セックス体験談|ベッドインと事後<前編>

隔たりセックスコラム「ベッドインと事後<前編>」

隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。


セックス体験談|ベッドインと事後<前編>の画像1
※イメージ画像:Getty Imagesより

 久しぶりに見た観覧車は、昔見たときよりも優しい印象を抱いた。

 初めてお台場の観覧車を見たのは中学生の時だった。周りにたくさんの大人のカップルがいて、僕は人混みに埋れているような感覚だった。

 その大勢の人の中から見上げた観覧車はとても力強く、まるでお台場の地にあることが誇らしいかのように、どっしりと立っていた。その大きさと比べ、自分という存在はなんでちっぽけなのだろうと感じていた。


「どうしたの?」


 横にいたランにそう尋ねられ、僕は慌てて思考を現在に戻す。あれからもう、10年以上の時が経ち、僕はもう社会人になっていた。


「いや、昔お台場に来てたことを思い出してて」


 社会人と言っても、今僕は会社を辞めて働いていない。いわばニートだ。


「この観覧車を見たのも久しぶりだなって」


 観覧車はゆっくりと、時計の短針のように優雅に回っている。中学生の頃に抱いた壮大さは感じず、いまは「焦らなくていいよ」というような、柔らかなメッセージを伝えてくれているような気がした。


「そうなんだ。乘る?」


 あの頃、僕の横には当時付き合っていた彼女がいた。彼女とは観覧車に乗っていない。

 そして、いま僕の横にはランがいる。ランは僕の恋人ではない。


「どうしようかな」


 僕とランはマッチングアプリで知り合った。ニートの自分を肯定するために、女性とセックスできたらいいなと思って使っていたら、ランとマッチングした。

 ランの返信はとても優しくて、文体から人柄の良さが伝わった。

 その印象をランに伝えると、


「いや、そんなことないですよ。頼まれ事とか断れない、いわゆる自分の意見を言えないタイプなだけなんです」


 と返事が返ってきた。

 なので、私が「会おうよ」と誘うと、あっという間に約束が成立したのだった。

 待ち合わせ場所で初めてランを見た時の第一印象は「韓国美人」だった。黒のレースとスキニーを着ていて、体が細かった。韓国アイドルにいるような見た目に僕は驚き、ものすごく興奮した。

 実際に韓国の血が混じっているのか聞いてみたが、純日本人らしい。僕は今でもそれを信じられずにいるほど、彼女の見た目は韓国人のようだった。

 そんなランを見て、僕は急遽「お台場行かない?」と提案した。突然の僕の提案にランは一瞬戸惑っていたが、すぐに「はい」と僕の意見を受け入れてくれた。

 これまでマッチングアプリで女性に会い、何人かの女性とセックスをした。セックスをした、だけだった。その女性たちとは、それ以上もそれ以下もなかった。

 僕はランを見た時、直感的にこの子とデートをしたいと思った。僕は女性とただ会ってセックスすることに飽きていたのだ。セックスが確約されているのではなく、これからどうなって行くのだろうというドキドキを味わいたいと思ったのだ。

 そういった理由で僕らはお台場にいる。ご飯を食べ終わった後、今こうしてふたり、横に並びながら観覧車を見上げていたのだ。

 

「ランは乗りたい?」


 そう尋ねると、ランは困ったような表情を浮かべた。


「んーわかんない。隔たりに合わせる」


 デートに誘った時も、お台場に行こうと言った時も、ご飯を決める時も、ランは自分で決めることなく、全部僕の言うことを聞いてくれた。


「そしたら、どうしようかな」


 久しぶりのデートはとても楽しかった。綺麗な子といることは、セックスがなくたって楽しい。でも、このデートの後のセックスはどうなのか。僕の意見を断らないランを見て、そんな欲望が湧いてくる。


