セックス求道者となった男のリアル童貞卒業物語<第1章>

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※イメージ画像:Getty Imagesより

セックス求道者「隔たり」連載:童貞卒業歌<第1章:前夜>

 やっと今日、童貞を卒業できる。

 平日の昼間。僕の実家で彼女とふたりきり。親は遅く帰ると言っていた。時間はたっぷりある。

 ここに辿り着くまで本当に長かった。

 彼女と付き合ってから、もうすぐ半年が経つ。お互い実家暮らしなので、これまでセックスをするという雰囲気にはなかなかならなかった。

 そんな彼女と初めてキスをしたのは、付き合って1カ月くらいの頃だった。

 場所は狭いカラオケ店。似たような店が都会にはたくさんあるから、場所は覚えていない。

 あの日のキスは、とてもぎこちなかった。

 キスをしようとしたとき、彼女は見るからに緊張していた。そんな彼女の反応を気にしながらのキスということもあり、結局はただ唇が重なったというだけで、僕はあまり興奮しなかった。

 それから何度かキスを重ね、少しづつ「大人のキス」といわれるものを自然にできるようになった。

 初めて積極的にキスを求められたのは、付き合って3カ月くらいの時、彼女の誕生日だっただろうか。

 大学生になってバイトを始めたおかげで自由に使えるお金が増えた。だから彼女の誕生日に、オシャレなレストランを予約した。

 恋人という存在とオシャレなレストランで食事するということは、僕の人生で初めての体験だった。

 とても緊張したのだけれど、僕よりも彼女の方が緊張していて、それがものすごく愛おしく思えた。そんな彼女を眺めていると、


「隔たりは、緊張してなくてすごいね」


 と褒められたのを覚えている。

 その言葉のおかげで、本当に緊張してないように思えてきて、その後は余裕を持って食事をすることができた。

 お店を出ると、彼女は見るからに幸せそうな顔をしていた。それがとても嬉しかった。

 帰るのが惜しくなり、僕らはひとけの少ないベンチに座った。すると、彼女が自然と手を絡めてきた。


「あの料理美味しかったね」

「あんなの初めて食べたよ」


 そんな会話をしながら、彼女が体を寄せてくる。こんな積極的な行動を今まで彼女からされたことがなかったから、とても嬉しかった。彼女のテンションが上がっているということが、ちゃんと伝わってきた。

 愛おしかった。

 僕はキスをした。

 彼女は顔を赤らめて、ものすごく照れていた。


「幸せ」


 彼女はそう言って、僕のことを抱きしめてくれた。彼女のほうから抱きしめてくれたのは、この日が初めてだった。

 幸せに包まれた雰囲気。お互いへの安心感。僕と彼女の間に「愛」に近いものが、ちゃんと芽生えたような気がした。

 このとき、僕は彼女との関係を次に進めたいと思った。

 僕は彼女と「セックス」がしたかった。


「あのさ」

「なに?」

「いま言うことでもないのかもしれないけど」

「うん」

「とても幸せな気分だから、言うね」

「えーなに?」

「…セックスが、したい」

「…いいよ」


 でも今日は遅いからまた今度ね、彼女は微笑みながらそう言った。

 僕は童貞で、彼女は処女だった。

 その日から「どうやったら彼女とセックスできるのか」と、そればかり考えていた。次はどこにデート行こうかとか、そう行ったものは全く考えることができなくなっていた。

 しょうがない。僕は童貞だったのだ。童貞はセックスと同時に、別のことを考えれるほど器用じゃない。だって童貞にとって、セックスは夢だから。

 酒を飲んでからラブホテルに行けばセックスできるだろう。そう、大学の同級生たちが彼女とセックスするときのパターンを真似して、酒の飲めない彼女をつれて居酒屋に行った。

