警視庁が「2ちゃんねる」を強制捜査! ネットの健全化か、管理社会の始まりか

*イメージ画像:「2ちゃんねる」トップページより

 巨大掲示板「2ちゃんねる」に書き込まれた覚せい剤売買のやり取りを削除せず放置したとして、警視庁サイバー犯罪対策課が同掲示板のサーバー管理者の関係先など約10カ所を家宅捜索していたことが分かった。2ちゃんねるのサーバー管理会社と見られている札幌市のコンピューター会社「ゼロ」(同社はサーバー管理を否定)をはじめ、開設者で元管理人の「ひろゆき」氏の自宅や問題のある書き込みを削除する「削除人」と呼ばれるボランティアスタッフの関係先なども捜索され、警視庁は押収した通信記録などを基に2ちゃんねるの管理体制を解明する方針。

 家宅捜索の理由は、昨年5月に「1G-4・0万」などと覚せい剤売買を意味する書き込みをした男が逮捕され、2ちゃんねる側が警察などからの削除要請に応えず、当該の書き込みを長期間放置したことによる麻薬特例法違反のほう助容疑だった。2ちゃんねる絡みの薬物事件は多発しており、昨年12月に密売グループの10人が摘発される大がかりな逮捕劇も起きている。

 しかし、ネット上での薬物売買は2ちゃんねるに限らず、大手SNSのミクシィや小規模な掲示板などでも多くの逮捕者を出している。だが、SNSの管理会社や掲示板の管理者に「ほう助」容疑で強制捜査が入ったケースはない。

 2ちゃんねるが標的になった理由として、このような意見があるようだ。

「誰でも匿名で利用できるため、昔から犯罪に利用されるケースが多かったのは事実。現在は、IPアドレスやホスト情報を管理側が記録しているため、通信記録を調べれば利用者の特定ができるのですが、あまり広く認知されていないため犯罪に使ってしまうのでしょう。2ちゃんねるの方針として、良く言えばユーザーの自主性に任せる、悪く言えば野放し状態にしていたことも、犯罪を助長する結果になっている。強制捜査に踏み切った理由としては、管理側が警察に非協力的だったことが最も大きな要因でしょう。それに加えて初代管理人・ひろゆき氏が運営から身を引いてから、運営母体の実態が不透明になった。サイバー犯罪対策課としては、2ちゃんねるの実態をハッキリさせると同時に警察のメンツとして運営側を牽制しておきたいと考えていたのでしょう」(IT関係者)

 警察の削除要請を無視し続けたことが、異例の強制捜査につながったようだ。警察関係者は「削除要請が無視されれば、犯罪を止める手段はなくなる。2ちゃんねるはネットの健全性を損なっている」と捜査理由をコメントしているが、ユーザーの書き込みによって管理者が摘発対象になるという法の解釈には異論も出ている。

 過去には「学校裏サイト」に書き込まれた中傷を削除しなかった管理者や、児童ポルノ動画のリンクを表示した書き込みを放置していた掲示板管理者が摘発されたケースもあった。大規模なサイトや掲示板ならまだしも、個人運営の掲示板で全ての書き込みを監視し続けることは現実的に不可能であり、そんな義務があるのか?という疑問すら湧いてくる。

 だが、現実として”ネットの自由”の象徴ともいわれた2ちゃんねるが「ほう助」という容疑で強制捜査の対象になったことを見れば、ネットへの権力介入は進んでいくと思われる。現在の法律がネットの現状に追いついておらず、取り締まる側や法律・条例を決める政治家のネットへの理解も進んでいないため、不必要な摘発行為を生む危険性もある。この流れが本当にネットの健全化につながっていくのか、必要以上の権力介入によって自由が失われてしまうのか、全てのネットユーザーにとって無関係ではない問題として注視していく必要があるだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』

 
法規制は進んでいくだろうね


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