FAプロ、その歴史と衝撃の作品群…新時代に追及する「狭間のエロス」とは

 

 1985年にAV監督のヘンリー塚本氏によって設立され、来年には35周年を迎える老舗AVメーカーのFAプロ。その公式サイトがこの度リューアルされた。

 リューアルされた新サイトでは、FANZAよりも早くFAプロの新作情報を見ることが可能だ。ヘンリー塚本氏による『昭和 心揺さぶる官能ドラマ』に代表された「昭和シリーズ」などはもちろん、レズビアンたちの深い欲望を描いた『ネコとタチ』など、過去の秘蔵作品も含めた1000タイトルがそろう。

 

FAプロ公式サイト

 

 これまでに、何度もFAプロの作品について取り上げてきたメンズサイゾー。今回のリニューアルを記念し、改めてFAプロについて紹介したいと思う。

 

FAプロの歴史


 FAプロは1985年にAV監督のヘンリー塚本氏が設立。ヘンリー塚本氏といえば、昭和ロマンポルノを彷彿とさせる世界観にこだわり続けたAV監督だ。昨年、代表を退いたが、彼の世界観はFAプロに深く受け継がれている。

 例えば、農村や川のせせらぎが聞こえる風景など、かつて日本に存在した懐かしい生活空間を舞台に禁断の世界を描く「昭和シリーズ」や、無国籍空間を舞台に殺るものと殺られる者の激しいまぐわりを描いた「戦場シリーズ」など、個性的な作品を次々と世に送り出してきた。

 中でも、近親相姦のような非人道系の作品が有名である。そのジャンルを撮り続ける理由について、ヘンリー塚本氏は当サイトのインタビューでこう語ってくれた。


「人間、真面目ばかりが人生じゃない。近親相姦とか略奪婚とか夫婦交換とか、世間からは白い目で見られるかもしれないような世界にこそ、ついつい人は足を踏み入れてしまうもので、それを私はずっと心の中に残るようなリアリティのある世界に仕上げてみようと思っています」


 彼は徹底的に「リアリティ」にこだわってAVを撮る。彼にとって最もリアリティのあるものが、彼自身の青春を生きた時代である「昭和」のエロスなのだ。

 時代は変わり、令和になった今でも独自路線を貫くFAプロ。その大きな特徴はやはり、ヘンリー塚本氏が心血を注いできた「昭和のエロス」「本格的ドラマ」にある。

 今の時代、大手メーカーには、女優の可愛さや胸の大きさなどの外見的特徴を押し出した作品が多い。そのため、女優の良さが消えないように余計な演出はあまり行われない。綺麗な映像で、女優のスタイルや表情が中心の作品がほとんどだ。

 それに対してFAプロの映像はどこか薄暗さがあり、女優の身体が生々しく描かれる。女優のビジュアルよりもストーリーや登場人物の関係性に重点が置かれていて、セックスに行きつくまでの状況がかなり作りこまれている。ただ「ヤって出す」というAVではなく、セックスって何だろう、愛って何だろうと、さまざまなことを考えさせられる作品が多い。

 大手メーカーとは異なる路線で勝負するFAプロには、いくつもの名作がある。その作品群の中から、【売り上げトップ3】【反響の大きかった作品トップ3】【世間的に物議を醸した問題作トップ3】を紹介したい。

 

FAプロ・売り上げトップ3

 

『FAプロ 昭和』

第1位:『FAプロ 昭和』

収録作品 ★死んだ弟の嫁★嫁と義父の密会★セーラー服青姦★女先生が校舎でSEX★妾★奥様と使用人★旦那様の慰み者★手伝い婦と息子★18才の後妻★貧乏作家夫婦★恋女房★ならず者★復員兵★村のしきたり★女将さんとの秘密…。

※「昭和」シリーズの始まり

 

『乳房 (やる!)』

第2位:『乳房(やる!)』

 むさぼる乳房、ふくよかな乳房、それはナマナマしくも官能のエロス。舐めて、しゃぶって、吸ってド迫力ショッキング映像! 興奮とリアルなSEXシーンがいっぱい! 必ずや感動の嵐があなたを待っている!