 僕ひとりだけ酒を飲んで、勝手に酔っ払って気持ち良くなって、そして初めてラブホテルに入った。パネルの見方が分からなくて、戸惑ったのが恥ずかしかった。

 初めて入ったラブホテルの部屋は想像よりも無機質な感じがした。こんな閉ざされた空間でみんなセックスをしていたのだと思うと、とても不思議な気持ちになった。

 それでも、これからセックスをすると思うと、胸の鼓動どんどん激しくなっていく。しかし…。

 けっきょく、この日は何もできなかった。

 理由は単純で、酒を飲み過ぎて全く勃たなかったから。

 お酒を飲んだら勃たなくなるとは聞いていたけど、本当にそうなるとは思わなかった。彼女の裸を見ればちゃんと勃つだろう。そう考えていたけど、全く勃たなかった。

 それからもう一度ホテルに行った。けれど、またセックスはできなかった。

 ちゃんと大きくなったはいいものの、今度はうまく入らなかった。このときは「まぁ処女だしそんな簡単に入らないよね」くらいに捉え、僕自身はあまり傷つくことはなかった。

 セックスはしたい。けれど、お金のほうがだんだん心配になってきた。

 このままホテルに行ったら、ただ5000円払って微妙な空気になるのを繰り返すだけ。財布もキツいし、メンタルもキツい。

 安いホテルに行けばいいんだろうけど、初めてのセックスはきれいな場所でしたかった。安いところに彼女を連れていきたくないという、謎のプライドもあった。まあ、童貞の妄想に過ぎないのかもしれないけど。

 どうしようかと悩んでいると、とある平日に、親が用事で田舎のばあちゃんちに行くことがわかった。ここだ、と思った。彼女を家に呼んでセックスしようと。

 そう告げると、彼女はとても喜んでくれた。ふたりにとって、初めてのお泊まり。家ならば時間を気にせずに何回もセックスに挑戦できる。初めてのセックスを想像すると、興奮してオナニーが止まらなかった。

 だが、タイミングとは本当に不思議なものである。

 その泊まりの日、彼女が生理になったのだ…。

 

「隔たり、ほんとごめんね」


 彼女はそう言ったけど、生理は仕方のないことだ。だからそんなに謝ることでもないのに、と僕は思った。

 だが「ぜんぜん大丈夫だよ」と言いながら、実際には動揺した。もしかしたら、落胆の顔を浮かべていたのかもしれない。

 セックスはできなかったけど、お泊まりはとても楽しかった。一緒にお風呂に入ったり、キスしたり、裸で抱き合ったり。とても幸せな時間だった。

 けれど「セックスをしていない」という事実は変わらない。幸せではあるが、早くセックスしたいという気持ちは、僕の中でどんどん大きくなっていった。

※※※※※

 

 そして今日。

 僕の実家に彼女とふたりきり。

 3回。3回、セックスにチャレンジをした。勃たなかったり、彼女の生理があったりしながら、やっとここまできた。酒は飲んでない、生理は終わった、時間はたっぷりある。今日、僕はついに童貞を卒業できるんだ。

 会話もそこそこに、彼女と一緒に僕の寝室に移動する。昼間だけど、夜の雰囲気を作るために部屋の電気を消した。しかし、窓から日の光がさして、部屋は暗くならない。

 カーテンを閉めると、部屋が少し薄暗くなった。真っ暗ではないけれど、これでいいだろうか。どこか灰色っぽい部屋の中に、彼女とふたりきり。胸がドキドキする。


「それじゃあ、しよっか」

「うん」


 彼女の身体は華奢すぎるがゆえに、全くエロくない。恋人との身体にエロさを求めるのは、童貞なのに傲慢だと自分でも思う。

 しかし、今日はいつもと違った。エロくない身体を見ながらも、僕はものすごく興奮していたのだ。

 彼女の服を脱がして裸にさせる。僕も服を脱いで、裸になった。下半身は…勃っている。

 座った状態でキスをしながら、なめらかに膨らんだ胸を触る。胸をどう揉んだらいいか分からない。それでも手の平に温かみを感じて、下半身はもっと熱くなる。

 キスもそこそこにして、乳首を舐め始める。一生懸命に舌を動かすが、彼女は全く反応しない。なぜだろう。不感症なのだろうか。いや、僕が下手なだけか。

 でも、そんなことはどうだっていい。乳首を舐めているのは楽しい。目の前におっぱいがあるのは嬉しい。女性の身体は、最高だ。

 たくさんおっぱいを触ったあと、彼女の下半身に手を当てる。ちょっと膨らんでるところを押してみたり、人差し指と中指で開かせてみたりする。

 指を入れたい。

 でも、やめておこう。こないだ入らなかったじゃないか。下手に手マンなんかして彼女を傷つけたら、セックスができなくなってしまう。

 彼女を寝かせて、股を開いてもらう。アソコを見ようと、彼女の股の間に自分の体を入れた。彼女は恥ずかしそうにアソコを手で隠す。僕は「大丈夫だよ」と彼女の手を動かした。何が大丈夫なのかは、自分でも分からないけれど。

