そんなこんなで会話も弾みながらホテルに向かうことに。聞くところによると、ララちゃんは文房具メーカーのOLさんとのことだった。
筆者トコショーはさほど文房具にこだわりはないのだが、会話を盛り上げるため“文房具好き”を演じることにした。
「俺って文房具屋さんが大好きなんだ」
「え? どうしてですか?」
「色んなペンやハサミだの定規だの、見ているとワクワクしちゃうんだ」
「へぇ、そうなんですか」
「ほら、新宿の世界堂あるでしょ?」、ちなみに世界堂とは新宿にある大きな文房具屋さんのことだ。
「はい」
「あそこに行くと用もないのに全部のフロアを見なくちゃ気が済まないんだ」
「うわ、それは時間かかりそうですね」
「うん。でも時間を忘れて魅入っちゃうんだ」
「あ、なんとなくわかります、それ」
「やっぱりララちゃんも文房具好きなの?」
「まぁ、嫌いじゃないですけど、ショーイチさんほど好きじゃないかもですね」
「えぇっ! せっかく文房具関係のお仕事してるんだからララちゃんも文房具オタクになろうよぉ」
「ふふ、なんですかソレ」
そんな会話を楽しんでいたのだが、筆者の文房具に対する底の浅さが露呈する前になんとかホテルに到着。
無事に入室し、まずはララちゃんに先にシャワーを浴びるよう促す。
「あのぅ、この部屋って脱衣所とかないんですか?」
「あ、そうだね。無いみたいだね」
「えぇっ!? 着替えるとこ見られるの恥ずかしいですぅ」、なかなかウブっぽいではないか。
「よし、じゃあ俺はこうして壁に向かいながら煙草を吸ってるから見ないようにするよ」
「で、でもぉ」
「安心して。女の子の嫌がることはしないから、チラ見とかもしないよ」
「じ、じゃあそうしますね」
ソファに逆向きにあぐらをかいて座り、壁に向かって煙草の煙を吐き出すトコショー。だが耳はダンボ状態。スルスルっという脱衣の音と彼女の息使いに大興奮してしまう。たまには聴覚で味わうエロもいいもんだ。
その後、シャワーを浴び始めるララちゃん。部屋と浴室の仕切りは摺りガラスだったので、視線をそちらに向ければ彼女の様子を窺うこともできただろう。しかし、精神的ドMの筆者は必死で振り返りたくなる感情を押しとどめる。
そうこうしているうちにシャワーを浴び終えるララちゃん。カチャっと浴室の扉が開く音が聞こえた。
「あのぉ」
「ん? どうかした?」
「部屋の電気、暗くしてもらえますか?」
「あ、そうか。うん、了解」
なるべく浴室のほうに顔を向けずにベッド脇に移動し、操作パネルで室内の照明を落とす。
「これくらいでいいかな?」
「はい、ありがとうございます」
真っ暗にしては何も見えなくなってしまうので、それなりに視界を確保できる程度であったがなんとか納得してもらえたようだ。
それにしてもここまで恥ずかしがるなんてよっぽどのことである。今から同衾するというのに何が恥ずかしいというのだろうか。
しかし、考えてみればそれが普通の感覚なのかもしれない。ただ単に筆者の思考が汚れすぎているのかも?
その後入れ替わりに筆者もシャワーを浴び、いよいよエッチの始まりだ。