 

『絶対抜ける! ド迫力映像 あ〜いくぅ その時女はエロスの極み』

第3位:『絶対抜ける! ド迫力映像 あ~いくぅ その時女はエロスの極み』

 女という生き物は何故にかくもエロチックで官能的なのか!? 震えて、叫んで、のたうちまわる、いい女たちのアノ瞬間! 総勢24人!全編撮り下ろし!乱れ打ちの全27話永久保存版!

※DVD・配信・レンタルで現在も高回転中!
※AV OPEN 2017 ドラマ部門第1位

 

反響の大きかった作品トップ3

 

『ヘンリー塚本 近親相姦 とんでもない家族の性交の記録 美しい姉・エロい母・好色の父

第1位:『ヘンリー塚本 近親相姦 とんでもない家族の性交の記録 美しい姉・エロい母・好色の父』

 FAプロ30周年記念作品第5弾! 狂い咲きクライマックスシリーズ! 近親相姦…禁断の肉欲、色欲のドラマはいつの時代も尽きる事はない。人の理性は性の快楽の前にはひとたまりもないし、不条理な愛に身を任せ、愚かしきエロスのページがめくるめく。あ~、近親者とのセックスってなんでこんなに気持ちがいいのか!

 

『ヘンリー塚本 貧乏人のいい女のおいしい肉体』

第2位:『ヘンリー塚本 貧乏人のいい女のおいしい肉体』

 昭和の時代、貧しさゆえにその身を男に捧げざるを得なかった女たち。ある者は病んだ夫を救うため、またある者は息子たちのため、そしてまたある者は親の作った借金の肩代わりに。よそ様からすれば哀れな話とも見えようが、何があるか分からないのが人生というもの。ましてや女の身で有るなら尚更のことで、己の置かれた環境にめげず逞しく生きる女性たちの姿には、根源的なエロスがあると思うのです。

 

『ヘンリー塚本 禁断の屋根裏部屋 母さんのいや(淫)らしい肉体』

第3位:『ヘンリー塚本 禁断の屋根裏部屋 母さんのいや(淫)らしい肉体』

 農業を営む吉田まつ子と富子の母娘は、五年前に別れた義理の息子、康介と再会する。しかし、彼は自分の父親と同じく密入国者の身であり、かつて強制送還されたが再び密入国してきたのだ。康介を匿いつつも、その若い肉体に溺れるまつ子。娘の富子もまた康介に惹かれていく。いやらしくも切ない女たちの性と、それを許さない現実の狭間で起きた小さな事件の物語。

 

世間的に物議を醸した問題作トップ3

『両刀づかいたちの夫婦交換(のぞき) 七海ひさ代 藤江由恵』

第1位:『両刀づかいたちの夫婦交換(のぞき)』

 男と妻が絡んだ後は、男と夫が絡み合う!!

 巷で話題になっている「スワッピング」をテーマにした大人気シリーズ「夫婦交換」。今回も刺激に飢えた夫婦がアブノーマルな世界に足を踏み入れます。他人に抱かれる興奮、それをのぞかれる興奮。飽食時代が生んだ仇花、ここに極まれり!


■FAファンの声
 いわゆる「スワッピングモノ」とはまったく異なるストーリー展開は、まさにFAならでは。そうなれば、FA常連女優を起用しそうなものだが、今作に出てくる藤江由恵&七海ひさ代は初FAだとか。そんなふたりに対して、FAは容赦なく強烈なテーマを突きつけた。それを藤江由恵&七海ひさ代は見事にはねのけたと言える。演者による動物的ともいえる貪り合い、奪い合い、そして快楽への欲望はすさまじいの一言だ。

 

『ヘンリー塚本 奴隷制度復活 弄ばれる美しき女体』

第2位:『ヘンリー塚本 奴隷制度復活 弄ばれる美しき女体』

 ある時代のある国、隣り合った国家同士の戦争が終結した。敗戦国となった国の18才以上の女性は看護要員として前線で従事していたが、戦況不利と見るや軍部は彼女らにも銃を持たせ、兵員として戦わせたのである。いつの世も犠牲となった女性の行く末は哀れである。捕虜となった隣国女子看護兵は数千名に上り、敵国の一部秘密部隊は捕まえた隣国女子看護兵を性の慰み者として弄んだのであった。

