「反原発で売名か」と言われ続けた山本太郎、彼は何者なのか

※イメージ画像:『ひとり舞台 脱原発-闘う役者の真実-』
著:山本太郎/集英社

 東日本大震災によって発生した原発事故から一年。原発継続派と反原発派の議論は、専門家や知識人、一般人に至るまで広がりを見せているが、政治的な発言をするべきではないという風潮があった芸能界も例外ではなくなった。

 その一番手といえるのが俳優の山本太郎(37)。事故発生後からTwitterなどで反原発を繰り返し提唱してきた山本は「原発発言やリツイートはCHECKされ必ず仕事干される」と発言し、さらに「決まっていたドラマの仕事を降板させられた」と圧力の存在を示唆。
その影響か、昨年5月に所属していた俳優事務所SISを退社した。

 以後、フリーとなった山本は反原発集会やデモ行進などに積極的に参加し、討論番組や雑誌インタビューなどでも反原発のメッセージを送り続けている。

 利益の発生しない市民活動に力を入れているため、収入は以前の10分の1以下になったようだが、彼は「役者の仕事は10年後、20年後でもできる」「日本の原発は危機的な状況にある。いま言わないといけないと思った」と反原発に懸ける思いを語っている。

 だが、事務所に所属していたころよりも山本の露出は確実に増えており、圧力があるはずだったテレビにも討論番組を中心に出演している。

 さらに、今年1月に公開されたオダギリジョーとチャン・ドンゴン主演の韓国映画『マイウェイ 12,000キロの真実』(カン・ジェギュ監督)に出演、2月に著書『ひとり舞台 脱原発~闘う役者の真実~』(集英社)を出版、4月には美輪明宏(76)主演の舞台『椿姫』(ル・テアトル銀座/4月4日~5月6日)に出演、久々となるドラマ収録も予定している。

 地位をかなぐり捨てて反原発活動に身をささげたように見えていた山本だが、一部からは「反原発活動で売名行為をしている」といった皮肉もささやかれているが…。

「事務所に所属していたころに比べて収入が激減したのは事実でしょう。テレビ出演もギャラの安い文化人枠の扱いです。露出が増えたのは、討論番組などで原発の是非を問う企画がやりやすくなり、知名度のある彼が起用されやすくなったためです。彼の主張に全面的には賛同はできませんが、実際に先行きの不安定なフリーになったのですから、気骨がある男であることは確かでしょう。そこは信頼できます」(テレビ関係者)

 また、反原発活動で売名してから政治家に転身するのでは? といった声もある。

「今夏の衆院選で目玉候補の一人として立てようと、民主党、自民党、社民党などが彼に接触しました。しかし、山本は『市民の中から出てきた候補者を応援したい』と首を縦に振らなかった。少なくとも、原発を推進した自民や事故対応が後手後手になった民主は眼中にないでしょう」(週刊誌記者)

 反原発活動で生じる危険や経済的不安に巻きこまないようにと恋人と別れ、放射能汚染を危惧して大阪への転居も計画しているという山本。収入が減り私生活を犠牲にしても活動を続け、政治家転身もするつもりがないとすれば、彼の狙いは一体何なのか。

 原発事故以後、放射能への恐怖からヒステリックな言動が目立つようになった有名人は大勢おり、山本もその中の一人なのではないかとの見方もあり、左翼活動家に利用されているだけではないかとの批判もある。だが、現状では彼が損得抜きで反原発活動に注力していることだけは疑いようがないようだ。

 山本の主張には賛否両論あるが、芸能人が政治的な発言をしてもいいという空気を作り出したのも彼の功績といえる。影響力の大きい芸能人が声を上げることで、次第に庶民の関心が薄れつつある原発論議が活発化することを期待したい。

『母ちゃんごめん普通に生きられなくて』

 
反原発のシンボルのようになってます


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