「そしたら…観覧車じゃなくて、ランの家に行こう」

「え、どういうこと?」

「ごめん、冗談」

「なんだ、びっくりしたよ」

「ごめん」

「ん?」

「やっぱ、冗談じゃないかも」


 観覧車に向けていた視線を、横にいるランへと移す。煌めくお台場の街にいる、韓国美人のような綺麗な見た目をしたラン。


「すぐにバイバイするの悲しいから、まだ一緒にいたいから、ランの家に行きたい」


 好きだ、と告白するように、僕はそう告げた。心臓が激しく鼓動を打つ。その鼓動が全身に広がるのを感じながら、僕は勇気を出してランの手を握った。

 ランはそれを、拒まなかった。そして、ランは返答に困ったような顔をして、そのまましばらく時が過ぎた。観覧車はゆっくりと、僕らを見守るように回っている。


「えっと…本当に家くるの?」

「うん、本当に行きたくなっちゃってる」

「そっか」

「ダメなら仕方ないけど、まだランと一緒にいたいから」


 僕はランの手をぎゅっと強く握った。なんだか、本当にランと付き合っているような気になってしまう。


「それなら…いいよ」


 ランは恥ずかしがった表情をしながら、こちらを向いた。その表情を見て、僕は自分を止めることはできなかった。


「えっ」


 気づいたら、唇をランの唇に重ねていた。


「んっ」


 お台場。周りにはたくさんの人がいる。それでも、止まらなかった。キスをしてしまった。

 唇を離すと、ランはびっくりしたような、戸惑ったような、けれどもどこか嬉しそうな顔で僕を見つめた。


「…びっくりした」

「ごめん、嫌だった?」


 ランは僕から目を逸らして、そして恥ずかしそうに首を振った。


「そしたら、ランの家、行こうか」


 ランの家はお台場から電車で20分、駅から歩いて10分程度のところにあった。その間、僕らはずっと手を繋いでいた。

 扉を開けて部屋に入ると、僕はランを後ろから抱きしめた。そして扉が閉まる動きに合わせるようにランが振り返り、ガチャっと閉まる音と同時に僕らは唇を重ねた。

 ランの唇は柔らかくて、安心感があった。ゆっくりとじっくりと唇は交わり、輪郭が溶けていく。僕は手を背中に回して、ランを抱きしめた。その瞬間、ランの胸が体に当たり、下半身が熱くなった。

 靴を脱いで部屋に上がり、再びキスをしながらベッドへと雪崩れ込む。ランは抵抗することなく、むしろ積極的に舌を絡ませてきた。ランの生温かいフェロモンのような息が、「あぁ」という喘ぎ声と共に体に流れ込んでくる。それを逃さないように吸い込みながら、僕はランの体を弄った。止まらなかった。

 キスを止めることなく、互いに服を脱がし合い、裸になった。ランの肌は白く、触るとモチモチしていて心地よかった。激しく主張することなく柔らかに盛り上がった胸には小ぶりな茶色い丸がついていて、それがツンと斜め上を向いていた。まるで吸ってと言わんばかりの姿に、僕は蜜に誘われる蝶のように、ランの唇から離れ、左胸の乳首の上に舌を着地させた。


「あっ」


 まだ軽く触れただけなのに、ランが体を震わせた。

 僕はそのまま片方の手で右胸の乳首に優しく触れた。すると、ランはまた体をビクンと震わせた。もしかして。

 今度は左胸に当てた舌を、乳首に触れるか触れないか程度の強さで、円を描くように舐めた。すると予想通り、痙攣を起こしたのかと思ってしまうほど、ランの体は激しく揺れた。


「もしかして、感じやすい?」


 そう尋ねても、ランは何かを我慢するように口を結んだままだった。


「乳首が好きなの?」


 そう言って僕は再び乳首を舐めた。今度はしっかりと。


「ああぁぁああ!!」


 僕は顔を上げてランを見た。ただ乳首を一度舐めただけだ。それなのに、ランはイってしまったような反応を見せた。体を縮こませるように口に手を当て、目を閉じている。


「大丈夫?」


 そう聞くと、ランは弱々しくコクリとうなずいた。

 何がどうあれ、感じてもらえるのは嬉しい。けれども、ランの感じ方は異常だった。いつもセックスの時は、こんな反応になってしまうのだろうか。

 恐る恐る僕はランの下半身に手を伸ばす。予想通り、そこはすでに大洪水になっていた。


「ああぁぁあ!!!」


 軽く指で触れただけなのに、ランは再び体を震わせた。その姿を見て、僕の体も熱くなっていく。興奮が広がっていく。

 気づけば、僕のモノは充血してしまうほど赤黒くパンパンに膨らんでいた。

 挿れたい挿れたい挿れたい。

 ここまで前戯を全くしていない。乳首を舐め、軽くランのアソコに触れただけだ。

 それなのに、ランの体も、僕の体も敏感になっている。それはいったいなぜなのだろう。

 僕は体を起こし、ランの顔の横に移動した。そして大きくなったモノを、ランの口元に当てる。ランはそれを何も言わずに、柔らかな唇をうっすらと開いて、口に含んだ。


「あああっ!!」


 ただランが口に咥えただけなのに、僕の体に電撃が走ったような快感が広がった。もう出てしまいそうだ。


「ちょ、ごめん。出ちゃうから、優しくお願い」


 ランが激しくしゃぶったわけでもないのに、思わずそんな言葉が出てしまう。ランは僕の声が聞こえたのか、舌を使ってチロチロと亀頭を舐めた。それでも、震えそうな快感が身体中に広がる。


