風俗店に救急車が来る時…絶対に勘弁してほしい緊急事態、その顛末


■お風呂

 初夏でしたので、ほんのり冷房がかかっているお部屋でもちょっぴり汗が。じゃあ、お風呂で汗を流そうかという運びになりますよね。そこでS様をお風呂へとエスコート。お湯加減は程よく、のんびりお風呂に浸かってしばしおしゃべりを楽しみました。

 汗も流れ、体も温まったところで椅子洗いに移りました。特製の弾力ローション泡で全身くまなく包み込み、ボディ洗いあり、舐め洗いあり、もちろん壺洗いも…。くぐり椅子もすべてご披露し、温かいシャワーで体をキレイに流した時でした。S様が「ごめんまおみちゃん…ちょっと気持ち悪い、吐きそう」と告げてきたのです。

 
■異変

 えっ!と思ったのも一瞬、「ごめん、ここ、これ吐いてもいい?」と洗面器を手に取ったので、慌ててS様を支え、洗い椅子から降ろして楽な体勢を取ってもらいました。お風呂場の床に膝をつくと、すぐに四つん這いになって、お昼ご飯を戻し始めるS様。私はバスタオルを用意すると、一旦落ち着くまで背中をさすることにしました。

 ひとしきりお腹の中のものを出すと、そのままぐったりとタイルの床に倒れこむS様。そっと支えて床に寝かせます。

 さあ大変です。ふたりとも全裸で、まだスタッフを呼ぶことはできません。しかも、タイルの上にいつまでも置いておくのも体が冷えそう、かと言って下手に動かすと状態によっては危険です。会話はできるか? 手足は動くか? 幸いろれつが回らないということもなく、移動を打診すればゆっくりながら自分で体を起こそうとするので、ベッドに移動することにしました。

 S様をなんとか運ぶべく、お風呂場からベッドの方に向かってバスタオルを敷き詰めます。タイルの上は膝も痛いでしょう、何より冷たいですもの。タオルの上であれば、最悪引きずることも可能です。ほとんど脱力している成人男性を女一人で運ぶのはかなり骨でしたが、S様の様子を見ながら休み休みたっぷり10分はかけて、5メートル先のベッドに移動することができました。

 
■フロントに連絡

 ベッドに大の字になったまま荒い息をつくS様に声をかけます。まずは“のぼせ”を疑って、冷蔵庫でよく冷えたおしぼりを腋と首筋、頭に置いて「大丈夫?」と聞くと、「うん…ちょっとごめん、休ませてくれる…?」と比較的しっかりお返事がありました。

 計ってみれば、なるほど熱はないものの脈は早い、それでも受け答えは比較的しっかりしているので、ご本人の言う通り少し休ませて様子を見ることに。私は「洗面器を片付けてくるね」と声をかけると、S様を寝かせたまま一旦部屋を出ました。

 お手洗いで洗面器を片付けると、その日は誰も使っていなかった隣のお部屋に。コールを取って、ここで初めてフロントに連絡しました。

 
「かくかくしかじかでお客様が体調不良です。今は少し落ち着いているので寝かせているけど、1時間後に自力で帰るのはちょっと難しいと思います」

 
 というような報告にフロントは、「わかりました、それでは、おあがりの後に横になって休めるお部屋をご用意しておきますね」と応答したと記憶しています。いやあ~お客様を動かすより、私が動いた方が早いんじゃないかな? と思いましたが、あとで考えることに。

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