セックスにおける演技は、相手に対する思いやり!?

sexengi0930.jpg※イメージ画像:『演技禁止! 乙音奈々』より

 私たち一般人も、ドラマや映画に出るような役者のごとく演技をすることがある。例えば、会社などの公の場では、本来の自分を抑えて、「人付き合いのいい自分」「面倒見のいい自分」を演じている人もいるだろう。それは決して悪いことではなく、仕事を円滑に進めるために、ある程度あって然るべきもの。では、セックスにおいての「演技」はどうだろうか。雑誌などのアンケートを見ると、半数以上の人が「セックス中に演技をした経験がある」と回答し、それに対しては「がっかりだ」「演技しないでほしい」という意見が多く聞かれる。

 そもそも、なぜ人は、セックスにおいて演技をするのだろうか? これに関しては、「セックスを盛り上げるため」という、いわゆる「演技というよりは演出である」という考えの人が多いようだ。確かに、マグロ状態でうんともすんとも鳴かない女体よりは、多少はよがったり、声を発してくれたほうがムードが高まる。なお、「声を発する演技」に関しては、「演技するのなら、海外のアダルトビデオのように大声をあげるよりも、声を押し殺すなど、情緒を大事にしてほしい」という人もいた。声を押し殺した様子で、背中に回した腕にグッと力を入れられたりすると、たまらないのだとか。ひとくちに演技・演出といっても、大根役者もいれば名役者もいるようだ。また、女性の中には、演技をしているうちに、本当に気分が高まり、結果的に気持ち良くなれるという人も少なくないので、演技することを頭ごなしに否定するのはちょっと待って頂きたい。

 他、女性から挙がった意見では、「早く終わらせたい」という理由で演技をするという人もいた。と、聞くと、男性は失望するかもしれないが、「早く終わらせたい」理由は、決してセックスが苦手という女性ばかりではないようだ。「あまりにも気持ち良すぎて、このまま続くとヘンになっちゃいそうなので」「快感と共に、何故か尿意が襲ってくる。万が一、漏らしてしまったらということを考えると、早く終わらせたい」とのこと。ゆえに、セックスでオーガズムを体感した経験もないのだそう。しかし、イカないことに対しては男性に申し訳なさを感じるので、イッたフリをして早めに終わらせているのだという。男性側にとっては、なんとも歯痒い女心である。

 ちなみに、「イッたフリ」の具体的演技プランに関しては、「イク」「イッちゃう」など言葉で表現するという人の他に、「体をヒクヒクさせる」という荒技(!?)を使う女性もいた。稀に男性間で、「女性がイッたかイッていないかを見分ける方法」が議論される際に、「俺のカノジョは体がヒクついているから、イッているはずだ!」という人もいるが、体がヒクヒクしたからといって、必ずしもオーガズムに達しているわけではないようだ。

 というよりも、女性がイッたかイッていないかを見分ける必要はないかと思われる。演技・演出をすることで、セックスが盛り上がるなら、それはそれで良いのではないだろうか。考えてもみれば、男性側とて演技・演出をすることもあるだろう。例えば、フェラチオされている最中、翌日の会議のことを考えたり、ふと視界に入った壁のキズが気になったりということは日常茶飯事だ。だが、そういった素振りはいっさい見せず、女性の髪を撫でたり、腰を動かして感じている仕草を演じることもあるはずだ。性器のフィット感においても、「すごいイイよ」などと言いつつ、実はたいして合っていないということもあるだろう。要するに、お互い様なのである。

 ただし、演技・演出方法については絶対に間違ってはいけない。アダルトビデオの男優に則って「むうぅ……うおおおおお!」など、明らかに不自然な声を発すると、女性に不信感を抱かせる原因になってしまう。そういった呻き声を好む女性もいないわけではないが、あまりにもオーバーな声に関しては「引く」という女性がほとんどだ。相手を思いやって演技・演出を取り入れたのに、引かれてしまっては本末転倒。あくまでも、ナチュラルな演技を心がけ、円満な肉体関係を保っていきたいものである。
(文=菊池 美佳子)

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