 あらわれた彼女のアソコは、なんとも言えない状態だった。部屋が薄暗いから色はよく分からない。とにかく、ここに入れば気持ち良くなれるのは確かだ。舐めたい。

 舌をアソコに押しつけて、豪快に舐めあげる。しょっぱくて、鉄っぽい味。美味しくはないけど、なぜか興奮する、もっと舐めたくなる。僕は彼女のアソコを激しく舐めた。この音、エロい。


「ま、待って」


 彼女がそう言ったので、思わず顔を上げた。彼女は口を押さえている。

 痛かったのだろうか、それとも感じたのだろうか。分からないけど、濡れないと入れられないじゃないか。だからたくさん舐めさせてくれ。

 彼女は何も言わなかったので、そのあとも僕はたくさん舐めた。彼女のアソコを唾液で湿らせたところで「舐めて」と寝転がる。彼女は何も言わず、モノをしゃぶり始めた。

 彼女のフェラが気持ちいいのか悪いのか分からなかった。

 ただ、彼女がアソコを咥えている光景は、とてつもなくエロかった。口をすぼめる横顔が狂おしいほどエロい。


「舐めてくれて、ありがとう」


 さあ、時は来た。ついに童貞を卒業する時が。

 僕は自分の財布から、コンドームを取り出す。

 中学生の頃、


「何かあるかもしれないからゴムを財布に入れたほうがいいよ」


 と友達にアドバイスされたことがある。そのアドバイスを守り続けていたが、けっきょく今日までその「何か」が起こることはなかった。


「財布の中に入れっぱなしだとゴムが傷つくよ」


 そうアドバイスもされていたので、僕は定期的にゴムをちゃんと入れ替えていた。まるで、小学生が律儀に予習をするように――。

 

 財布から取り出したゴムを、固くなったモノにかぶせる。ホテルの時もそうだったが、なかなかうまくかぶせられない。難しい。そもそもどっちが表でどっちが裏が、最初の時点でよく分からない。取り敢えずそのまま被してみる。表だ。よかった。

 ゴムを下までおろして、装着完了。立て膝になって、彼女の股の間にセットし、一度、深呼吸をする。

 ついに。

 ついに卒業できる。

 ここまで本当に長かった。

 大学生になって、セックスの話がより身近になった。飲み会でも授業中でも、恋の話になれば、大半はセックスの話だった。

 「童貞」はそんな場を盛り上げるためのピエロとして舞台の上にあがり、非童貞はそれを観客席から見て嘲笑する。

 舞台上の人間と、それを見る人間。

 近いようで遠い距離。そこになんの差があるというのだろう。少し前まで、こちら側だった人間が、さも成功者のような顔をしてこちらを見ている。

 そんな奴を踏み潰してやりたいという憎しみがあるのに、そちら側に行きたいという想いからは逃れられない。

 だから、憎くても、醜くても、舞台から降りなければならない。「童貞」と揶揄され消費される存在から、抜け出さなければならない。早く大人に、なりたい。

 

 彼女の股の間と、自分の下半身にぶら下がっているものを見る。そこにコレを入れるだけ。たった、それだけのことじゃないか。

 それだけのことなのに、ここに辿り着くまで、本当に長かった。

 右手でぶら下がっているモノを支え、膝を右、左、と床をこするように動かして、距離を詰める。左手で彼女の足を開かせ、入口に目を向けた。

 あと、もうすぐ。


「入れるよ」


 うん、と彼女は自分の顔や口を押さえながら言った。彼女はいま、どういう気持ちなのだろう。やっぱり怖いのだろうか。

 でも、周りのみんなもしていることだ。子どもを産みたいというならば、ここは通らなければならない道だ。彼女の怯えを見て怖気づいた自分に、そう言い訳をする。


「入れるよ」


 彼女はもう、何も言わない。

 覚悟はできた。


「じゃあ、いれるよ」


 これで、童貞卒…。

 ん。

 あれ。

 ちょっと。

 待って。 

 こうか。

 違う。

 もう少し下か。

 え。

 待って。

 ちょっと待って。

 入らない。


「ちょっと待ってね」


 彼女は何も反応しない。ただ口を食いしばっている。痛いのかもしれない。早く入れなくては。

 入口にモノを当ててみるも、全く入る気配がない。場所を間違えているのだろうか。親が帰ってくるまでたっぷり時間があるはずなのに、焦る。何でこんなに焦っているのか…入らない。


「…そんなにあせらなくていいよ」


 そう言いながら、彼女がいったん僕を制するように起き上がる。とても心配そうな目をしていた。そんな目で見ないでくれ、余計焦るだろ、と思う。ぶら下がっているモノが、だんだんと小さくなる。


