アダルトビデオ30周年記念【AV30】感謝祭イベントレポート

AVの今と昔を知る賢人会議の様相。AV業界はまだまだアツイ!!

 30年に及ぶアダルトビデオ業界の歴史と業績を讃え、時代とメーカーの枠を超えた奇跡のコンピレーション作品をリリースしてきたAV界初の一大プロジェクト【AV30】(主催・オールアダルトジャパン)。今年1月にスタートし、参加メーカーは新旧交え69社。半年間で30タイトルをリリースし、流行と共に消費されてきたアダルトビデオの歴史を纏めた貴重な資料として、ファンのみならず業界関係者からも高い評価を受けている。

 そんな【AV30】プロジェクトが、多くのファンの要望に応え、6月21日(木)に新宿ロフトプラスワンにて公開トークイベント『アダルトビデオ30周年記念【AV30】感謝祭』開催した。

 この日、登壇したのはAV界を代表する7名。『メーカー横断ベスト!!!8時間』シリーズがリリースされ、今やAV業界を代表する存在となった麻美ゆま、出演本数1,000本オーバーにもかかわらず“名誉処女”と呼ばれる永遠のロリ女優・つぼみ、90年代を代表する元AVアイドルの小室友里、さらに、日本一のカリスマ・ハメ撮り監督であるカンパニー松尾に加え、プロジェクトの運営に携わってきた有名AVライター陣、安田理央・沢木毅彦・大坪ケムタ(敬称略)である。豪華絢爛なメンバーの競演が実現したこともあり、前売りチケットは即日完売。会場には200名のファンが詰め寄せる熱狂ぶりをみせた。

 トークショーのテーマは『日本のAV界の歴史と現状』で、各コーナーに分けて熱い議論が交わされた。中でも印象的だったのが、AV制作初期から業界に携わってきたカンパニー松尾監督による本音トークの数々。

「最近のAV女優とAV男優はニュータイプ。AVを見て育ってきてるから“魅せるセックス”が自然とできるし、潮も簡単に噴ける。でも僕はシャアと同じでオールドタイプだからアムロにはなれない」

 そんな隠れた苦労話や、代名詞となっているハメ撮り撮影の楽しさと秘めたる苦悩を打ち明けると、会場中のファンが手を叩いて大爆笑。また売れた企画を各社でパクりあうAV界の現状についても熱く語った。

「今のAV界にはただのコピー作品が溢れている。コピーだから劣化する。本物の企画作品を作りたいなら、スタッフの中に一人でもいいからその分野に情熱的な人間がいなくてはいけないのだが、現状では誰も理解せずに企画をなぞっているものが多い」

 当然のことながら、各女優のトークコーナーも大盛況。最初に登場したつぼみちゃんは、1000本もの作品を撮影しながらもデビュー当時のままのロリ美少女を貫き続けている秘密を問われ、

「変わって欲しいと言われたことがないからです」

 と、恥ずかしそうに告白。また、2万人の女優の中からナンバー1女優を決定する一般投票でグランプリに輝いたという結果を知らされると、さらに照れた表情でこう答えた。

「『やった~』って感じではないです。実感がなくて。でも2万人の中の一番と聞くと嬉しいですね」

 また麻美ゆまちゃんのコーナーでは、30年の歴史に中で変化していった巨乳女優の基準について語られた。MCの小室友里さんが、「私もたまに巨乳女優として紹介されることもあったけれど、今では絶対にありえない」と話すと、ピンク映画の時代からアダルト業界に携わっているライターの沢木氏がこうコメントした。

「昔はDカップが巨乳と言われ、最近まではFカップが基準になっていた。でも、麻美さんの登場によってサイズが大幅にアップして今ではGカップ以上が巨乳と言われている。昔だったら麻美さんみたいにHカップの女の子は爆乳カテゴリーだったよ」

 それに答えた麻美ゆまちゃんは、驚きの表情を浮かべながら本音をポロリ。

「“爆”はちょっと……。やっぱり“巨”がいいです(笑)」

 そして、このまま進化していけばHカップも貧乳扱いになってしまうかもしれないという議論に及ぶと、豊満なバストラインを手で覆い隠しながら「え~!?」と驚きの表情を浮かべ、さらに松尾監督にエアーパイモミをされ絶叫。またまた会場中に爆笑の渦が巻き起こった。

