客も嬢も…東西で温度差を感じる風俗とは?


 まず、『M性感』の誕生は1990年代前半の大阪だと言われている。その内容は、嬢が責めて客は受け身一方。つまり、SMのSのサービスの要素を含むが、基本的に痛みを伴うようなことをせずに、客を快感に導くといったところだろうか。

 そして、もう一つ、大きな特徴として挙げられるのが、局部へのリップサービス。つまり、フェラが無いことだろう。フィニッシュは手コキで、乳首舐めなどはあるが、それは焦らすための手段であり、アナルも道具を使って責める。また、言葉責めも重要な要素であり、その言葉のセンスが嬢に問われたりもする。

 また、根本がSMのS的なものなので、嬢もランジェリーにはなるが、基本的には裸にならず。オプションでトップレスなどはあるが、着衣の嬢の前で裸になり、言葉責めと手コキでイカされる羞恥プレイ的なところ。そして、何よりも『フェラ無き快感』がM性感の醍醐味だと断言するユーザーも多い。

 そんな、大阪特有のものと思われていたM性感も、2000年代に入ると東京でもチラホラ見かけるようになる。ここで今となっては問題になってくるのが、“大阪のM性感が上陸しなかったこと”である。

 どういうことか? それまで大阪のM性感に魅了されていた客が、東京生まれのM性感に驚いたのは、まず、嬢がシャワーで全裸になることだ。大阪のM性感の場合はプレイ前に嬢が客の身体を洗うが、その際はボンデージやランジェリーのままである。それでも、自分の着衣を濡らさないことがテクニックでもある。しかし、東京のM性感嬢は当然のように全裸になり、客とシャワーを浴び、プレイ前に再びボンデージを着るという風情の無さに興醒めした者も多い。

 そして、決定的に違ったのはフィニッシュだ。なんと、フェラなのである。まぁ当初はオーナーなどが、いまいちM性感というジャンルを理解していなかったのだろう。つまり、浸透していなかったのかもしれない。

 そして、今でこそ東京にも“これぞ!”という本物のM性感はあるが、その当初のものが根付いてしまったことも事実。だから、たとえば、大阪から上京した嬢が東京のM性感で働こうと入店したらフィニッシュがフェラということに「ありえへん!」となる。また、関西のユーザーが東京のM性感でフェラをされて「こんなん、M性感やない!」となることも多々ある。『フェラ無き快感』こそが関西のM性感ユーザーや嬢はプライドということなのだろう。地域によって、このような温度差が生じるから風俗とは奥深いものである。
(文=子門仁)

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