「感じてもいいんだよ?」コンプレックスを捨て去った後にできる本当のセックス!

『よわよわ』って何が? そりゃもう、心と体の両方だよ。壊れ物なお互いの
心に触れ合った瞬間最高の快楽が得られるのをがっちり押さえた、生の香りが
するエロティックストーリー。

佐伯著『よわよわ』

 タイトルがエロマンガじゃないみたいですよね、『よわよわ』(コアマガジン)。萌え4コマでも付けないような腰砕けっぷり。しかしこれ以上合っているタイトルもないと思います。なぜなら本作に出てくる少女たちはほぼみんなコンプレックス持ちだから。じゃあ、コンプレックス萌えマンガなのか? というとそれもちょっと違う。いや、違わないか、それはそれでありです! かわいいよ。

 それだけじゃなくて、心にあるわだかまりや悩み、体や過去の心の傷を恋愛の中で、そして体を重ねる中で、男女ともに昇華していくのがすっごい心地良いのですよ。だって、心にわだかまりを抱えた状態でえっちするよりも、すべてをぶっぱなしてえっちした方が絶対気持ち良いでしょう。この順序がしっかり組み上げられているため、幸せと気持良さの両方を得られる作品になっているのです。

 例えば前後編になっている「アシンメトリー」という作品。何を食べても吐いてしまうガリガリな女の子。主人公は、他意なく彼女にご飯を食べさせてあげたところ、突然脱ぎ出し「これくらいしか返せるものがないんですけど……」と言い出します。ここで何もせずに突っ返すのが、まあマンガ的対応かもしれません。でも現実的に考えたらそりゃあ、やるじゃないですか。男の子だもん。この辺りを包み隠さず生々しく描くのが魅力。

 食べに来ては残すけれど、その対価としてえっちさせてくれる女の子との奇妙な共同生活が始まります。彼女はすごく濡れているし、感じているみたいなんだけれども無反応。どういうことだろう?

 実は彼女、過去に家族関係で大きな心の傷を負っていました。だから、食べられない。えっちをしても「夢中になってはいけない」と心にタガを締めていたのです。心を解放してからのえっちは、最高にエロティックで生きる喜びに満ちています。それまでも幾度となくえっちしているんですが、全然ケタが違います!

 セックスが自分の一番弱い部分をさらし合うことで気持ちよくなる行為ならば、心も同じ。変態性癖ものの本をこっそり買って誰にも言えずにいた「春ですね」や太ももに大きな傷が付いている「キズキズナ」、巨乳と言われ続けていることに悩んでいた「猫背の彼女」など、出てくる女の子はみんなよわよわ。でも普段はコンプレックスを隠しているから、人一倍強くあろうとしているのです。この固い鎧を破った向こうにあるよわよわな、柔らかくて敏感な場所に触れたとき、最高の快楽を得られる様を見事に描き上げています。

 心理描写メインなので、攻撃的なエロスはあまりないですが、男性視点で見ると女の子が殻を破ったときに寄り添う様子や、男性器にそっと触れる様が非常にセクシャル。挿入シーンよりも、ペッティングのシーンや事後のピロートークの方がエロティックに見えるのは、きっと心そのものが絡まり合ってセックスしているから。

 個人的にはやはり、何度も体を重ねてきているにもかかわらず、心を開いた瞬間から本当のセックスへと変わっていく、という描写にたまらなく興奮します。そんな優しい作品集ですが、同時に載っているアホエロマンガのセリフ回しは必見。むしろこっち路線で1冊読んでみたい気すらするバリエーションの広い作家さんです。
(文=たまごまご/たまごまごごはん

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