貧婚が流行語になると困る男性の本音とは

kekkonjunbi0721.jpg※イメージ画像:『結婚準備パーフェクトBOOK』/成美堂出版より

 流行語の誕生には2パターンある。爆発的に知名度が広がるものと、じわじわと世間に浸透していくもの。七夕に結婚を発表したお笑い芸人、麒麟・田村裕の「貧婚」という言葉は、まさに後者にあたるのではないだろうか。

 数年前にベストセラーとなった著書の印税は使い果たし、来春挙式を考えてはいるが、結婚資金は事務所に借りるしかない、というジョークから飛び出したのが貧婚発言だった。印税は、家族のために使ったとのことだが、「あの時の金をとっておけばよかった」というような後悔の様子が全くないのは実に爽やか。仮に、遊びでパーッと使ってしまったとしても、それはそれで芸人らしくて好印象が持てる。

 しかし、一点気になるのが「結婚資金」という言葉。この言葉に関しては、お笑い芸人よりも一般男性のほうが敏感に反応してしまうのではないだろうか。結婚前の同棲中カップルからも、「結婚資金のために、デートは節制している」という話を聞くが、そもそも結婚とは、紙キレ1枚を出せば成立するもので、大金がかかるようなものではないはずだ。しかし結婚関連のインターネットサイト等を見ると、両家の顔合わせ・結納・挙式・披露宴・新婚旅行などに対して、総額200~300万の資金で臨んだという既婚者の体験談が、これでもかとばかりに羅列されており、「ひぇ~、ムリムリ」と尻込みしてしまう未婚者がいるというのも頷ける。

 だが、結婚資金が貯まるのを待っていては、いつまでたっても結婚は出来ないだろう。結婚を前提に交際中のAさん(30代前半・女性)に話を聞いたところ、「彼氏と始めた結婚貯金がぼちぼち100万に近付いてきたので、そろそろだねと切り出したところ、彼氏はまだ足りないという。結婚の話が出て1年以上経っているのに、どれだけ溜めれば良いのやら、と不安になってきた」とのこと。そう、上を見上げればキリがないのだ。しかし、上を見上げているのは実は男性側のみで、女性側は意外や意外、全く逆方向を見ていることも。

 まず、結婚資金の大半を占めるのが、おそらく挙式・披露宴代だろう。だが、これに関しては「地味婚でいい」という女性が増えてきている。晩婚化の影響か、「三十路を過ぎたことだし、ウェディングドレスを着たいという願望は消滅した」というアラサー女性もいれば、「友達付き合いが希薄なため、披露宴に呼べるような友人がいない。披露宴を開くとしたら、代理出席業者に頼むしかないので、いっそのこと地味婚で」という平成女子もいる。結婚資金に頭を悩ます独身男性にとっては、肩の荷が下りる思いである。

 次に新婚旅行だが、これも「今すぐ行かなくても、いずれ行けば良い」という考えの女性もいる。一番の理由は、「仕事の休みをとるのが大変」とのこと。今や、女性でも重要なポストを任される時代である。「有給を申請することは可能だが、他人任せには出来ない仕事を抱えている」というキャリアウーマンもいれば、「時給制の派遣OLのため、休みをとるのは簡単だが、休めばそのぶん月収が減る」という理由から、長期の休みを避けたがるケースもあるようだ。

 さらには、結婚指輪も不要という女性も少なくない。パソコンの普及により、一般職でも1人1台はパソコンを使う時代。「指輪を着けているとキーボードが打ちにくい」という、実用面での理由からだった。また、「指輪が欲しい」という女性でも、「パソコンに向かっている時は外すことになる。万が一紛失してしまうことを考えると、高額なものではなくリーズナブルな指輪のほうが気がラク」とのことだった。余談だが、筆者は左利きのため、左手薬指に指輪をつけていると、あらゆる面で不便という理由から、指輪は不要と考えている。

 挙式・披露宴、新婚旅行、指輪……全て不要とカノジョが言っているのに、それでも足踏みしてしまう男性は、もしかすると結婚資金を理由に、結婚を避けているのかもしれない。繰り返すようだが、結婚は紙キレ1枚で成立する。貧婚が流行語になってしまっては、カノジョから逃げられなくなるなぁと思う男性は、今のうちに別れを切り出しておいたほうが、後々面倒を起こさずに済むかもしれない。
(文=菊池 美佳子)

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