制作費カットで火の車! 低予算、貧乏番組の涙ぐましい努力

※イメージ画像 photo by ISSL from flickr

 先日、「オープニングのタイトルバックだけ撮りに海外に行った」とW浅野がSMAPの特番で話していた。「W浅野」と言っても分からない御仁もいようが、とにかくバブル時のテレビ番組のお金の使い方はハンパではなかったと言われる。そこで業界歴15年以上のテレビ関係者に、いろいろ当時のことをうかがってみた。まずは、羽振りが良かった昔の制作現場の様子から。

「昔はホントに良かった。会議中でも出前を取ったり豪華な仕出し弁当が出たり。収録や打ち合わせが深夜にズレこむと、必ずタクシーチケットがもらえましたし。ロケにかけるお金もすごかったです。『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ)では1回1億円使ってました。沖縄にロケの下見だと言って1カ月前からスタッフ全員で前乗りして毎晩酒盛りしていたようで…。実際のロケでは、米軍の協力のもと、戦車をバンバン動かしてました。とんねるずの番組でも、レギュラー1本で2億使ったと聞いたことがあります」

 …2億!? 本当なのだろうか。いずれにせよ、今や会議ではお菓子もジュースもなく、深夜に仕事が終わっても自腹で帰るのが常。ロケの下見も、深夜の高速バスに、何が楽しいのか男2~3人でわざわざ8時間かけて乗り込んで行くこともあるそう。ゴールデンタイムの予算は3000万円が平均だ。ほかにはどんなところで予算削減を感じるのだろうか。

「視聴者の目に触れている部分では、ニュースやワイドショーの生中継が、携帯による動画になったりしています。あと再現ドラマの役者。実はアレ、ADが役者をやっているときもあります。ハウススタジオを借りるお金がない場合、部屋の中での再現エピソードはディレクターやADの家で撮ったりもします」(同)

 さらにバカにならないのは、映像を編集する編集所のレンタル代だとか。

「1時間でいくらと決まっているのですが、料金を切り詰めるために編集も早く切り上げろと言われることもあります。海外ロケを終えたディレクターは、日本へ帰る飛行機の中で自分のパソコンで編集することも。到着後の編集時間を短くするために。疲れてるから効率は上がらないとは思いますが」(同)

 ほかには、台本も、以前はきちんと製本会社で印刷されたものだったのが、現在は単にプリントアウトされた紙をホッチキスで止めたようなものになったり、編集でも、音効(選曲)まで自分でやる番組もあったりするという。かつては何十ページとあった会議で読まれる紙も少なくなっているとか。

 しかし、お金がなくても『水曜どうでしょう』(北海道テレビ)といったヒット番組が生まれるように、テレビマンの頭脳に期待したいところだが…。

「東京の空気として、特にゴールデンタイムは見るからに安っぽい番組を敬遠しがちです。逆に『低予算番組』と自虐的に謳うことでハードルを下げないと観てもらえないところがあります」(同)

 ただ、まずは、お金が無くても面白いものが作れることを信じて疑わないテレビマンを育てることも大事なような…。

 今日のテレビ欄にも、芸能人がひな壇に座る、似たような番組が並ぶ。そもそも、あなたはテレビを見てるだろうか?
(文=今井良介)

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