AKB48選抜総選挙の誤算、OG参加の是非を問う!

akbsenkyo0327.jpg※画像:第4回AKB総選挙/撮影=後藤秀二より

 3月26日、AKB48のオフィシャルサイトで、『AKB48 32ndシングル選抜総選挙(第五回選抜総選挙)』開催とその概要が発表された。今年度の総選挙では立候補制を導入、国内48グループ全メンバーと海外移籍組(宮澤佐江・鈴木まりや・仲川遥香・高城亜樹)、さらに過去に4年以上AKBに在籍していたメンバーの中で立候補したものが選挙に出る、という形になる。開票は6月8日、7万人収容の日産スタジアムで行われる『AKBスーパーフェスティバル』の中で行い、当日はライブと総選挙が二部制で行われる予定のようだ。

 今回導入された「立候補制システム」は、世代交代を急ぐ運営陣にいくつかのメリットをもたらすだろう。

【1】大島優子ら集票力あるメンバーが辞退できる

 今年度も第一位が予想される大島だが、女優志望の本人はAKB外での仕事も充実しているうえ、センターポジションへのこだわりもなく、選挙への参加に積極的ではないと考えられる。小嶋陽菜らほかの年長メンバーも同様だ。

【2】世代交代の流れを助長できる

 ベテランが辞退することで上位の枠が空くため、若手がランクインする可能性が高まる。マスコミ報道によって新世代の名前と顔を広く世間に知らせることができる。

【3】OG参加を匂わせ、大手メディアの注目を集める

 特に前田敦子を出馬させ、元祖センターでAKBの顔だった彼女に、若手たちが立ち向かうという構図を作れば、マスコミは湧く。

【4】OG参加を強調することで、総選挙がグループ内の「序列決め」ではないことをアピール

 現役ではないメンバーも入ることで、1枚のシングルでの立ち位置を決めるだけの(今回は32nd)の総選挙イベントであることを強調でき、その後の序列への影響を下げる。

 神7と呼ばれる上位メンツは毎回大きなランク変動がなかったが、今年は板野友美が卒業を予定しており、小嶋陽菜や高橋みなみも卒業を意識していると発言する中、上位陣無風選挙になっては面白くない。神7クラスのメンバーに関しては、選挙に出ようが出まいがAKB内での序列に及ぼす影響は少なく、世代交代のダイナミズムを演出するためにも、辞退が望ましいということになる。

 だがその一方で、デメリットも当然生まれる。

【1】大島ら集票力のあるメンバーの辞退は売り上げに響く

 今回、投票権がつく31stシングルのみならず、人気メンバーが辞退した場合の32ndシングルの売り上げにも大きな影響があるだろう。

【2】上位の辞退による若手ランクアップはバッシングの対象になりやすい

 昨年、篠田麻里子が放った「席が空くのを待つのは違う」「つぶすつもりで来てください」という言葉を運営のシステムが否定する形になる。

【3】仕事が充実しているOG(前田や増田有華など)が今さら選挙に出るメリットはない

 恋愛禁止条例を破り、グループを離れていったメンバーも多く、彼女たちが出馬表明したとしても、必ずしもファンが歓迎するわけではないだろう。

【4】「序列決めではない」とアピールしたとしても、32ndシングル以降のポジションに順位が一切反映されなければ、ファンから不満の声が上がる現状は変わらない

 ちなみに、神7の篠田麻里子はすぐに出馬表明をしており、OGの小野恵令奈はTwitterで不参加を明言している。前田や小野以外で4年以上在籍していたOGというと、SDN48に移籍した野呂佳代、大堀恵ら、増田有華、佐藤夏希、平嶋夏海、米沢瑠美、仲谷明香あたりになるのだろうが、仮にSDN組や今もプロダクション尾木に所属している平嶋が出馬表明したとしても、前田ほど大きな話題にはならないだろう。

 こうしたメリット・デメリットについていくら考えてもきりがないが、最も問題なのは、記念すべき大規模コンサートと総選挙を抱き合わせにしたということだ。7万人を収容できる屋外施設・日産スタジアムでのコンサート開催は今年1月にアナウンスされ、女性アーティスト史上初の快挙としてメディアで大きく取り上げられた。しかし考えてもみてほしい。

 ただでさえ広い日産スタジアム、しかも総選挙の開票が控えているという状況で、集中してパフォーマンスを披露できるメンバーがどれだけいるだろうか? 観客であるファンにしても、その後の選挙予想や推しメンの動向が気になり、コンサートを単純に楽しむことができるかどうか。

 握手会でのミニコンサートではなく、7,800円というAKBにしては高額な入場料を取って行う大規模なコンサートにもかかわらず、“選挙のおまけ扱い”になってしまっては、あまりにも寂しい。運営としては、メンタル的なベストコンディションでコンサートをさせることよりも、集客数・話題作りのほうが大切なのだろうか。

「そうは言っても、1月に開催が発表されたときも、ただのコンサートではなく『お祭り的な内容になる』と予告されていましたし、6月は例年、総選挙の開催月であることから、フェス内で開票があるのではという声もありました。ただ屋外での長時間イベントになるので、天候によってはズブ濡れになったり熱中症になったりといった可能性もあるため、運営には万全のサポート体制をとってほしいところですが」(芸能記者)

 万が一、雨が降りしきる中の開票となれば、悲惨な光景が広がりそうだ。 昨年、チームAで唯一名前を呼ばれないまま、うつむいて椅子に座り続けている松原夏海の可哀想な姿があったが、雨に打たれて、びしょ濡れになりながらうなだれて座っているメンバーの残酷な姿を見せられることになったとしたらあまりに悪趣味で、ファンもたまったものではない。

「逆にそういう意味では、立候補制度は、選挙での圏内ランクインが難しそうな干され中堅メンバーの踏み絵、あるいは肩叩きになるかもしれませんが。出馬しないということは、はじめから32ndシングルへの参加をあきらめているということになりますからね。上位入賞して表題曲のメンバーになれなくても、アンダーガールズやネクストガールズといった括りに入ればカップリング曲をもらうことはできる。そのチャンスを自ら潰すことになります。大島クラスの人気でもないのに出馬しないということは、活動そのものを辞退することと受け取られかねません」(前同)

 多くのメンバーを苦悩させそうな「立候補制度」。果たして吉と出るか凶と出るか…。
(文=潜水亭沈没)

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