『アゲるテレビ』打ち切りは大粛清の幕開け!? 凋落のフジで何が起こっているのか

※イメージ画像:フジテレビ系『アゲるテレビ』オフィシャルサイトより

 今年4月にスタートしたフジテレビ系の情報番組『アゲるテレビ』(月~金曜・午後1時58分~)が、9月いっぱいで終了することが分かった。情報番組がわずか半年で放送終了となるのは異例中の異例。かねてから同番組の苦戦は局内でも問題となっており、重点的なテコ入れが急務とされていたが、結局は半年で打ち切りという判断が下ったようだ。終了後、同放送枠はドラマの再放送枠に切り替えられるという。

 同番組はスタートから波乱含みだった。当初はフリーアナウンサーの大塚範一アナ(64)と元日本テレビの西尾由佳理アナ(36)をメインキャスターに起用して話題を集めたが、放送開始直前に大塚アナが急性リンパ性白血病を再発させて降板。さらに、大塚アナと西尾アナの不仲説まで浮上し、ネガティブな話題ばかりが先行した。

 昔ながらの下世話なワイドショーとして人気を博している『ミヤネ屋』(日本テレビ系)に対抗する形で差別化を図ったが、視聴者には受け入れられず、視聴率は1%台を記録するなど全く太刀打ちできなかった。6月にテコ入れ策として同局の軽部真一アナ(50)が加入したが、平均視聴率は同月中も3%を超えることはなく、わずか半年での打ち切りに至ってしまった。

「6月に新社長に就任した亀山氏は『視聴率の回復が一にも二にも大切』とし、番組編成の改革を推し進めていく意向。亀山氏は『踊る大捜査線』などのヒット作をプロデュースしてきた実力派ですが社内に敵も多いため、大ナタを振るって権力を示す必要がある。その手始めとして、低視聴率続きだった『アゲるテレビ』が粛清された。フジは今期スタートしたドラマやバラエティーが好調ですが、どの番組も落ち目になれば早期打ち切りはありえる。視聴率が今一つなのに惰性で続いている番組も数多くある。そういった番組は、近いうちに粛清の対象になるでしょう」(テレビ誌ライター)

 視聴率的に『アゲるテレビ』の終了はやむなしといったところだが、大ナタを振るったにもかかわらず、後継番組がドラマの再放送に内定したということに疑問の声も上がっている。

「往年の人気ドラマの遺産があるフジにとって、ドラマの再放送は手堅い。ソフト販売や新番組の番宣につなげることもできますし、悪い選択ではないでしょう。しかし、それでは他局に勝つことは絶対にできない。全体的に視聴率が落ち込んでいるフジが勝負を捨てて手堅い策に逃げれば、ジリ貧状態が加速するだけ。新社長就任で改革の機運が高まっているのに、こんな編成をしているようでは、もうフジが浮かび上がることはないのかも…と思えますね」(前同)

 確かに局を挙げて取り組んだ『アゲるテレビ』の失敗は痛かったが、敗北宣言をしてドラマ再放送に逃げるという策はフジの凋落を余計に印象付けることになりかねない。新番組で巻き返しという案は出なかったのだろうか。

「視聴率1%台まで出した番組ですから、その後継番組を担当したがる人間なんて局内にいませんよ。改革はいいのですが、大ナタを振るわれれば局内で失脚するきっかけになりますし、更迭の口実にもなる。みんな怖がって、手堅い企画にしか手を出したがらないのが現状です。ドラマの再放送枠にするという安直な判断は、その最たる例といえるでしょう」(テレビ局関係者)

 長らく視聴率が苦戦し、民放3位にまで落ちたことで広告収入もガタ減りしていると伝えられているフジ。局内の空気は厳しさを増しているようだが、落ち目になっているのに守りに入るという戦略では、凋落を止めることはできないだろう。同局が黄金期に掲げていた「楽しくなければテレビじゃない」の精神を取り戻して、斬新な企画で勝負に出てほしいところだが…。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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