ラッシャーみよしの「エロ業界栄枯盛衰物語」第13回:1989年

「ろく・ビョウ・じゅう・エン!」 ダイヤルQ2の大流行

daiyal_t.jpgこずかい欲しさに電話をかける女子高生が後を絶たなかった

 みんなもやったかい? イエーッ! というわけで、1989年はあの……「ダイヤルQ2」が誕生した年。といっても、システムを始めたNTT(当時)としては、あのようにエッチな方向に独り歩きするとは夢にも思わなかったでしょうが、とにかく我々にとっては、Q2といえばこれだったわけですねえ……。

プルルルル。ガチャッ。

「なんとかかんとか(企業名)のツーショット・ダイヤルへようこそ!」
(妙な間)

daiyal_01.jpg爆発的な利用拡大に伴い、援助交際目的の利用が次第に
増えていった

「このプログラムはなんとかかんとか(企業名)が提供しています。このサービスは」
(妙な間)

「ろく」
(妙な間)

「ビョウ」
(妙な間)

「じゅう」
(妙な間)

「エン」
(妙な間)

「の、料金がかかります」
ツーッツーッ。


 えっと、文章じゃわかりにくいので補足しますが、普通にアナウンスすれば「6秒につき10円」の意味ね(笑)。

 そして、このツーッツーッの後にさらにガイドがあって、やっと女の子の声が聞こえてきくるわけです。

「もしもし、年いくつ?」

「今、家でヒマしてるんだぁ……」

 いやはや、エロ世界の貪欲さにはおそるべきものがあります。すぐに目をつける業者もそうですが、そこに大挙して集まり、セックス、金、セックスとダイヤルしまくった一般人たちもそう。元々NHK(当時)がダイヤルQ2に想定していたのは、競馬情報やニュース番組や商品情報みたいな一般のサービスだったんですよ。それがね……。

 でも、エロは何よりも強し! ビデオ・デッキの普及は裏ビデオのおかげだし、中年がパソコンを使いこなす、特に検索機能の使い手なのは、ひとえにエロ・サイトにアクセスしたいという執着心から。というわけで、アッという間にダイヤルQ2はエロ業者だらけになっていったのでありました。

daiyal_02.jpg当時、公衆電話に貼られていた、ダイヤルQ2の
広告シール

 とはいえ初期のダイヤルQ2の内容は、電話を利用するという性格がエロ雑誌に載っていたテレフォン・セックスの広告を想像させたのか、アノ時の音声や会話を聞かせるという、大人のオモチャ屋に置いてあった「エロ・テープ」に毛の生えたようなものでした。

 しかし、それはあっという間に援交の場へと変わっていきます。ツーショット・ダイヤルの大流行ですね。冒頭で書いた、「じゅう(間)エン(間)の、料金がかかります」というやつ。

 女性誌やレディコミ、あるいはポケット・ティッシュの広告を経由して、女子校生から主婦まで様々な女の人がダイヤルQ2にかけてきました。もちろんサクラもいっぱいいましたが、あんまり気にならなかったなぁ。「サクラも一般人の女の子だから」と、プラス思考に考えていた客も多かったようです。

 ぼくも、「サクラ、いただきま~す!」という経験が何度かありました。

 すでにこの頃は結婚して一児の父でもありましたから、さすがに家ではできなかったけれど、会社からかけまくってお誘いしていました。ダイヤルQ2でバイトしている女の子って、そもそもこういう世界に抵抗がないわけですから、「誘われればOK」率が高かったような気がします。またサクラの子には「芝居やってます」とか「音楽やってます」みたいな貧乏アーティストが多かったので、こちらがマスコミ業界(エロ雑誌)なのをとことん利用して誘い出し、ハメる! ハメる! ハメる!

 うそです(笑)。立場を姑息に利用はしましたが、そんなにワイルドじゃありませんでした。ゴメンナサイ。しかし、友達で何十万円もの請求書が来て泣いていたバカなやつがいましたが、何考えていたんでしょうね。

「なんじゅう」
(妙な間)

「万円!」

 その後1992年には、ツーショット業者は事実上ダイヤルQ2から締め出されてしまったようです。

 
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