『未亡人と管理人』川上ゆう

「プレイの中では羞恥が一番好きなんです。好きすぎて、感情が入りすぎて、台本には書いてなかったのですが、涙を流してしまったんですよね」

 こう聞かせてくれたのは、この作品の主役である川上ゆうさん。現在28歳の彼女は、若妻作品を中心に活躍する人気AV女優。デビューから7年。一度引退したにも関わらず、SM作品に出たいという理由で復活した筋金入りのM女である。

 彼女が涙を流してまで「辱めに溺れた」と語る本作は、不慮の事故で夫を亡くした人妻ゆうと、彼女の心の隙につけこむスケベ大家との羞恥プレイを描いた官能ドラマ。未亡人の心の揺らぎを切なくもエロティックに表現した濃厚な作品である。

 夫を亡くして間もなく、悲嘆にくれる喪服姿のゆうの元に管理人が訪れる場面からドラマは始まる。彼は弔辞もそこそこにゆうに冷たい一言を浴びせる。夫に借金があったと言うのだ。夫を失い生活の基盤を無くしたゆうに返済が見込めるはずもなく、それを知っている大家は、すぐさまゆうの肉体を求めてくる。拒むことのできない彼女。絶望にうなだれるその横顔をせせら笑うように、粘着質な責めを繰り返し、やがて彼はゆうを性玩具のごとく扱い始めるのだった……。

 プライベートでも羞恥プレイが大好きだという川上さんは、こうも聞かせてくれた。

「でもね、私、レイプはNGなんです」

 え!? 大家とのこのくだりはレイプではないのか? そう尋ねると彼女は、精神的に追い詰められた状況で受け入れてしまうセックスはレイプではないと答えた。なるほど、そう聞かされると、この作品は一気に劣情的に見えてくる。彼女は拒みながら犯される状況を密かに悦んでいたのだ。犯している相手にさえバレぬように。

 その後、大家の辱めはエスカレートし、近隣住民まで巻き込む騒動へと発展。大勢の飢えた男たちに取り囲まれた彼女は、逃げ出す術もなくし、諦めたように快感に堕ちていく。その女臭い喘ぎは、SM作品に興味を持たない人にまでズシンと響き渡るはず。なぜなら、彼女の涙の悶絶は正真正銘の本物だから。ドキュメントにも勝る圧倒的な信憑性がそこにはあるのだ。

 SMの世界の奥は深く、敷居が高いのも事実。しかし、彼女の演じるM女は、辛気臭い雰囲気はなく、むしろ強欲なまでのエロスに簡単に引きこまれてしまうものばかり。故にSM作品が苦手だと感じている人には入門編としても楽しめるだろう。ぜひ、彼女の真の恍惚に触れ、共に興奮を味わっていただきたい。
(AV評:文月みほ)
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