 ラストには全員参加(つぼみちゃんのみ仕事の為退席)のトークショーが行われ、会場はさらにヒートアップ。最近のAVでよくみられる性器の結合部分を接写する「ハメシロ」について、昔のAV作品はパッケージと中身が全く違っていたというありえない常識、潮吹きの今と昔など、AVファンにとっては貴重すぎる裏話が惜しげもなく語られていった。その他、松尾監督と小室友里さんによるハメ撮り風フォトセッションも行われ大盛況のうちに幕を下ろした。

 さて、イベント終了後に出演者たちに【AV30】プロジェクト総括を伺ってきたので紹介しよう。

カンパニー松尾監督(AV監督)
「今のAV界には若い人材が少ない。俺の8時間ベストが発売されてちやほやするようではいけないと思っています。もっと若い『ハメ撮リスト』が入ってきてほしいですね。このイベントをきっかけに若い世代に興味を持って頂きたいと思います」

小室友里さん(タレント、元AV女優)
「AV30年の歴史が詰まったそれぞれの作品は誰が見ても面白いと思います。私自身も藍染恭子さんの時代からはじまり最後に今のAVを観てみて、AVの歴史を振り返るプロセスを楽しんだ一人。ヌキは勿論、様々な楽しみを発見できる企画だと思います」

麻美ゆまさん(AV女優)
「今回の感謝祭に参加して、じわじわとAV30の魅力と熱気を体感できました。実はトークイベントに出演するのは初めてで、緊張して真面目な話ばかりになってしまって反省してるんですけどね(笑)。でも、皆さんの前でAVを真面目に語るという貴重な機会を頂き本当に嬉しかったし、私自身も勉強になりました。6月に発売される私のベストの見どころは、デビュー作からの変化。体型とか、苦手だった顔面騎乗を克服していった過程を楽しんで貰いたいです」

沢木毅彦さん(AVライター)
「30年間の作品を振りかえっていろんな発見がありました。今のAV女優さんはルックスが洗練されてきたと言われていますけど、昔の女優さんの中にも今の時代にタイムトリップしてきたらS1さんからデビューできる逸材がゴロゴロいるんです。スターは昔からスターなんですね。皆さんもそれぞれの発見があると思いますので、じっくり楽しんでいただければと思います」

大坪ケムタ(AVライター)
「お客さんがこんなに入ったのは凄いなと思いましたね。僕も『バカAV専門学校』というイベントを開いているけれど、ここまでのお客さんが入ったことはないし。このイベントに参加して、改めてファンの方たちもAVについて真面目に語りたいという意識が強いことを知りました。まだまだAV界も捨てたもんじゃないなと」

 最後に、今回のプロジェクトの監修者であるアダルトメディア研究家の安田理央氏に【AV30】プロジェクトの意義と成果を伺った。

「当初は数メーカーだったのが、企画意図に賛同してもらって徐々に増え、ここまでの大規模なプロジェクトを成功させることができました。これまでも過去の作品のオムニバスは数多くリリースされてきましたが、雑な編集が多い気がして、もっとちゃんと編集すればもっと楽しいものになるのにと思っていたんです。そこで、映像編集も自分でやらせて貰い、ライナーノーツも丁寧にかきあげました。ライターとして光栄でしたね。

 現在のAV業界は行き詰まり感が拭えないのですが、今回こうして多数のメーカーが手を繋いで協力しあったことでひとつの記録として残すことに成功しました。これをきっかけにぜひ多くの皆さまに興味を持って頂き、より多くのAVを楽しんで貰いたいと思います」

 【AV30】プロジェクトは、6月を持って第一期が終了。第二期として7月~8月の2カ月間に70タイトルの作品がリリースされることが決定しており、トータル100タイトルのリリースを持って完結となる。

 人気女優の8時間ベストを始め、各時代を彩ってきた伝説のAV女優の軌跡と渾身のエロスが詰まった壮大なコンピレーション作品群。AVファンは勿論、AVへの関心が薄い方たちにも、日本に根付いたサブカルチャーの一つとして新たな視点で楽しんで頂きたいと願う。
(取材・文=文月みほ)

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