「やばい」


 僕はゴムの上から、モノを激しくしごいた。なんとか7割くらいの強度になるも、ゴムの乾きが手に伝わる。手に自分の唾液を吐き出し、その手で再びゴムをしごく。


「いれるよ」


 彼女を寝かせ、入口らしき場所にモノを押し当てる。

 だが、やっぱり、入らない。

 ダメだ、入らない、なんで入らない。あとはもう入れるだけなのに。セックスができるのに。入れれば童貞卒業なのに。なんで入ってくれないんだ。

 モノをいったん離し、指を入れてみる。「ん」と彼女が声をあげたが、聞こえないふりをする。彼女も処女だからと、再び自分に言い訳をする。

 指の先端が少し、中に入った。しかし、ものすごくキツい。指より大きくて太い自分のモノは、どうやったらここに入るのだろう。分からない。でも、入れたい。

 僕は指を入れたまま、モノを近くに持っていった。そして指を抜いた瞬間、その入口に向かってモノを入れる。


入れ! 入れ! 入れ!

 

「ダメ! 痛い!」


 その声にハッとする。

 あれ、僕はいま何をしていたのだろう。

 自分のモノを見る。彼女のアソコには、入っていない。ヘナヘナで、コンドームもしわくちゃだった。

 セックスって、モノをアソコに入れるだけじゃないのか。なんで、こんなに難しいんだ。

 僕はしわくちゃのコンドームをとって、自分の手でモノをしごく。ぜんぜん大きくならない。なんだ、このぶら下がっているモノは。


「また、今度にしよう?」


 顔を上げると、彼女は怯えたような表情をしていた。この言葉、そういえば前にも聞いたような気がする。

 今まで彼女と2回行った、ラブホテルでの出来事を思い出す。僕はそこでも全く同じことを言われていた。

 ホテルでの2回と今日で、計3回。3回もこの言葉を、彼女に言わさせてしまった。

 急激に自分が情けなくなった。

 僕はここでやっと、彼女を何度も傷つけていたことに気づく。


「隔たり、すごい怖い顔してるよ」


 彼女は、今にも泣きそうな顔をしていた。

 なんで彼女を泣かせているのだろうか。セックスってもっとこう、ふたりの愛情を深めるやつではないのか。もうセックスが何なのか分からない。

 僕が分かることは、彼女を傷つけたということだけ。


「ごめん」

「…私は、こうやってくっついてるだけでも嬉しいから」


 そう言って彼女は僕を抱きしめた。

 嬉しかった。たしかにくっついているだけで、僕も嬉しい。

 でも、僕はセックスがしたい。それが彼女を傷つけたと分かっていても、その想いに支配されてしまう。僕はくっついているだけじゃ、今は、満足できない。

 僕は「童貞」を卒業したいんだーー。

 次の日、彼女から1通のラインが来た。


「昨日の隔たりは、本当に怖かった」


 僕はすぐに彼女に電話をかける。


「あの、昨日はごめん」

「ううん、大丈夫だよ」


 本当に大丈夫だったのだろうか。分からないけど、その言葉に少しホッとする。


「次は、ちゃんと痛くないようにするからさ。ごめんね。頑張るよ」


 ちゃんとって何だ。痛くないようにってどうすればいい。頑張るって何を頑張るんだ。分からないくせに、気づいたらそう言っていた。

 少し、沈黙が流れる。


「どうしたの?」


 そう尋ねると、彼女が「言いづらいんだけど」と前置きして、言った。


「しばらく、そういうことはしたくない」

 

 僕はなぜ、こんなにもセックスをしたいのだろうか。

 なぜ、こんなにも童貞を卒業したいのだろうか。

 自分ですらよく分からないけれど、でも、やっぱり童貞は卒業したい。その想いはどうしても消すことができない。僕はおそらく「セックス」というものに取り憑かれていた。


「本当は、あの時、セックスできたはずなのに…」


 彼女との電話を切ったあと、そんな独り言が口からこぼれた。

 あの時…僕が、中学生の時。

 中学生の時、セックスができたはずなのに。

 本当は、中学で童貞を卒業できた人間なのに。

 なぜ今、僕は童貞なんだ。

 あの時の苦い思い出が、鮮明に蘇った――。

※続きは↓↓

 「隔たりのことが大好きです。付き合ってください」「俺もみずきのことが大好きです。こちらこそ、よろしくお願いします」中学2年生の夏。僕に人生初めての彼女ができた。彼女の名前は、みずきといった。

(文=隔たり)

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