【AV撮影現場今昔】 第4回:疾風怒濤のぶっかけブーム(後篇…または汁男優篇)

■この時代に培われたぶっかけAVのノウハウ

 汁男優のニーズが続く中で、制作サイドに確実に汁男優を供給するために、汁男優をまとめあげる元締め的な役割を持つ者が数人現れ、人材遣派会社的な働きをするようになってきたのは、この時の状況を考えれば自然の流れだろう。制作サイドのADクンはぶっかけAV撮影が決まると、この元締め役の汁男優に連絡して「○月○日○時、某所に○人」と伝えるのだ。そしてこの元締めは、現場で知り合った汁男優に片っ端から連絡して頭数を確保するのである。余談ではあるが、筆者も取材の待ち時間にこの元締め役の汁男優氏に誘われてデジカメで写真を撮られ、携帯電話の番号を教えて“人材登録”した覚えがある(苦笑)。実際に仕事の連絡が来たことはなかったが…。ともあれ、こうして制作サイドの環境が整備されるにつれ、この後作品のクオリティもどんどん向上することになったのだ。

 有力セルAVメーカーの勃興と共に、それまでのAVでは考えられない過激さで盛り上がった“ぶっかけAV”だが、ブームが過ぎ去った今でもこの時代に培われたノウハウが現在の作品に活かされている。それは『ドリシャッ!! 飯岡かなこ』(ワープエンタテインメント)や、『ドリームウーマンVol.94 つぼみ』(ムーディーズ)などの最近のぶっかけAVの充実した内容を見ても明らかだ。むしろこの時代がなければ、ここまで洗練されたぶっかけAVは現在存在していないとさえ思えるのだ。

 いかに可愛い娘を脱がしてハメるか、というビデ倫メーカー主導の「女優至上主義」の“破壊者”であると共に、当時のAV界を揺るがす地殻変動の“マグマ”のひとつであったこの“ぶっかけAV”をめぐる疾風怒濤の時代を、この機会にしみじみと振り返っている次第である。
(文=宍戸ペダル)

宍戸ペダル(ししど・ぺだる)
前世紀からAVばかり見ているエロライター。AVレビュー、インタビュー、現場取材と目下大々的に(!?)活躍中!

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