 AVの撮影では考えられないスケールの大きさ。国家が始めた戦争に巻き込まれ、敵国の男の性奴隷になった女たち。無理矢理蹂躙されているのに感じてしまう女の心と体の矛盾が見事に描かれている。

 

『院内性乱脈 性欲望内科』

第3位:『院内性乱脈  性欲望内科』

 独自の観点で描き続けるシリーズ最新作。生殖の為のSEXではなく、あくまでも性欲を満たし快楽を得る為だけに存在する夢の病院。欲望を叶える為に来院した男女が織りなす肉欲、屈折した愛欲の物語。

※謎の性欲処理ロボット「ロボコム」の登場

 

FAプロのこれから


 時代が変わった今でも昭和のエロスを表現し続けるFAプロ。昭和が終わり平成を越えて令和を迎え、彼らはどこへ向かっていくのだろうか。

 現在、FAプロのほとんどの作品は「オグロック金蔵」監督によって撮影されている。FAプロの礎を築いたヘンリー塚本氏の世界観を、彼はどのようにして受け継ぎ、新しいFAプロを築いていくのだろうか。

 そんなオグロック金蔵氏に、FAプロを受け継ぐこと、そして今後の展望についてコメントを頂いた。

 

オグロック金蔵コメント

■ヘンリー塚本とは?

 業界的には中高年、昭和、接吻といったイメージだと思いますが、古くからのファンですと、バイオレンス色の強い作風のイメージもあると思います。

 いわゆる業界とはまるで違うところからアダルトビデオの世界に来られた彼(ヘンリー塚本氏)は、アダルトビデオの世界でも独自の価値観で作品を撮り続けてきました。

 その独自の作風、ドラマ仕立てにこだわる背景には、ヘンリー監督本人が体験された貧しさの中のエロスがあります。そして、これまで様々な媒体でご本人が語っているように、それはまさに昭和の裏面史とでもいうべきもの…、があるわけでして、現代に於いてそれは失われゆく記憶であります。

 ですが、そういったものにこそエロスの真実、人間の真実があると信じていて、ご本人はそれを「リアリズム」と良く言っていました。

 それは決して美しい物とは限らないわけですが、むしろそうであるからこそ愛おしい、愛すべきものであると、そういった信念を持って制作活動をして居られました。


■FAプロ魂を受け継ぐことについて

 ヘンリー塚本監督が大事にされていた、エロスの根幹を失いたくないと思っております。

 それは社会や普段の生活と密接に関係しているものでして、私自身「狭間のエロス」と呼んでおります。それはつまり、普段は目に見えない、隠されているものです。

 夫婦生活問題、不倫不貞、同性愛、或いは差別、暴力、貧困など、そういった世間的に忌避され得る事柄を描写すること、そこから目を背けないこと。

 露悪的と捉えられるかも知れませんが、それこそが人間の生活であり、そこに生とエロスの根幹が有ると思います。

 つまりFAプロの魂とは、人間の生活に寄り添った「狭間のエロス」の表現である。それを私なりに表現していきたいと考えております。


■FAプロ・これからの展望

 FAプロとは、ヘンリー塚本監督が積み重ねてきた30余年の歴史の結晶であります。

 振り返ればその中でも様々な作風の変化がありました。ゲリラ的な小規模ロケから牧場を借り切っての大規模ロケなど、大作志向だったこともありました。

 翻って現在ですが、我々アダルトビデオ制作者を取り巻く環境は目まぐるしく変化しております。社会の意識変化、或いは表現規制など、かつてのようにはいかない中で、FAプロは何を守り、何を変えて行くのか。

 FAプロの一制作者としては、前項でも言及した人の営みに寄り添ったエロスの表現、私の言葉でいうところの狭間のエロスの追求を成し得たいと思っております。もちろん、それはユーザー方の満足や支持があってのことですので、古い言葉ですが「三方よし」の精神で制作に励みたいと思っております。(オグロック金蔵)

 

 ヘンリーイズムを受け継ぐオグロック金蔵氏が、新時代のAV界にどんな足跡を残すか。願わくば、我々の想像を軽く超えてほしい。

■FAプロ公式サイトはコチラ

 

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