21世紀の『スタ誕』となるか!? 新オーディション番組の裏事情

※画像は「スタードラフト会議」(日本テレビ系)より

 昨年12月に特番として放送された『スター☆ドラフト会議』(日本テレビ系)が、この4月からレギュラー番組として始まった。昨年の放送では “海パンカメラマン”こと野澤亘伸氏が芸能界デビューを果たし、新聞各紙をにぎわせた実績を持つ同番組。順調に彼のような人材を輩出することができれば “21世紀の『スタ誕』”になる可能性を秘めていると言ってもいいだろう。しかし先日の初回放送を見てみると、どうやら純粋なオーディション番組であった『スター誕生!』とは様子が違う。というのも、登場したスター候補生の誰もが完全な素人とは言い難かったからだ。

「例えば、岐阜で一番かわいいと紹介され番組に登場したドーキンズ英里奈は、すでに名古屋テレビで放送されている『ドデスカ!』という朝の番組のリポーターをレギュラーで務めています。まだ特定の事務所に所属していないということで言えば、素人は素人なのでしょうが、番組の関係者がそんな彼女の姿をテレビで見て出演のオファーをしたのではないでしょうか。もしかしたらすでに所属する事務所も決まっていて、『スタドラ』出演という肩書を付けてデビューさせようという完全な出来レースなのかもしれません」(業界関係者)

 また別の関係者は、レギュラー放送化された『スタドラ』についてこう語る。

「そもそも制作側が一番に考えるのは番組そのもののヒットであり存続です。そのため、番組としては初回からコケる事態を回避するため、それなりに視聴者の心をつかむであろう計算できるスター候補生をそろえたかったと言えます。すでに同局の『新型学問 はまる!ツボ学』に出演し、一部で話題を集めたわぴちゃんこと岩槻秀明さんがエントリーされたのは、そういった理由からでしょう。まあ、番組のコンセプトには”無名タレントがスターに”とありますから、完全に素人だけを募集しているというわけではないようです。そういった意味ではスタッフのリサーチ力が試される番組と言えます。流行は常に仕掛ける側によって生み出されますからね。『スタドラ』スタッフのセンスが視聴者の心をつかめば、第二のマツコ・デラックスを世に送り出すことも可能かもしれません」(局関係者)

 2009年あたりから徐々にテレビでの露出が増え、昨年本格的なブレイクを果たしたマツコ・デラックス。お笑い芸人だけが目立つ昨今のバラエティー界にマツコの存在は新風を吹き込んだと言える。しかし、そんなマツコも芸人たちとの絶妙な掛け合いが評価されて今の立ち場を獲得したタレントだ。つまり、マツコの売れた理由に芸人たちの存在は不可欠だということ。今の芸能界で売れるには、どういう形であるにしろ、芸人たちの力に頼らなければならないのかもしれない。そしてそのことは同番組における”イジリ隊”の存在が如実に物語っている。

「インターネットなどがいかに発達したとはいえ、いまだにテレビは最大の影響力を持つメディアですから、どうしても、売れているかどうかはテレビでの露出度で判断されてしまいます。そして、テレビといえば、今や出演していない番組を見つけるのが困難なほど、多くの芸人があらゆる場面で活躍しています。つまり、テレビで活躍することは必然的に芸人と絡むということです。そんな時代ですから、『スタドラ』としては、スター候補生たちを芸人と絡ませるために”イジリ隊”を作ったのでしょう。極端に言えば、芸人とうまい掛け合いができなければ、道は開けないということです。ただその逆もまた然りですから、芸のほかに芸人と絶妙なやりとりを披露できれば、マツコ・デラックスのように、くりぃむしちゅーの事務所に迎えられ、一気にブレイクということも考えられます。業界では常に面白い人間を探していますからね。信頼する芸人が”この人面白いですよ”と紹介すれば番組制作スタッフも無視できませんし。千原ジュニアが紹介したことから、戦場カメラマンの渡部陽一はテレビに出演し、一躍時の人となったわけです。業界内での芸人の影響力はますます強くなる一方ですよ」(芸能ライター)

 初回の放送では、前述した岩槻秀明とドーキンズ英里奈のほかに、昭和歌謡を愛する山根徹、甘口オネエの白くまりか子、阿波踊りマスターの四宮生重郎がスター候補生として名を連ねた。そして、その誰もが素人離れした特技や個性を披露し、芸人たちによるイジリ隊とも見事に渡り合ったと言える。今後彼らをテレビ画面で目にする機会も増えるだろう。ただ、彼らが”スター”になれるのかは別問題だ。前出の関係者が指摘したように、やはり妙に安定した芸を見せる彼らには、番組側が用意した安全牌のような雰囲気がある。真偽は分からないが、『スター☆ドラフト会議』という番組タイトルなのだから、誰もが度肝を抜くような本物のスターを発掘してもらいたい。きっとそれを為すには制作側の勇気と覚悟が必要だろう。リサーチ力と共にスタッフの心意気が問われる番組には、番組の存続なんかよりも、1人のスターを輩出するという気概を示してもらいたい。きっとそれが番組のヒットにつながるのだから。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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