「つまんないクセにエロい」新宿のキャバ嬢たちにすこぶる評判の悪い芸人とは

※イメージ画像:『BEST CLUB 2008年 08月号』ナイタイ出版

「こないだ超最悪だったんですよ~」そう彼女が言ったのは、記者がサービスのビールに口をつけた後だった。彼女というのは、新宿のキャバクラのMちゃん。フジテレビの本田朋子アナを少し派手にした感じの可愛らしいコだ。70分5,000円という値段にしては、なかなかの美人。記者はビールを半分ほど飲むと、「どうしたの?」と、そのスベスベの太ももに何気なく手を置いてから聞いた。

「芸人さんたちとコンパしたんですけど、これがもう最悪で……」

 聞けば、このMちゃん、芸人たちとはよくコンパなどをするらしい。ほとんどの芸人たちは、意外と紳士で、盛り上げるのがうまく、たいていの合コンは楽しいというのだが、その日のコンパはどうやら最悪だったという。

 「何が最悪だったの?」と聞くと、話がつまんないし、とにかく盛り上がらない、自慢話ばかりを披露した挙句に無理やり女のコに飲ませてセクハラしまくっていたからだという。「そりゃ災難だったね」なんて言うと、「ホントもう最悪。HのKとか、もうテレビで見るのもイヤ」といきなり名前を教えてくれる。ちなみに、HのKとは、大手芸人事務所Y所属の若手芸人で、独特のリズムゲーム風コントで人気を博したコンビの“じゃない方”といえばだいたいの察しがつくだろうか。

 そんな話を聞いていると、ふと記者はMちゃんと同じことを言っていた別のキャバ嬢がいたことを思い出した。どうやらHのKとは、なかなか合コンでは態度のよろしくないようだ。

 「で、他には誰がいたの?」と聞くと、チャラ男でブレイクしたKと、Hと同期のFのMの名前が挙がる。これまたどうしたことか、この店に入る前に飲んでいたガールズバーのコが、昔FのMと合コンをして最悪だったと愚痴をこぼしていた。こうなってくると、どうも気になってしまうのが、仕事柄というものだろうか。急に取材モードに入った記者は、その後、朝まで新宿のキャバクラを渡り歩くことを決意。散財に後悔しながら評判の悪い芸人をリサーチした。

 お邪魔した店は新宿の歌舞伎町を中心にしたキャバクラ6軒。すべてフリーのワンセットで店を出て、計15人ほどの女のコから情報を得た。驚いたのは、ほとんどの女のコが芸人たちと合コンや飲み会を経験していたことだ。2名ほど、「ぜんぜん興味ないです」というコがいたが、15人中13人が芸人と遊んだことがあるというのは、ライブ会場なども多い新宿の土地柄なのか、女のコにとってもある種のステータスになるためなのか、かなりの割合といえるだろう。

 とはいえ、そんな女のコ13人から出てくる名前の多くは、ほとんどまだテレビにも出たことのないような売れない若手芸人。そして、そんな若手芸人の中には、とんでもない輩も多いという。

 ある女のコは、「つまんないクセに偉そう」や「○○先輩と仲がいいとか言ってたけど、だからなに?って感じ」と顔をしかめ、また別のコは、「お金も払ってくれない上に、タクシー代ないからとか言って無理やり家にあがってこようとして困った」と記者に被害を報告する。そんな話を聞いていると、またまた俎上に上がったのがHのKとFのM。

 自分はほとんど酒を飲まないクセに女のコにばかり飲ませ、隙あらば体に触れるという評判のこの2人。13人中、4人の女のコが同じような話をしていたのだから、合コンにおける彼らの評判というのは、なかなかよろしくないといえるだろう。ある女のコなど、「HのKとは飲んだことないけど、けっこう評判悪いよね~」というのだから、その悪評はすでに広まっているのかもしれない。そしてそんな彼らに共通するのが、「芸人のクセにつまらない」といった女のコたちの感想だった。

 男女の出会いの場としての合コンなのだから、つまらないと言われてもどうしようもないだろうが、やはり芸人と飲むとなれば、それなりにハードルが上がるのは仕方がない。そもそも芸人というのは、自分を面白いと自負している人々なのだ。にもかかわらず、合コン相手の女のコたちに「つまらない」「最悪だった」といわれてしまう若手芸人たち。酒の勢いやその場の雰囲気で多少エロくなってしまうのは男の性というもの。しかし、一般人と違って彼らは芸人だ。つまらないと言われてしまっては身も蓋もない。どんなにエロくてもいい、そこに面白さがあれば――。芸人とはきっとそういうものなのではないだろうか。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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