なぜ韓国にできて日本はできない? 音楽産業の生き残り策「海外輸出」

※画像:Youtube DSP公式チャンネル

 米Googleが運営する世界最大の動画サイト「YouTube」に、K-POPミュージックの専用チャンネルが誕生することが明らかになった。YouTubeが特定の国の音楽専用チャンネルを設けるのは初。Googleのエリック・シュミット会長が韓国大統領府で李明博大統領と面談し、「専用チャンネル開設を含め、韓国文化コンテンツの世界進出支援プロジェクトを準備している」と伝えている。

 日本にも、東方神起や少女時代、KARA、BIGBANGなどの韓流アーティストが大挙して上陸し、一大旋風を巻き起こしているが、この流れを世界に拡大させる狙いがあるようだ。

「韓国は国家を挙げてエンタメ産業の輸出に取り組んでおり、専用チャンネルの開設によってK-POPをブランド化し、販売対象を世界各国に広げようとしています。YouTubeで無料でPVを流し、知名度を高めることで海外での音楽売上やライブ動員につなげるという戦略をとっていましたが、公式チャンネルが開設されれば世界的な売上を獲得できる可能性もあります」(音楽関係者)

 ネットの普及によってエンタメ産業もグローバル化しているが、韓国はその流れに国家を挙げていち早く乗ったということか。

 一方の我が国・日本は、音楽産業の海外進出は全く進んでおらず、韓国に水をあけられる形になっている。なぜ韓国にできて、日本にできないのか。

「韓国が音楽の海外輸出に躍起になる最大の理由は、国内の市場規模にあります。日本は売上が縮小傾向にあるとはいえ、音楽関連で3,400億円ほどの市場規模がありますが、韓国は日本の30分の1程度しかない120億円ほど。韓国国内だけでは、十分な収益が見込めないため、どうしても海外で売る必要が出てくるのです。また、韓国も経済が落ち込んでいますから、エンタメ産業で外貨を獲得したいという政府の思惑とも一致しました」(前同)

 日本のアーティストやレコード会社は、国内だけで十分な利益を得ることができたため、わざわざ海外に出るという道を選択する必要がなかったわけだ。しかし、音楽売上は急速に落ち込んでおり、音楽活動だけでは生計が立てられないミュージシャンや経営が悪化するレコード会社が増加している。このまま国内だけに閉じこもっていれば、いずれ音楽産業の崩壊を招きかねない。

 音楽に関しては”引きこもり”の日本だが、アニメやホラー映画などの分野では海外にも進出しており、政府の支援を受けて海外に売り込んだこともある。

「そういった場合でも、あくまで『海外で日本のアニメが人気らしい』『海外で日本のホラーが人気らしい』という評価が先にあって、後から政府が売りだしに協力したに過ぎません。国を挙げて海外に売り込んでいる韓国と比べると、かなり遅れをとっています。日本はエンタメ産業に対する公的な評価が低く、外国に評価してもらって初めて自信を持てる。『エンタメでは海外にかなわない』という負け犬根性が染みついていて、良いものを自分から外国に売り込むという意識がないのです」(芸能関係者)

 絶対的な技術力を武器に、工業製品などの輸出で世界有数の先進国となった日本。しかし、輸出産業にも陰りが見え始めた今、優れたエンタメを新たな輸出産業として育てることも、一つの選択肢なのかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

『ウィンターマジック』

 
日本進出は足がかりにすぎない?


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