第2回

【ニッポンの裏風俗】顔見せが無くても人気の新地…大阪五大新地

photo by Raita MATSUMOTO 無断転用禁止

 大阪に残された五つの遊郭。その中で常にナンバー1の人気を誇るのは、前回紹介した飛田新地だ。その理由は、ズラッと並ぶ数多くのカワイイ女のコたちを顔見せで選べるというもの。しかし、顔見せが無くても人気の新地もある。その理由とは……。

 飛田に次ぐ人気の松島新地もその理由は飛田と同様。飛田新地に比べて、若干人妻系の率は高いが、100軒ほどある店には20代の女のコも増え、 20分1万円~という低料金に加え、シャワーを使わせてくれる店があったり、ブティック風のオシャレな外観にリフォームする店など、飛田新地と差別化をはかり善戦している。

 五大新地の中で最も小さい滝井新地に並ぶ店は現在10軒。周辺をマンションと民家に囲まれたその短い路地は、迷い込むか目的を持って来ない限 り、たぶん見つかることのないロケーションにある。

 滝井新地こそ、長い間『熟女ちょんの間』と呼ばれているが、たまに20代の現役キャバ嬢やアイドル並にカワイイ子がいたりもする、穴場ちょんの間でもある。料金は30分1万4,000円。オバちゃんに料金を聞いても、「女のコに直接聞いて」と教えてくれないちょんの間だが、たぶん、それがこの新地の規則なのだろう。

 顔見せのある新地に対し、同じ大阪市内にある今里新地は、知らない者が訪れると、遊郭というより韓国スナック街という印象の街へと大きく様変わ りしている。

 入り口にある『今里新地』というアーチをくぐって街を歩いてみると、古めかしくて控えめな遊郭の建物や看板、提灯よりも目立つのは、韓国のス ナック、料理屋の看板の方。それら飲み屋の並ぶすき間に、ポツポツと遊郭らしき建物が残っているだけ。現在も15軒ほどが遊郭として営業しているが、女のコの顔見せがなく、オバちゃんの呼び込みもない敷居は、常連以外には跨ぎにくいに違いない。

 そしてもう一カ所、和歌山県との県境にも近い場所にある信太山(しのだやま)新地が、松島新地に迫る勢いで人気が上がっている。そしてここもまた、外界とは遮断された一角に隔離されるように残されている新地である。

 信太山新地は、梅田駅からだと1時間以上もかかるうえ、顔見せも写真もなく、好みのタイプで指名するシステム。それなのに人気があるにはそれなりの理由がある。最大の理由は、料金の安さとサービスの良さだろう。

 日本の新地の相場料金は30分1万円。仮に15分で発射してもお釣りが返ってくることはなく、30分かかって発射できなくても全額返金システムなんてものもない。そう考えると、15分1万1,000円という飛田新地の料金は割高感は否めない。その点信太山新地の料金は、15分7,500円と格安だ。ヤリたい盛りの若者には十分とも思える時間とリーズナブルな料金設定、そして、置屋から派遣されてくる女のコのカワイさとサービスの良さがウケているに違いない。

 顔見せは客側にすれば嬉しいシステムだが、女のコ側にしてみれば、常に「顔バレ」の危険性がつきまとう。その点、信太山は少なくとも客と会うま では顔バレの心配が無く、一回の手取り料金は少なくても客数が多いためそこそこ稼げ、女のコにとっては労働条件の揃った職場といえる。

 女のコの応募が多くなれば必然的にカワイイ女のコも多くなり、採用する置屋の側からすれば、売れ筋の女のコを雇うことができる。さらに接客態度、サービスなど、客からの評判が良ければ、店の女将もそのコを呼ぶ回数が増え、女のコにとっては稼ぎが増えるという好循環となる。これこそが信太山人気の理由に違いない。

 2012年の日本経済もデフレスパイラルから脱却し、信太山スパイラルで浮上することを切願せずにはいられない。遊ぶ際はいいコが来たら、是非 ともダブル(30分)で遊んでいただきたい。
 
 次回は沖縄の裏風俗を巡ります。

(文=松本雷太)
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【ニッポンの裏風俗 バックナンバー】
第1回 昭和初期にトリップしたかのような街並み、大阪・飛田新地
第2回 顔見せが無くても人気の新地…大阪五大新地
第3回 政治に翻弄された沖縄風俗
第4回 四国裏風俗ルポ 香川・徳島・高知
第5回 四国裏風俗ルポ・松山
第6回 生駒新地
第7回 全国のポン引き地帯
第8回 本サロ、本ヘル
第9回 温泉コンパニオン
第10回 お手頃料金で遊べる温泉風俗
第11回 連れ出しスナック
第12回 アングラな風俗街として認知されてきた青線
第13回 アジアン風俗~二極分化する中国エステ~
第14回 一発屋旅館
第15回 立ちんぼ

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