『半沢直樹』鉄壁のキャスティング力! 『家政婦のミタ』の40%超えなるか!?

hanzawa0807main.jpg※イメージ画像:TBSテレビ『日曜劇場「半沢直樹」』公式サイト

 8月4日(日)第4話の平均視聴率27.6%と勢いが止まらないTBS系日9ドラマ『半沢直樹』。瞬間最高視聴率30.0%超えが各メディアで取り上げられるなど、後半戦突入を前に、話題が話題を呼ぶ“視聴率マジック”が絶大な効果を発揮している。

 本作は、直木賞作家・池井戸潤の人気作を完全ドラマ化。バブル期に東京中央銀行に入行したバンカーたちが銀行の内外に現れる“敵”と戦い、組織と格闘していく様子を鮮やかに描くヒューマンドラマとなっている。「やられたら倍返し!」という半沢の台詞を真似る子どもが急増中!? 型破りなバンカーっぷりを存分に発揮する主人公の半生を、心の葛藤と共に映し出していくストーリー展開が幅広い層にウケていると言えるだろう。

 初回放送の19.4%から21.8%、22.9%、そして今回の27.6%へと異例の右肩上がり視聴率に、テレビをはじめ多くのウェブメディアが大注目。一般視聴者から専門家まで様々な“魅力解析”が成される中、今回はやはりどうしても注目せざるを得ない! その抜群な「キャスト力」を徹底追究していきたい。

 第1話で、およそ5億の負債責任を負うこととなった半沢。視聴者の目線はおそらく、「如何にして(彼が)敵をギャフンと言わせるか」の一点に絞られるはず。そのドロドロとした流れの中で、主人公以外の人物がとにかく全員怪しく見えてきてしまう…人間の奇妙な“疑心”を掻き立てる「完璧なキャスティング」こそが、作品を盛り上げる最大のポイントなのではないだろうか。

 主に大阪西支店で繰り広げられる前編では、大きく分けて3つのコミュニティが『半沢直樹』を支え、同時に追い込んでいくこととなる。

 まずは、今回の取り立て対象となる“西大阪スチールチーム”。社長・東田役の宇梶剛士は、よくバラエティ番組などで暴走族に所属していた過去を明かしているが、まさに「そのまま」といった重厚感のある悪役を熱演。逃げて逃げて逃げまくるが…たとえ見つかってしまった時でさえ、余裕かつ不適な笑みを浮かべる様は、彼にしかできないリアルな表情と言えよう。

 また、半沢を追放すべく目論む人物・浅野支店長を演じるのは、劇団四季で培った迫力ある演技と共に、これまでの舞台活動の集大成を魅せる石丸幹二だ。番宣で出演した『はなまるマーケット』(TBS系)では、「演技をする際、堺さんとの対峙シーンで、顔の距離が近い!(笑)ドラマの撮影にはまだまだ慣れないので、勉強になる」と語っていたが、他のキャストに比べ認知度が低い中、異様な存在感を放っている注目株の一人である。

 加えて、元大阪スチールの下請け会社所属の竹下社長演じる赤井英和も、元ボクサーというパワフルさを存分に押し出した“半沢の右腕”としての行動力を発揮しているが、時折見せる半沢との心の距離感がどうも気になる目が離せない役どころ。いずれも、それぞれの個性を活かした配役が決め手になっていることが見てとれる。

 次に、窮地の半沢を全面的にバックアップする“融資課&同期チーム”の存在も忘れてはならない。キャスティングの発表時、周りのキャストに比べやや心配だったHey!Say!JUMP・中島裕翔も今回、なかなかにいい味を出している。半沢の部下、課の最年少として負債事件に関わり、時に本部の人間に取り込まれそうになるも、半沢を心から慕い、真っ直ぐで純粋な瞳を向ける唯一の人物。最終回までに、彼が世間に揉まれないことを切に願う視聴者も多いだろう。

 また、これまでに数々の犯人役をつとめてきた滝藤賢一演じる、目力の迫力がやや恐過ぎる同期・近藤。常に半沢のそばにいる及川光博演じる渡真利も怪しさ満点だ。特に渡真利に対しては、今のところ半沢の出向を阻止すべく身体を張って協力しているように見えるが…どうも彼の行動が「怪し過ぎる」「いつ裏切るかわからない」というネット上の意見も多いよう。実は裏で事件を誘導している!? とまでは行かないものの、彼が半沢を一体どう導きたいのか。ミッチーならではの中性的な振る舞いが功を奏し、妙な距離感を生み出している。

 そして最後に、半沢を取り巻く“女子チーム”にも是非注目していただきたい。演技力に特に期待はしていなかったものの、幼い頃からあだ名が“愛人”だったという有名なエピソードが証明するように、異性とお金の臭いがプンプンする壇蜜の色気は必見。彼女は前作『お天気お姉さん』(テレビ朝日系)のママ役といい、どうもピッタリとハマるキャラクターに恵まれている。半沢が第4話の最後で「彼女に全てを託した」と言ったように、前半戦の行方は壇蜜の行動に掛かっているとあり、あのポテッとした唇から発せられる言葉に、30%を超える視聴者が釘付けになっていることは間違いない。

 さらには、ネット上で賛否両論が飛び交っている妻役・上戸彩と半沢の掛け合いが、回を増す毎に視聴率を伸ばしている点も要チェック。彼女の存在だけがやや現代的だと異論を唱える者もいるが、噛めば噛むほど味が出るとでも表現すべきか…半沢が作中、唯一ほっとできる異空間として、彼女が高いトーンで「負けんじゃねぇぞ!」と首を傾けるシーンに苦笑と言えど、口元を綻ばせる人は多いだろう。関係者からは、「ここの役には、結婚していなければ菅野美穂が良かったのかも…? もう少し大人な女性でも良かった気はするが、最後までに天真爛漫な妻がどう作品に影響するのかが見所と言えるかもしれませんね」(芸能ライター)との意見も寄せられている。

 主演の堺雅人はもちろんのこと、香川照之や北大路欣也など、後半に向けより強力な演技対決が見込まれる『半沢直樹』。一歩一歩近づく最終回に向け、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の40%超えなるか? 期待が高まっている。
(文=TAROKICHI)

TAROKICHI
ドラマウォッチャー歴20年。王道のラブストーリーを好む傾向にあるが、刑事ドラマなどのアクション・推理ものも嫌いではなく、基本的には雑食系。『ショムニ』の坪井千夏をこよなく愛し、あのキャラに勝る“目標・強い女”を探し、日々ザッピングを続けている。

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