高市首相が法相に検討を指示したことを受け、国会では売春防止法の買春側罰則強化の議論が進みそうだ。性産業関係者からは「当事者の声が聞かれないまま、AV新法のように問題のある規制になってしまうのでは」との懸念が広がっており、AV新法の課題もあわせて国会で議論すべきだとの声が出ている。
2022年に成立したAV新法は、国会提出からわずか1カ月で可決された。審議では出演者や制作会社への十分なヒアリングは行われなかった。平裕介弁護士(東京弁護士会/AND綜合法律事務所)は「民主主義的でも立憲主義的でもない作られ方をした」(メディア総合研究所「放送レポート」2025年11月号より)と指摘しており、規制される側の実態を踏まえることが立法の基本であり、AV新法はその手続きを欠いていたのではないかという懸念を示している。
当時、AV新法の立法に日本維新の会の担当として関わった現国民民主党の足立康史参議院議員は、「立法時の担当として当事者の声が聞けなかったことを反省している。AV新法の改正をしっかりと前に進めたい」とコメントしている。
また、れいわ新選組の八幡愛衆議院議員が2025年11月6日に提出した質問主意書で「AV新法には施行後2年以内の見直しが明記されていたが、現時点で国会では検討が行われていない」ことについて政府の見解が求めたが、11月18日の回答では「状況の把握に取り組んでいる」との答弁にとどまり、実質的な効果検証はほとんど行われていないことが明らかになった。
また八幡議員の質問の中には、AV新法施行後に判明した運用上の課題として、「出演者の仕事が減り、違法な仕事をしてしまう人を生んでいるのではないか」「現場に即していない内容がかえって人権侵害につながっているのではないか」といった点も挙げているが、政府はいずれの点についても明確な回答をしなかった。
メーカー関係者は新法施行前と比べて制作本数が減っていると話しており、その結果一部の人気女優に仕事が集中する一方、多くの女優は仕事が減っているとのことだ。さらに海外売春やライブチャットでの無修正配信など、摘発リスクをおかして収入を得る事例も報告されており、さらなる地下化の進行が懸念される。
八幡議員の質問に対する答弁書の中で「(AV新法が)議員立法により制定されたこと等の経緯に鑑み」という記述が散見されており、国会で議論されないことには政府は何も動かない、という背景が浮き彫りになっている。今回の買春罰則強化も議員立法として検討されていることから、性産業関係者からは「もし問題が起きてもまた見直しがされないのではないか」との声が出ている。
セックスワーカーの問題とAV新法に詳しい要友紀子氏は「AV新法で起きた問題は、当事者不在のまま立法が進んだ結果であり、同じ過ちを繰り返してはならない」と指摘。売春防止法の買春罰則強化の議論とあわせて、AV新法の見直しについても改めて国会で議論を行ってほしいと考えている。
今回の売春防止法の買春処罰化の議論が被害減少と人権保護を目指すとしても、当事者の意見にも耳を傾けてもらい、別の被害を生み出すことにつながらないように慎重な議論を願いたい。
(八幡議員の質問)
(政府の答弁)
AV新法の改正案(国民民主党HPより)
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