃないですかね。村崎は女性的な感性の人でしたから。ナイーブで傷付きやすい。といっても、つげ義春さんや根本さんとか「ガロ系」も好きでしたし、田亀源五郎さんの作品なども読んでいましたけどね。

きめら:少女マンガといえば事件が起きる少し前、たまたま本屋に行って内田善美さんの『空の色ににている』(集英社)を買ったんです。それを村崎さんにメールで伝えたら「それは近しい人が去っていく本だよ」と教えてくれて。それが最後のメールでした。

※ウィリアム・S・バロウズ:1914年生まれの米国の作家。97年没。1950~60年代を中心に数多くの歴史的傑作を残した。文章をバラバラに刻んでからつなげる「カットアップ」手法を多用したことで知られ、代表作の一つである『裸のランチ』はデヴィッド・クローネンバーグ監督の手で92年に映画化されている。ニルヴァーナのカート・コバーンら著名人の熱狂的ファンも多く、村崎氏に大きな影響を与えた人物。

※アレイスター・クロウリー:1875年生まれのイギリス出身の高名な儀式魔術師。1947年没。厳格なキリスト教教育への反発によって少年時代からオカルトに傾倒し、世界各国を歴訪しながら神秘学やヨーガなどを習得。エジプトで接触した霊的存在「アイワス」の声を書き留めた「法の書」を記し、1907年に同書を聖典とした魔術結社『銀の星』を創設した。後年は信者とともにドラッグやセックスを用いたエキセントリックな儀式をしていたとして批判も多い。没後70年近く経った現在もオカルト界のカリスマ的存在であり、フォロワーにジミー・ペイジ、デヴィッド・ボウイ、オジー・オズボーンら著名ミュージシャンが多いことでも知られる。

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