「これは“とどめ”を刺されたも同然…」
来年2016年5月にサミット開催が決まった伊勢志摩。その周辺では、経済効果が期待されているが、同時に経済的に大打撃を受ける人々もいる。それは、的矢湾(まとやわん)に浮かぶ渡鹿野島(わたかのじま)にて、“ある産業”に関わっている人だ。
『渡鹿野島』…現在はリゾート地としておなじみで周囲約7km、リアス式海岸の湾のひとつ的矢湾の奥に位置し…といった説明は、この際、省こう。男性としては、売春島の異名を持っている、いや、“持っていた”島、という説明のほうがシックリくるだろう。冒頭の“ある産業”とは、島の住民は否定するけど、いわゆる性産業である。
もともと、江戸時代には船乗りのための遊郭があり、その名残で…ということなのだろうか。以前は島に渡ってくる多くの男性の目的が、女性とのひと時だけの関係であった。それは21世紀になっても…であったが、最近では、やや趣が違ってきているようだ。
「今は、すっかりリゾートアイランドですよ。もちろん、昔ながらの男の楽しみもありますけど、日本人女性よりもフィリピン人女性がほとんどで、しかも細々という感じ」
その話すのは、渡鹿野島の事情に詳しいAさん。ここ3、4年の間に、かつての売春島のイメージを払拭するように、自治体などが観光事業に力を注ぎ、見事に変貌を遂げたが…前出のように女性と一夜を共にできる店は残っているようだ。さらにAさんは語る。
「ぶっちゃけ風前の灯ですよ。それでも数軒、置屋みたいなところが残っているということは、たとえば借金返済のためだとしたら、“貸した人”がいるわけで。サミットで本当に排除されてしまったら、返してもらうアテが無くなる。少なくとも、それで収入を得ているのは確かなわけで、そういう意味で“とどめを刺されたも同然”です」