女性に振られるたびに放火していた男

※イメージ画像 photo by M.Markus from flickr

 女性に振られたり冷たくされたりしただけで、カッと頭に血が上ってとんでもない事件を起こしてしまう男は少なくない。

 明治41年1月、コソ泥で捕まった男の口からなんとも短絡的な事件が発覚した。その男は埼玉県南埼玉郡荻島村(現・越谷市)に住む田村清蔵(23)は、明治35年頃からまつ(22)という女性と男女関係にあった。ちなみに、「戦前は結婚前にセックスする者は少なかった」などと言う人がいるようだが、都市部など一部を除いて10代の頃から性行為を経験するなど珍しいことではなかった。

 ところが、まつが清蔵を捨てて同じ村の彦次郎(23)という男と関係を持つようになってしまった。これに激怒した清蔵は、39年5月16日の夜11時頃にまつの自宅に放火し全焼させてしまった。しかも、それだけでは気がおさまらなかったのか、約3カ月後の8月7日の夜10時頃、今度は彦次郎の自宅敷地内に侵入すると、物置に放火してやはり全焼させた。いずれの事件も、清蔵の犯行とは気づかれないままだった。新聞記事には死傷者についての記述がないことから、まつや彦次郎は命まで失うことはなかったのかもしれない。そして、事件は忘れられていった。

 

※画像:『東京朝日新聞』明治41年1月17日より

 その後、清蔵は同じ村の高橋政次郎宅に住み込みで働いている女性みつ(20)に興味を持つようになり、密かに言い寄るようになった。ところが、まったくその気がないみつに、清蔵はあっさりとふられてしまう。これまた激怒した清蔵は、40年8月20日のやはり夜11時頃、こともあろうに高橋宅に放火し半焼させたのだから呆れ果てる。

 まつや彦次郎、みつなどを恨むあまり、ほかの関係のない人間も巻き添えにする可能性が極めて高い家屋への放火を何度も繰り返すとは、なんとも清蔵とは危険な男である。

 しかもこの清蔵、41年1月3日に村内のある家に忍び込んで靴を一足だけ盗んで捕まり、取り調べによって一連の事件について供述したというから、あまり頭がよいとは言えないのではなかろうか。

 放火は昔から重罪と決まっている。現在日本の法律でも、現住建造物への放火は死刑または無期懲役、もしくは5年以上の懲役である(刑法第108条)。
(文=橋本玉泉)

men'sオススメ記事

men's人気記事ランキング

men's特選アーカイブ