アイドル業界最大のフェス『TIF』、大盛況も一部ファンの無軌道な振る舞いでトラブル続出


 イベント主催者やアイドル運営側も出入り禁止にするなどの策を講じてはいるが、不特定多数が集まる無銭アイドル現場ですべてに目を光らせるのは不可能に近い。しかし、いつまでもピンチケをのさばらせてはいけないとTIFの主催者が施設警備の要としてオファーしたのが「株式会社 BONDS」だ。BONDSは海外のセキュリティー機関から信頼の厚いボディーガード、ルーク・ホロウェイ氏から直々に指導を受けたセキュリティー集団で、元自衛官や現役格闘家など屈強な男たちが揃う。2008年の設立以来、各種施設やイベント会場における彼らの成果は目覚ましく、日に日に評価は高まっている。

 アイドルファンの間でBONDSの名を一躍有名にしたのは、今年4月29日の『ニコニコ超会議』。ここの警備を任されたBONDSは、私立恵比寿中学のライブ中に泥酔して迷惑行為を繰り返す有名ピンチケを羽交い絞めにして退出させた。その際、ピンチケが自爆で流血した画像がTwitter内に拡散されたために賛否両論もあったが、現場に居合わせた第三者やピンチケの実態を知るアイドルファンは、BONDSの妥当性が高いことを訴えた。

 今年のTIFはセキュリティーの強化、迷惑行為の厳格化、無料エリアの制限などを行った。その流れでBONDSを投入したため、初日から入場したファンの間では高い注目を集めた。案の定、ピンチケや迷惑行為を繰り返す「厄介オタ」を拘束して説教するBONDSの姿も幾度となく目撃され、Twitterは多くの報告例であふれ返った。ピンチケや厄介オタの中にはBONDSと真っ向勝負すると嘯く者もいたが、しょせんアイドル現場ぐらいでしか暴れない彼らに勝てる相手でもなく、犬の遠吠えに過ぎなかった。

 TIF二日目に、有料エリアを行き来する際の目印となるリストバンドを偽造した厄介オタがBONDSに見つかって警察が出動するなど本物の犯罪行為もあったが、すべてを振り返るには文字数が足らず、ここでは「SMILE GARDENのトリ」に限定してTIFの問題点を振り返る。

 SMILE GARDENとはフジテレビ湾岸スタジオの横にある公園に設置した野外ステージで、無料エリアなのでお台場に訪れた一般客も多く集まることから「TIFの象徴」とも言われている。それだけにピンチケも多く集まる場所で、今年からは安全性の確保もあってか有料エリアも設置した。プラスチックの柵やテントを設置したことで、観客の多く集まるアイドルのライブでは無料エリアからステージを観るのは困難で、チケットを買ったアイドルファンからも不評を買った。

 それだけの厳戒態勢を敷き、主催者側が再三注意したにもかかわらず、度を過ぎたアイドルファンの盛り上がりは凄まじく、BONDSによって退出させられる者は後を絶たず、途中で音を止めてライブを中断する場面もあった。

 そんな中で、最もSMILE GARDENが盛り上がる時間は午後19時台後半から終わりまでのラスト。涼風が吹く野外で、ステージで熱演するアイドルに声援を送りながらファンが振るペンライトやサイリウムが暗闇に映えて、幻想的な景色を作り出すのだ。そのためSMILE GARDENのトリを飾るのは、エネルギッシュなライブが身上の人気アイドルグループが多い。

 初日にトリ前を務めたのは大阪のアイドルグループPass Code。彼女たちはラウドロックを基調にした激しいステージングが特徴で、メンバーも客席を煽りまくることから、この日もファンが大暴走。リフトやクラウドサーフが次々と行われ、集結したBONDSが次々と厄介オタを客席から引きずり出して連行していった。あまりに荒れたため、主催者がこれ以上ルールを守らないと中止になる可能性も示唆。大トリを飾ったBELLRING少女ハートも様々なジャンルを咀嚼したアヴァンギャルドなサウンドと予測不可能なパフォーマンスで、アイドル界でも有数の「荒れる現場」として名高いが、この日は自主規制もあったのか、やや大人し目のセットリストで、Pass Codeほどは荒れなかったが、ステージや上空に向かって四方八方からサイリウムが飛び交い不穏な空気も漂った。

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