ティナとの生活は朝、目覚めの一発をしてから朝食。午前中から午後にかけては観光やショッピング。15時頃にコテージに戻って昼寝がてらに一発。そして、寝る前に2、3発という感じのペースだった。
だから、6日目の夜…つまり、最後の夜は“想い出に…”とボクは寝ずの4、5発を狙っていたのだが、コトの直前に彼女がケータイを持ってバスルームへ消えた。そして、5分後、メモを持って戻ってきた。
ティナは“ママ(置屋の女将)に教えてもらったの”と前置きしながら…。
「コノムイカカン、トテモ、シアワセデシタ。ワタシ、コノジカンガ、ズット、ツヅケバイイ。デモ…イママデ、アリガトウ」
たどたどしいけど、心のこもった言葉に明日でお別れということを実感させられたボクは、快感よりも彼女のぬくもりを忘れたくなかった。だから、その夜はずっとハグして、そのまま寝入ってしまった…。
最後の朝、ティナが朝食を作ってくれたが、泣けてのどを通らない。そうこうしているうちにコテージに女将がボクらを迎えに来た。まずは置屋でティナを下ろし、空港に向かう行程だが、車中、言葉が出てこない…。いや、言葉が見つからないというほうが正解か。そして、ティナを見ることすらできない。
でも、現実は残酷で置屋に着いた。流れる沈黙をかき消すようにティナは「アリガトウ」といって、うつむいているボクの頬にキスをして降りていった。すべてを察していたのだろう。女将はスグに車を走らせる。残酷だけど、それがありがたいといえばありがたかった。
たぶん…ティナは手を振っていたりするのだろう。だけど、ボクは振り返るほど強くないし、別れを受け入れる勇気も無い。こんなに切ないのは失恋そのものだ…。
ティナにとってはボクは彼女のカラダを通り過ぎていった一人の日本人の男にすぎないかもしれない。だけど、ボクにとっては今でも心のどこかに留まっている存在なのだ。
(文=美田三太)