通勤電車……目線に悩む社会人

tukinressha0524.jpg※イメージ画像 photo by MusikeSum.Sophía Orna from flickr

「電車通勤ほどおっくうなものはない」「電車に乗らなくてもいい生活がしたい」「夢はマイカー通勤」
など、通勤電車にストレスを抱えている人も多いだろう。限られたスペースの中で、赤の他人と体を密着させ、長時間同じ姿勢でいなければならないというのは、ストレスがたまって当然である。とはいえ、社会人にとって電車通勤は、残念ながら避けては通れない。

 ならば、「せめて座って通勤したい」という妥協案に至る。『通勤電車で座る技術!』という本も出ているくらい、通勤電車で座ることは、社会人にとっては重要事項である。しかし、いざ座れたとしても、またもや次なる難題が降りかかってくる。「運良く座れた時、どこを見ていいのか分からない」というお悩みを抱えている電車通勤者が少なくないのだ。

 自分が座った席の正面に人が立った時……前を見ると、そこには「股間」がある。もちろん、身長によっても多少異なってくるが、たいていの人は、自分の顔の高さに、立っている人の股間の位置がある状態になるだろう。冬場は、コートやジャケットなどが盾になってくれていたから良いものの、これからの季節はズボンにワイシャツという格好のサラリーマンや、ブラウスにスカート姿のOLが増えるため、座っている時の目線にますます困るという人が続出する季節になるのだ。「正面に立った男性のズボンがぴっちりしたジーンズだったりすると、形や大きさ、どちら側に収納しているのかを見てしまう」「ポンって触ったらどうなるんだろう……などと、くだらない妄想をしてしまう」「自分は正面を向いて座っているだけなのに、股間を凝視していると勘違いされていないか心配」など、具体的なお悩みが、電車を利用する多くの社会人女性から寄せられた。

「目を閉じて寝ていればいいではないか!」と思う人もいるかもしれないが、「目をつぶってしまうと、眠ってしまいそうで、寝過ごすのが怖い」という声もある。確かに、残業などのハードワークでお疲れ気味の社会人にとって、電車内の睡魔は大敵だ。読書などでも、熱中し過ぎて乗り過ごしてしまうというケースも想定される。

「携帯電話をいじる」という解決策もあるが、なにぶん最近の携帯電話はアプリケーションの充実などにより、電池の消耗が早い。電車内で無駄に消費して、肝心な時にバッテリー不足になってしまうのも困る。

 そこで、電車で座れた時の目線について、電車通勤経験のある女性たちによると、

・「広告を読むことによって、斜め方向を見るようにしている」
・「下を向く。目線の先に見える靴が汚れていたりするとげんなりするが、股間を見るよりは……」
・「無意識に股間をボーッと見ていることもある。意外と安らぐ」

などの回答が寄せられた。なお、正面に立った人の股間をボーッと見る、と答えた女性が見るのは、あくまでも異性の股間のみ。正面に立った人物が同性の場合は、他の回答と同様に、広告を見たり下を向いたりしているとのことだった。

 では、視点を変えて、見られている側……つまり、立っている人はどのような心理状態なのだろうか。通勤電車ではほとんど座れない、という男性たちに聞いてみたところ、「正面に座っている人が、自分の股間が気になっているなんて、考えもしなかった」「まれに視線を感じ、まさかズボンのチャックが開いているのでは? と心配になることがある」「自分の股間を気にされているとしたら恥ずかしい。座席前でなく、ドア付近に立つようにするべきなのか」など、さまざまな声が寄せられた。

 いずれにせよ、座っている人が、正面に立っている人の股間を、多かれ少なかれ気にしていることは事実である。立っている側は、決して意識しすぎる必要はないし、ましてや、見せつけるように仁王立ちする必要もない。意識しすぎて、股間に変化を来してしまったら、それこそ一大事だ。どうしても意識してしまうという場合は、すそが長めの上着を着て股間部分を隠す、カバンを体の前に抱える、などが有効であろう。また、異性の前には立たず、同性の前に立った方が、自分の股間を気にされる心配は軽減されるのかもしれない。とはいえ、満員電車の中で立ち位置を確保するだけでも至難の業。いちいち、「同性の前に立とう」などと考えていられないのが、現代の通勤電車事情である。
(文=菊池 美佳子/ブログ「マンゴージュースと黒あわび」

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