「やば…気持ち良すぎるよ…」


 僕はランの下半身に手を伸ばし、アソコに触れた。


「ああぁぁあ!!」


 ランはまた激しく声を上げた。その声が亀頭に響き、僕の体も震えた。


「やばい…もう挿れたい」


 僕もランも互いにものすごいテクニックを繰り出したわけではない。でも僕らは、おかしいほど敏感になっていた。それはなぜなのだろう。


「欲しい…」


 コンドームを装着し、ランの股の間に体を入れた。そして大洪水になっているランのアソコに、破裂しそうなほど大きくなったモノを挿入していく。

 

「ああぁぁあああああ!!」


 モノが中に入り、奥へと進むにつれて、ランの腰が浮いていく。ランは大きく体を反らして、堪えきれない喘ぎ声を解放した。

 その声につられるように、いやつられなくても、モノに伝わる圧倒的な快感によって、僕の口からも喘ぎ声が解放される。


「あぅあぁぁぁ…やばいっ気持ち良すぎ!」


 モノが抜けないように、僕は浮いたランの腰をしっかりと持って腰を振った。


「あっ! あっ! あっ!」


 ランの体がビクビク震え、卑猥な喘ぎ声が部屋中に響く。アソコの中の肉が激しく伸縮し、モノを刺激する。狂ったような反応を見せるランに、僕も狂いそうになっていた。こんなセックスは初めてだった。こんなに「快楽」というものに没頭したセックスは。


「や、やばい! 気持ちいよ!」

「むり! むり! むり!」


 僕らは狂ったように叫び、交わりあった。互いの下半身は火傷するほど熱くなっていた。


「ラン!」


 名前を叫び、体を倒してキスをした。激しく舌が絡まり合う。舌も、唾液も、喘ぎ声も、震えも、快楽も、全てが交わり合って、ぐちゃぐちゃなまま、ひとつになっていく。


「イクよ!」


 そして僕はランを抱きしめキスをしたまま、彼女の中に精を放ったのだった。


「はぁはぁはぁ」


 僕がイった瞬間、ランの体はブルブルと痙攣した。その震えが皮膚の表面から僕の体に伝わってくる。いつもセックスが終わった後、イったかどうかを確認してしまいたくなるが、今回はその必要は全くなかった。

 ランは体を震わせたまま、目をつぶってぐったりと倒れていた。同じように僕もランの横に寝転がった。

 デートをした後、家に入った。家に入った瞬間、すぐにキスをした。そのまま、止まることなく最後までシた。シャワーも浴びてない。じっくりとした前戯もしていない。それでもこんなに震えてしまうほど感じてしまった。こんな経験は初めてだった。


「ラン、大丈夫?」


 そう声をかけると、ランはうっすらと目を開けた。


「だいじょうぶ…」


 僕はランのお腹、子宮のある場所に手を置いた。ランの体はまだ、軽く震えていた。


「ランって、感じやすいの?」

「ん…自分でもよくわからないんだけど」


 目と目が合った。


「こんな気持ちになったのも、こんなに感じたのも久しぶりな気がする…」

「こんな気持ち?」

「なんか、勝手に気持ちが盛り上がっていくのを止められないような、あったかい気持ちというか」

「それは、俺も一緒だ。止められなかった」


 お腹を触っている僕の手に、ランの手が重なった。そして、ランは囁いた。

 

「もしかしたら、デートしたからかも」

「ん?」

「デートしたから…。デートしてからの…うん、久しぶりだったから」


 ランの言葉を聞いて、ここ最近にしたセックスの記憶が頭を駆け巡った。どの記憶も、女性と会った瞬間にその子の家かラブホテルに行き、セックスをしていた。セックスの前に、デートなんかしていなかった。たしかに、僕もちゃんとしたデートをしてからセックスをしたのは久しぶりだった。


