ラッシャーみよしの「エロ業界栄枯盛衰物語」第10回:1986年

「ハッピャクエン!」出会いの花形舞台、テレクラ・ブーム

当時の競合店では1時間3,000円が相場だったため、
リンリンハウスの800円という料金設定はまさに革命的だった。

 1985年に施行された新風営法によって、非合法商売のホテトルが元気になったという話を前回書きましたが、86年になるとさらにもう1つ、時代を席捲するあるジャンルが登場します。

「800円!」

 これをただの「800円」と読んではいけません。いいですか、思いっきりすっとんきょうな声で叫ぶのです!

「ハッピャクエン!」

 

当時の電話ボックス。

 これは、1980年代後半に歌舞伎町で生まれたテレクラ「リンリンハウス」の有名な広告文句ですが、やがて「リンリンハウス」の「ハッピャクエン!」は繁華街ならどこに行っても聞かれるようになり、テレクラ・ブームの象徴的存在となります。

「ハッピャクエン! ハッピャクエン! ハッピャクエン!」は、ヨドバシカメラ&カメラのさくらやと並び、当時もっとも脳内に刷り込まれた「東京の音」でしたが、実はこのテレクラが続々と誕生したのが86年。年末には100軒以上の届出があったというから、大変な勢いです。結局、2002年に「男女共に年齢確認が必要」という非常に窮屈な規制を加えられて衰退するまで、テレクラは出会いの花形舞台となり、老若男女こぞってファックしまくったのでした。

 いやはや、ある意味、後のブルセラもテレクラを抜きにして考えられないし、一時話題になった主婦売春もこれを抜きにしては考えられないわけです。90年代以降の援交の原点はテレクラにあったわけですね。

のちに社会問題となる女子高生の援助交際も
テレクラがきっかけ?

 とはいえ、このテレクラにもセミプロみたいなのがたくさんいました。お小遣い稼ぎというより、これで日々の糧を稼いでいるようなのが。

 テレクラ好きは基本的にシロウトの女の子とナニするのが目的なので、こういうセミプロは嫌いです。見分ける目安は、すぐに値段の交渉が始まってしまうことと、「今、下の電話ボックスにいるから」みたいな、あまりの用意のよさ(笑)。

 ま、それでも常習者たちが美人ならいいんですが、この人らは100パーセントがブスでデブか、ブスでガリガリ。おまけにホームレス風の奇妙な重ね着で、会った瞬間に「どひゃあ!」と逃げ出したくなるような人々だったわけですね。

 ところが問題は、ぼくがゲテモノ好きなところ。ある時電話に出てみると、本人いわく「歌手」だそう。どんな容貌なのかと聞いてみると、スキンヘッドだって。

 スキンヘッドの歌手? ぼくの脳みその中に、マリリン・マンソンのライブ会場にいそうな、黒レザーのミニスカートが似合う、ハードロックなお姉ちゃんのイメージが広がるじゃないですか。グロいけどエロいかも……と。

もちろん、素敵なOLさんも!

「なんかおもしろそうね。今、どこにいるの?」

「下の電話ボックス」

 5分後に会った「歌手」は、確かにスキンヘッドだけど……それはむしろスポーツ刈りと言うのでは? そしてとっても体格がおよろしくて、ハアハア言っていらっしゃるし、ニッと笑ったお口の前歯は3本ですか!

 もちろん、ヤリましたよ! ここでひるんだらラッシャーみよしではありません。だけど、こういうのは1回でいいですね(笑)。

 当初風俗業者たちが考えたテレクラとは、見知らぬ男女がエッチな会話を楽しむツールとしてだったそうです。ところが、これがたちまち「男女の交渉の場」に発展して、「ウリ」の温床に。テレクラは、明確な「ウリ」の管理者が特定できませんから、警察もお手上げだったようで、何度か法律を手直しして、ようやく沈静化したのが2002年だったんですね。管理者がいないことに加えて、電話で交渉するという手軽さがシロウト女子の「ウリ」への敷居を低くし、この後のネットの普及まで、シロウト売春のキーワードとなったのでした。

 でも、スキンヘッドはダメよ(笑)。

 
・バックナンバー
【第1回】 ノーパン喫茶(1978年)
【第2回】 エロ・パンデミック前夜(1979年)
【第3回】 ビニ本全盛期、B5判64ページのロマン!(1980年)
【第4回】 激情のエロス、ストリップ劇場(1981年)
【第5回】 ハッスル、ハッスル! ピンサロ・マニアへの道(1982年)
【第6回】 ビニ本、裏本、裏ビデオの女王、田口ゆかり! 初期裏ビデオ・ブームの到来(1983年)
【第7回】 ニッコリ笑顔でポロリ 風俗業界に射した光(1983年その2)
【第8回】 AV革命! 本番OK・女優売りビデオの登場
【第9回】 新風営法施行! ネオンが消えた歌舞伎町

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