格好良すぎる! “あっぱれ”さんまの名言集

※イメージ画像:『マンスリーよしもとPLUS
2010年2月号』
ワニブックス

 先日発表された「第5回好きな司会者ランキング」(オリコンスタイル)で2位を獲得し、これまで全5回のアンケートすべてでトップ5入りを果たした明石家さんま(57)。2月1日深夜には、28年ぶりとなるNHK出演が話題になるなど、デビューから40年近く経てもなお衰えない活躍ぶりを見せている。そして今改めて、そんなさんまの長い芸歴から生まれた名言の数々がネット上で話題に上がっている。

 たとえばさんまの有名な言葉といえば、娘IMALUの名前の由来とも言われている「生きてるだけでまるもうけ」というものがある(大竹しのぶは「今を生きる」からと)。ネットで「さんま 名言」と検索すれば必ず上位にくるこの言葉は、彼の、底抜けに明るくて何事も楽しくしようとする精神が如実に表れているといえるだろう。またほかにも「やろうとすれば出来んねん、人間みたいなもんは」や「いっぺん夢中で生きてみい。毎日が夢中や」というさんまの前向きな言葉がネットユーザーたちの心を掴んでいるようだ。

 さらに、ネットユーザーたちは、過去に放送されていた『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)で、テストがうまくいかなかった子供たちに向けてさんまが言った「満天(満点)は星空だけでええねん」という言葉に、「ロマンチストすぎる」「オレも言われたかった」などと感銘を受けた様子を見せる。そして、「人にやさしくできる人は それ以上の哀しみを背負っている」というさんまの言葉の裏には、若いころに弟を失っている彼の悲しい過去がにじみ出ている、と彼の言葉が上辺だけのものではないことに深く感心しているようだ。

 そのほかにも、「人間生まれてきた時は裸。死ぬ時にパンツ1つはいてたら勝ちやないか」や「恋に勉強なんてないんや。勉強したつもりでも、新しい恋が始まって気が付いたらまた何にもわかってない自分がおる。それが恋ってもんや」「結婚はゴールではない! スタート! しかも途中から障害物競争に変わる。といった名言の数々に「格好良すぎる」と拍手を送る。

 そんなさんまについて、作家の長部日出雄(おさべ・ひでお)氏は『ラジオ深夜便』(NHKサービスセンター)に「聖徳太子と明石家さんま」というエッセイを寄稿し、1985年から3年間放送された『テレビくん、どうも』(フジテレビ系)での共演体験から、さんまの天才ぶりを賞賛。「ぼくの人生で、いちばん聖徳太子に近いとおもわれたのは、明石家さんまさんだ」と評した。その理由について、「絶妙なリアクションのもとになっているのは、膨大な数のボキャブラリーを脳裏に蔵する記憶力と、その中からその場にいちばん合った言葉を瞬発的に選び出す判断力で、つまりあれが現代の聖徳太子なのである」というのだ。

 そして長部氏は、聖徳太子に必要なものは「耳」だといい、誰よりもよく喋ることで有名なさんまの才能の秘密を「耳」にあるのではないかと分析する。確かに「聞く」ことが正確にできなければ、その受け答えもちぐはぐになってしまう。さんまの場合、それがいつでも絶妙なのだからやはり聞く力は並大抵ではないに違いない。しかも、そうして耳にした言葉を瞬時に計算して、すべて笑いに持っていくのだから、その能力はもはや聖徳太子以上かもしれない。

 そしてなにより、さんまの凄さはすべてを笑いに捧げている点だ。つまり、ネットユーザーたちが話題にするさんまの名言というのも、その後に続く笑いへの布石にすぎない。だから彼はオチの笑いの前にギャップをつけるため、その前段階の言葉はことさらロマンティックにする。明石家さんまの言葉が名言として注目されるのは、彼が常により大きな笑いを狙っているためなのだろう。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

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