「ネット風評被害」に悩まされる芸能人が立ち上がるとき

20110323uno.jpg神田うの公式サイトより

 神田うのがネットの噂話に激怒している。その内容とは、彼女が「16年前、阪神淡路大震災の時の被害で死亡した人数を賭けていた」というものだ。オフィシャルブログ「UNO Fashion Diary」の”悲しすぎるネット被害”と題された23日の記事には以下のように、本人が長年いわれのない誹謗中傷に悩まされていた事を伺わせるような記述が見られる。

「これ以上の我慢も限界に達してしまいましたので、書かせていただきますね。」
「悪意に満ちた事実無根のつくり話で誹謗中傷され またか・・・と思いながら、ただただ傷付いてきましたが」
「想像しただけでも恐ろしい事実無根の事実無根の酷い作り話しがネット上を駆け回っており」

 と、当然ながら本人は心を痛めているようだ。この噂、数年前からネット上の掲示板などに書き込まれており、今回の東北関東大震災をきっかけとして、再び話題になったようだ。本人のブログのコメント欄にも「謝罪しろ!」などのコメントが書き込まれていたという。実際のところは、阪神淡路大震災の時に19歳だった彼女は50万円を寄付しており、今回の震災でも日本赤十字社に1,000万円を寄付しているのだから、ショックは大きいだろう。

 このように、ネットにおける芸能人への”根も葉もない噂”が大きくなったという事例は過去にもある。お笑い芸人スマイリーキクチの誹謗中傷被害を覚えている方も多いのではないだろうか。かつて東京都足立区で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」にキクチが関与しているという虚偽の書き込みがなんと2000年前後から、約10年間に渡って続いていたというものである。本人のブログにも同様の書き込みが相次ぎ、所属事務所や本人が否定しても一向に収まらなかった。ついには警視庁も動き、捜査一課と中野署が、名誉毀損と傷害容疑で計6人を書類送検するという事態に。その6人は「コンクリート詰め殺人事件 あんた殺人犯 死ねば」「生きる資格はねーんだよ ふざけやがって てめえパンチくらわす」などという呆れた書き込みを行っていた。

 そもそもネットは記事のコピーも容易で、拡散しやすく噂が広まりやすい。そのうえ匿名性が高く、誰がそのデマを流したかという事もすぐには分からない。この性質により、感情的なネットユーザーがしばしば芸能人を攻撃する現象は、もはや見慣れた光景だ。しかし芸能人にとってイメージというものは何よりも大事であり、即、仕事に直結する。イメージが悪くなれば仕事も減ってしまうことになりかねない。芸能人から被害届を出されれば、警察が動く可能性は高いだろう。警察は著名人からの被害届には迅速な対応をする傾向があるからだ。逮捕されれば、内容によっては起訴され、前科がつく。また、発信者を特定して民事訴訟を起こされる可能性も考えられる。その場合、民事裁判の被告となり、法廷に立たなければならない。いずれにせよ、調子に乗って書き込みを続けている発信者は、被害者が動けば、それ相応の報復を受けることになる。神田うののケースにおいては、まだ本人が黙殺しているため、発信者がのさばっていられるとも言える。

 現在、ネットは有用なツールとして生活の一部になっているが、例えば他人の書いた文章を許可なくコピペしたり(著作権法違反)、今回のように裏を取っていない事柄をさも事実であるかのように広めたり(名誉毀損)など、法を無視した行動が散見される。今後、このようなネットユーザーの自由な振る舞いに対して、きちんと対処しはじめる芸能人が増えていくのではないだろうか。

『名誉毀損―表現の自由をめぐる攻防』

 
知っておきたい”知識”

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