出版最大手の講談社も経営危機? 終わりなき出版不況

出版最大手の講談社も経営危機? 終わりなき出版不況の画像1講談社オフィシャルサイトより

 出版不況といわれる昨今。中小出版社の倒産が珍しくなくなり、大手出版社の小学館も、「小学5年生」「小学6年生」「Sabra」など多くの雑誌の休刊を発表した。昨年末は経費削減により関係者を招いての忘年会を中止する出版社も多かった。そんな中、国内最大手の講談社が経営危機に陥っているとの情報が業界に流れている。

「講談社は昨年の第70期決算で大赤字を出しました。雑誌の部数は下げ止まらず、広告収入は激減、コミックス売上やキャラクター関連の著作権ビジネスも低調だったためです。それ以降も経営改善策を打ち出せず、状況は悪化する一方。信頼できる情報筋からも『いよいよ講談社がヤバイ』との声が聞こえてきています。今年の決算の結果次第で、早期退職者の募集やリストラの断行も起こり得る状況だと聞いています」(出版関係者)

 講談社は昨年2月、2007年12月‐08年11月期決算で当期純損失が約78億円となり、過去最大の赤字幅になったと発表した。月刊『創』(創出版)の編集長・篠田博之氏によれば、講談社の看板雑誌「週刊現代」だけで年間20億円もの赤字を出しているといわれ、5億円の赤字を出していたという『月刊現代』は09年1月号を最後に休刊となった。

 講談社の収入の約6割を占める雑誌部門だが、日本雑誌協会の調べによれば、昨年7~9月の『週刊現代』の発行部数は47万部。毎週100万部を超えていた90年代と比べると、半分以下の数字。また、98年には発行部数425万部を記録し、少年誌トップとなった『週刊少年マガジン』も161万部と部数を激減させ、284万部の「週刊少年ジャンプ」(集英社)に120万部以上の差をつけられている。だが、発行部数だけでは本当の恐ろしさは見えてこないという。

「出版社にとっては、広告収入に直結する部数減少が痛いのは当然ですが、返本率が異常に高くなったことも厳しい。以前は40%以下だった返本率が、最近は大手出版社で50%を超えるようになった。つまり、実際には発行部数の半分以下しか売れていないということです。広告収入メインの雑誌部門はまだしも、書籍部門は大打撃を受けており、中小出版社では書籍は初刷りで5000部程度しか作らないというところも多い。返本されて倉庫に入りきらなくなった雑誌や書籍が、取次のトーハンや日販で断裁処分される現場に立ち会うと、あまりの膨大さにゾッとしますよ」(前出)

 問題は売上や広告収入の減少だけでなく、会社が大赤字になっても社員の給与が高値で安定していることも大きい。かつて、ニュースサイト『My News Japan』の編集長・渡邉正裕氏が同サイトで、講談社の入社5年目27歳の社員が年収1200万円というテレビ局並みの高給であることや、ほぼ全ての講談社の編集部で入社2年目にして年収1000万円を超えることを暴露し、出版界で大きな話題となった。

 昨年は”高給取り”が多いことで知られる朝日新聞社が早期退職者を募集し始めたという情報が流れたが、新聞社と同じく、講談社も高給取りの社員たちが自分たちで会社を食い潰しているような状態になっている。その結果、しわ寄せはカメラマンや記者などに来るが、それも焼け石に水程度でしかなく限界がある。

 近年はネットやケータイに何とか活路を見出そうとする出版社も多いが、講談社は収益モデルを確立できず、ポータルサイト『MouRa』を昨年6月に、PC向けウェブコミック配信サイト『MiChao!』を昨年11月に更新停止し、運営スタッフに解散が告げられた。これを講談社内の”大粛清”の始まりと見る関係者も多く、今後、講談社の雑誌の休刊が相次ぐ可能性もある。

 かつては絶対に安泰と思われていた国内最大手の出版社の屋台骨がぐらついているとは、出版不況もついに極まってきたようだ。

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『新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に』バジリコ

 
サイゾーも頑張ります

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