「動物のセックス」を取り上げた展覧会がスタート! めくるめく動物たちの性愛の世界

※画像はイメージ画像写真集『交尾』より

 ロンドンの自然史博物館では、今年2月11日から動物のセックスをテーマにした企画展「Sexual Nature」が始まった。展示内容は、ウサギやキツネの交尾を再現した剥製や、セイウチの巨大な陰茎に加え、人間に最も近い種のひとつといわれるボノボの交尾シーンを再現したビデオなど、性的なもののオンパレード。多様な生物の求愛行動や交尾相手の選別行為、交尾をめぐる争いをフューチャーした大変興味深い展示だが、博物館側の配慮で16歳以下は見学できないという。同展は10月2日まで開催されるということなので、ロンドンを訪ねる機会がある方は、立ち寄ってみてはいかがだろうか。

 それにしても、ロンドン自然史博物館が16歳以下の来場を制限したように、「性」に関する部分は、動物園や動物のドキュメンタリー番組では学術的な表現に留めようとするあまり、いかにも及び腰といった風情でアナウンスされる場合が多い。これは多分に「子ども」を意識しての措置だと思われるが、野生の動物にとっては、繁殖行為こそが生命といっても過言ではない。すべての動物は等しく生命を育むが、その性の営みは種によって千差万別である。そこで、今回はそんな動物たちの鮮やかなセックスの世界を、ほんのちょっぴり覗いてみよう。  

 まずは2月21日、3年ぶりにはるばる中国から上野動物園にやってきたパンダのセックスについて。これまで、日本をはじめとする各国の動物園で試行されているものの、パンダの自然繁殖はかなり難しい。まず、オスのシンボルが、「かわいらしい」という言葉では表せないほどに小さい。人間でいうと少年期にあたる満3歳になってはじめて、空豆ほどの大きさの睾丸が姿を現すが、ペニスは以前膀胱のなかに包まれたままである。パンダのペニスがやっと形をなし、合体のさいに膨張すると7センチほどになるのは、4歳半からである。それでも、150キロの巨体と比較すると小さめであることは否めない。さらに、メスが発情するのは1年のうちの2~4日だけ、とパンダは性に関して控えめな動物なのだ。しかし、野生種が絶滅の危機を乗り切るには、オスパンダが励みまくるしか道はない。  

 我々人間に一番近いといえば、やはりサルである。日本人に馴染みのあるニホンザルは、体位が豊富だ。人間以外のほ乳類で一般的なマウント(背向位)以外にも、メスを仰向けに寝かせて正常位でしたり、座ったままメスを抱く座位を試すサルもいるという。また、1回のインサートは10秒ほどという短期決戦型だが、ジャマが入らなければ20分で20回も乗ったり、降りたりするという。これはオスがなかなか射精まで至らないからで、いざ発射するときは、あのカン高い声で絶叫する。  

 そして、好色代表といえばヘビである。ハブの交尾時間は最低6時間、普通12時間といわれており、ガラガラヘビにいたっては、22時間45分というとんでもない記録もあるそうだ。また、1匹のメスに対し、7、8匹のオスが群がり、絡み合うこともある。さらに、ペニスの形状が非常に独特だ。まるで先の尖った松ぼっくりのような、ピンク色のハブのペニスは、メスの生殖孔に埋め込まれると、その周辺だけが3倍もの太さにふくれあがる。ペニスには一面にひし形の剛毛が生えており、それがうねうねするのだから、メスは気持ちイイか痛いか、どちらかに違いない。ちなみに、交接中のヘビを生け捕っても狭い籠のなかで絡み合っていることもあれば、オスがメスの死骸にまとわりついて離れないこともあるという。こうした特徴を持つヘビは、古来からよくも悪くも性の象徴として扱われている。エデンの園でイヴをそそのかす動物、あるいは雨月物語の「蛇性の淫」や俗にいうヘビ女など、インモラルな性として。または、中国の初代神様・伏羲(ふっき)と女媧(じょか)の夫婦の下半身が蛇だったように、繁栄の象徴として。さらには、卍という文字、そして十字架も、2匹のヘビが交わる様子を描いたものだという俗説もある。  

 ほかにも、興味深い事例は山ほどある。数日間飲まず食わず、ときにはメスが死んでも抱きかかえ続けるヒキガエルや、輪姦で死んでしまうこともある白鳥、好色だが、交尾の後はメスに膣栓と呼ばれる貞操帯ができるハツカネズミなどなど……。ここではとても紹介しきれないが、動物たちのセックスはどれも独創的で、命懸けだ。地球上にすむすべての動物にとっては、生殖こそが生きる目的、ときには自身の生存より強い本能である。冒頭で紹介した展覧会も、そんな当たり前の事実をもう一度私たちに提示してくれるに違いない。

宇宙で最も複雑怪奇な交尾の儀式

生命の神秘を再認識。


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