業界関係者が選ぶ「とりあえず」で集められる売れっ子便利芸人

※イメージ画像:左『オレは絶対性格悪くない!』太田出版
『千原ジュニアの題と解』太田出版

 秋の番組改編期も終盤に入り、各局共に通常放送に戻りつつあるこの時期。『小杉&後藤のなんでやねん×なんでやねん』(テレビ朝日系)や、『注文の多い料理人』(TBS系)など、単発企画の番組も数多く放送されたが、今回の記事では、そんな番組で特に重宝される「とりあえずコイツがいれば安心だ」という売れっ子芸人について言及したい。話を聞いたのは、放送作家や制作会社ディレクターなどの業界関係者。番組企画会議では必ずと言っていいほどキャスティングの候補に挙がるという売れっ子芸人たちの魅力とは一体なんなのだろうか。

 そんな売れっ子“便利”芸人の筆頭は、今もっとも好感度と視聴率を兼ね備える有吉弘行だ。

「やっぱり有吉さんでしょう。これまでは返しに定評のあった彼も、最近ではMCとしての能力も身につけて、まさに鬼に金棒といった状態です。視聴者の受けもいいし、数字も安定してますからね。あれだけ毒舌だと言われながら、きちんと一線を引いていて、決して地雷を踏むようなことはないですし。番組の主旨を理解して自分をコントロールできるから、スタッフ受けも抜群ですよ」(業界関係者)

 毒舌王の中身は、スキルの伴ったクレバー芸人ということだろうか。どんな番組でも存在感を見せる有吉は、もうただの“その他”ではない。そして、次に名前が挙がったのはバナナマンの設楽統だ。

「女性から人気のある設楽さんですが、実はと言っちゃ語弊があるかもしれないですけど、多くの後輩芸人が憧れる存在でもあるんです。ネタは抜群に面白いし、わが道を行くタイプでありながら視聴者からの支持もあるわけですから。それに加えて設楽さんの後輩イジりは、独特のSっ気のせいか嫌味がなくていいんですよね。それも後輩に好かれているからだと思うんですが、スマートなイジりなんで番組にはぜひ欲しい存在ですよね」(放送作家)

 バナナマンとしての活躍に加えて、近頃ピンでの仕事の増えた設楽。作家からも太鼓判を押される彼の勢いはまさにノンストップか。さらに次に名前の挙がったのは千原ジュニアだ。

「正直に言って、どんな企画でも、とりあえずジュニアさんを呼んでおけば何とかなるだろうっていうのはありますよね。番組の企画や進行自体にも自ら率先して手を加えてくれますし。収録の雰囲気や状況を見て、台本を無視することもありますけど、結果的に編集してみるとジュニアさんの選択が正しかったなんてことはよくあります。きっとカメラが回っている間も、本放送をイメージしながら喋っているんでしょうね。とても頭のいい芸人さんだと思いますよ」(バラエティ制作会社ディレクター)

 近頃はゲスト出演の多いジュニアだが、番組で見せる一瞬の切り返しやトークは、さすがと言うべきもの。そんなジュニアが近頃では後輩芸人の番組にも頻繁に顔を出すようになっており、制作サイドとしても彼を起用しやすくなっているのかもしれない。

 その他、関係者が語る売れっ子便利芸人の中には、トークを盛り上げる仕切りができて、ツッコミで笑いが取れ、それでいて自らもイジられることをいとわないフットボールアワーの後藤輝基や、“THE若手”というイメージの強く、使い勝手のいい平成ノブシコブシなどの名前があった。

 確かに「とりあえず…」感覚で呼ばれる芸人たちには、制作サイドが安心するだけの技術があるのは間違いない。だからこそ彼らは頼られるのだろう。今のテレビ番組は、視聴率の低迷や少しでも番組批判があれば、すぐに存続の危ぶまれる状況にある。少しでも長続きさせたいというのがスタッフの本音だ。一見「とりあえず…」感覚は弱気のようだが、現代の社会状況を鑑みれば仕方がないとも言える。今や視聴者も、彼らのような売れっ子便利芸人たちの“笑い”に頼るしかないのかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

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