少年時の興奮を今一度! ウルトラシリーズの傑作『ウルトラQ』が総天然色で蘇る!!

 忘れもしない1966年1月2日の午後7時。全国の食卓にはおいしそうなお節料理が並んでいた。だが子どもたちの目は、白黒のテレビ画面を食い入るように見つめていた。突如画面に現れた不気味な渦巻き模様。それがグルリと回転を始め、次第に何かの形へと変わっていく。そして「キー、バタン」という効果音に合わせて形成された『ウルトラQ』のタイトルロゴ。実に衝撃的なオープニングで、またテーマ曲のカッコイイこと。一度聞いたら忘れないエレキギターのリフレインに、サックスがスイングするジャズ調のインストゥルメンタル。新番組『ウルトラQ』は、開始早々にして日本中の子どもたちを虜にした。

 このウルトラシリーズの記念すべき第1作目『ウルトラQ』には、怪獣と戦うヒーローは一切出てこない。大暴れする大怪獣や超常現象に対し、人間たちが知恵と勇気で立ち向かい事件を解決していくのだ。いや、事件が解決せず怪獣も退治されず、我々に思いっきり不安感を与えたまま終了してしまったエピソードも多い。「これで終わったわけではありません」みたいな、石坂浩二の救えないナレーションを添えて。

 主な登場人物は、航空会社のパイロット・万城目淳(佐原健二)とその助手・戸川一平(西條康彦)、新聞社の女性カメラマン・江戸川由利子(桜井浩子)の3人。あと、火星怪獣ナメゴンが現れた時、ナメクジに似ているからって「塩水を用意しなさい」と迷いもなく指示する白ヒゲの一の谷博士(江川宇礼雄)も忘れてはならない(それで溶けちゃうナメゴンもナメゴンだが)。でもこの博士、いったい何が専門なのか、やたら怪獣やオカルトに詳しいところが怪し過ぎだ。

 さて『ウルトラQ』はテレビ黎明期のモノクロ作品だが、このたび、当時の写真資料や徹底した時代考証、撮影スタッフ・出演者らの証言をもとに、最新のデジタル技術を駆使して人工着色され、総天然色『ウルトラQ』Blu-ray&DVDとなってよみがえる。カネゴン! ガラモン! ケムール人! 少年誌のカラーグラビアでしか色が分からなかった怪獣を、カラー動画で観ることができるなんて。個人的には、モノクロでは黒潰れしていた怪獣着ぐるみのディテール──シワや皮膚感──をしっかり確認したい。ここで珠玉のエピソードをざっと紹介しよう。

●第1話「ゴメスを倒せ!」は初回ということもあって、ゴメスVSリトラという2頭の怪獣が戦うサービス編。

●エネルギーを無限に吸収する文明の天敵・バルンガが宇宙から飛来する第11話「バルンガ」は傑作の呼び声高く、ラストシーンは必見。

●有名怪獣カネゴンが登場する第15話「カネゴンの繭」は、金に対する執着をやゆした超一級の寓話。

●医学の進歩による長寿で老いた体をもつケムール人が、2020年の未来(もうすぐだ!)から若い肉体を求めて地球人を拉致しにくる第19話「2020年の挑戦」はトラウマ必至。

 他にも第5話「ペギラが来た!」・第14話「東京氷河期」には冷凍怪獣ペギラ、第13話「ガラダマ」・第16話「ガラモンの逆襲」には隕石怪獣ガラモンと、番組を代表する人気怪獣が2度ずつ登場するのも嬉しい。そして、局から「難解だ」という理由でオンエアを見送られ、再放送でやっと日の目を見た第28話「あけてくれ!」も必見。会社や家庭に疲れた冴えないサラリーマンが異次元列車で現実逃避するという、怪獣も出ないお子様無視の異色作。脚本はなんと『金八先生』の小山内美江子!

 『ウルトラQ』は平均視聴率32.4%(関東地区、ニールセン調べ)という怪物番組だった。TBSの日曜夜7時台は、すでに放送されていた人気アニメ『オバケのQ太郎』と併せて、他局から「恐怖のQQタイム」として恐れられていたという。当時は映画全盛期。年に2回ほど、親にせがんでスクリーンの中でしか見ることのできなかった怪獣に毎週、しかも自宅で会える。これは児童文化史上の「事件」だった。『ウルトラQ』をまだ見たことのない人も、「モノクロだから怖かったんだよ」というオールドファンの方も、新鮮な感覚でカラー版『ウルトラQ』を体験してみるのも一興では?
(文=天野ミチヒロ)

天野ミチヒロ
5歳の時、リアルタイムで観た『ウルトラQ』に刷り込まれ、現在は本物の怪獣を追い求めてUMA研究家に。趣味は昭和怪獣フィギュア収集。
著書『放送禁止映像大全』(文春文庫)『未確認生物学!』(メディアファクトリー/武村政春共著)

『総天然色ウルトラQ DVD-BOX I』

 
あの怪獣たちがカラーで蘇る!


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ピグモンの勇姿をカラーで見る!


 

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よりキレイに見たい方はBlu-rayで!


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カネゴン、かわいいよ、カネゴン


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