ラッシャーみよしの「エロ業界栄枯盛衰物語」第3回:1980年

ビニ本全盛期、B5判64ページのロマン! 

miyosi_top.jpgたった4、5年という短い期間ながらも
世の男性たちを存分に楽しませてくれたビニ本。

 さて、エロ業界栄枯盛衰物語もいよいよ80年代に突入。80年代はあらゆるジャンルのエロ文化が元気いっぱいだった時代ですが、まずはビニ本を取り上げます。そもそもビニ本ってなに? 中年以上の男子でなければ全くピンと来ない単語かもしれませんが、こういう風に説明すればいいのかな。

 本屋に行くとアソコ丸見えの写真集が普通に売っていた。

 ええええ! 日本ってこの間ヘアが解禁になったばかりじゃないの? その何年も前にアアアア、アソコが(笑)!

 驚きました? そうなんです。80年からの4、5年の間ですが、神田の古本屋などへ行くと、ビニールに入ったアソコ丸見えの写真集が店頭にズラーッと並んでいたんですね。じゃ、それって裏本というんじゃないの? と思ったアナタ、説明を聞きなはれ。


 確かに、丸見えという点では裏ビデオと同じように非合法なはずなのですが、ビニ本はよーく見るとモデルがスケスケのパンツをはいていたり、全裸の場合は透明のベールをかぶっていたり。同じ丸見えでもここが裏本と違うところで、当時の編集者や書店は「消しはある。ただ、それが限りなく無修正に近いだけ」といって、非合法の裏本とは異なると主張していたんですね。だからビニ本は本屋で売っていて、裏本は歌舞伎町などの怪しいショップに行かないと売っていなかったわけです。

 でも、これって屁理屈ですよね(笑)。結局、お上の摘発を受けてあっという間に姿を消してしまったのですが、それでも数年間、日本が性器解禁国になっていたのは特筆すべきことです。

miyoshi_sub.jpg丸見えより男心をくすぐるエロさ。

 というわけで、ビニ本の歴史を振り返ってみましょう。最初にビニ本を世に出したのはカトレヤ出版というところで、時は80年。モデルが薄いパンティーをはいてお股を開いているB5版64ページの写真集が、ビニールに入れられて登場したわけです。そして、そのパンティー越しにうっすらと陰毛が! 大昔ですから大騒ぎですよ。当然、この本は爆発的にヒットして、他社もこぞって過激な写真集を出し始めたところから、ビニ本のブームが始まったわけです。

 ビニ本の全盛期と言われるのは、第1期が81年から82年の前半。その後、裏本に押されて一時衰退し、83年に第2期ブームというのがやってきます。こちらは、後に人気AV女優になる渡瀬ミクや、竹下ゆかりなどの美少女路線で話題になりましたが、一般的には第1期の方が衝撃度は高かったですね。

 とにかく、古書店街に行くと、丸見え写真がいっぱい並んでいるんです。なんせビニ本出版社は40~50社と言われていましたから、よりどりみどりなわけです。1番好みの女の子を「本番用」、その次を「前戯用」「後戯用」として3冊まとめ買いするのが一般的な買い方。

 でも、家まで辛抱できないヤツもたくさんいて、当時ビニ本屋が密集していた神田周辺の地下鉄の駅(特に九段下駅)のトイレの大便用個室に入ってみると、前後からパリパリ、パリパリとビニールを破る音が聞こえてきたものでした(実話)。

 もちろん、ぼくも辛抱できないヤツの一人。毎週末、九段下でパリパリ、パリパリしていました。これは人生で一番、トイレでオナニーした時期ですね。普通しないか(笑)。

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