「たしかに、俺もそうかもしれない」


 思わず、そう呟く。


「デートするの久しぶりだった」

「そうなんだ。私も久しぶりにデートした」


 ということは、ランも僕と同じように、デートをせずにセックスをしてきたのだろうか。ランは優しくて中々断れない性質があるから、なんとなくそれは予想がついた。


「久しぶりのデート…凄く楽しかった」


 ランはそう言って優しく微笑んだ。その表情は韓国人のような綺麗な笑顔ではなく、幼い子どものような可愛らしい笑顔だった。

 僕らはふたりとも、今日が久しぶりの異性とのデートだった。デートと言っても、ご飯を食べて、観覧車を一緒に眺め、手を繋いで帰った程度だ。

 でもその穏やかなデートは僕らにとって特別な時間であり、久しく味わってなかった喜びを思い起こさせてくれるものだった。

 デートが、前戯だったのだ。

 デートという前戯をしたから、僕らの体は敏感になった。もうたっぷりと、互いの気持ちを愛撫し合っていたのだ。


「そうだね。俺も楽しかった」


 そう僕も微笑んで、唇を重ねた。そして裸のまま、互いの肌を重ね合わせるように優しく抱きしめた。


「セックスも最高だった」


 セックスは挿入だけではない。裸でするものだけではない。性器を愛撫するだけのものではない。セックスは、デートから始まっているのだ。


「このまま、寝る?」

「うん…そうする」

「じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみなさい」


 布団の中で抱き合い、僕らはそのまま眠りについた。

 ランと待ち合わせしてから今この瞬間まで続いた長い長いセックス。そのセックスが息を引き取るように、静かな夜に溶けていった。

 翌朝、目を覚ますと、横にランはいなかった。

※後編はコチラ↓

隔たりセックスコラム「ベッドインと事後<後編>」 隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。 ※『セックスの始まりと終わり:前編』  目を開けると、締め切ってないカーテンの隙間から日の光が部屋に差し込んでいるのが見えた。  その光は部屋の壁をつたい、僕の寝ているベッドへと伸びていた。ベッドの上を通過している光の道筋に触れると、温かさを感じる。この温かさは日の光のものか、それとも横に寝ていたランの温もりか、どちらなのだろう。  横にランがいない。  昨日の夜、このベッドでランとセックスをした。そして、そのまま一緒にベッドで寝たはずなのに、起きると彼女はいなかった。  ここはどこだっけ、と寝起きの頭を働かせて、そういえばランの家だよな、と思い出す。いったいランはどこに行ってしまったのだろうか。  布団から出て、ベッドを降りる。ベッドの下には服が散乱していた。僕は自分の下着だけを拾って履く。そこにはランの服もバラバラに散らばっていた。  お手洗いに行こうと廊下に続いているリビングの扉を開けた。すると、洗面所の方から、かすかに音が聞こえた。何の音だろう。僕は尿意を忘れ洗面所の扉を開く。シャワーの音が耳に飛び込んできた。   「ラン」    寝起きの僕の声はシャワーの音に簡単に埋もれた。   「ラン!」    少し大きめの声で呼ぶとシャワーの音が止まった。   「あ! 起きた?」    透明のザラザラとした浴室の扉から、ランの体のラインがうっすらと見えた。僕は昨日、この体を抱いた。それを思い出して股間が少しうずく。   「起きたよ。おはよう。ランがいないからびっくりした」 「あ、ごめん。昨日、お風呂入ってなかったなと思って」    ランの声が浴室に反響する。エコーのかかったような優しい声と、ランがいることに安堵した。   「そしたら…オレも入っていいかな?」 「もうすぐ出るから、いいよー!」    一緒にお風呂に入ってイチャイチャしたいという欲望は、ランの純粋な声によって儚く消えた。まあ、仕方のないことだ。  ランに「タオルを取ってほしい」と言われ、浴室の隣にある洗濯機の上に置かれたタオルを取り、扉を開けて隙間から渡した。ランは簡単に体を拭くと、温泉リポーターのように胸からアソコが隠れるようにタオルを巻き、浴室から出てきた。   「おはよう」    肌が白いランは、濡れた髪がセクシーで体がものすごく綺麗だ。  ランと入れ替わるようにして浴室に入る。シャワーを出し、体を流す。ボディソープを手に取り、しっかりとモノを洗った。  部屋に戻ると、ランはもうすでに部屋着に着替えていた。ベッドに腰掛け、ドライヤーで髪を乾かしている。床に散乱していた服も綺麗にたたまれていた。僕はランの横に座り、髪が乾き終わるのを待った。  ランは髪を乾かし終わると、「ご飯食べる?」と僕に聞いてきた。   「朝ごはんは食べないんだ」 「そうなんだ」 「…っていっても、もう昼くらいだけどね」    部屋の壁に掛けられた時計を見ると、短針が「11」、長針が「6」を指していた。   「ほんとだ。もうこんな時間!」 「ランは食べる?」 「うん。パンでも食べようかな」    そう言ってベッドから立ち上がろうとしたランの手を、僕は反射的に握った。   「ん、どうしたの?」 「いや…なんか…」    ランは再びベッドに腰を下ろした。そして手を握り返してくれた。   「まだ、こうしたいなって思って」    そう言った僕を見て、なんか可愛い、とランは微笑んだ。   「そういえば…ランは今日、予定ある?」 「夕方から友達と遊ぶかな」 「そっか。何時くらいに出る?」 「えーっと、14時半くらいかな」    14時半。ランがこの家を出るまで、あと3時間もある。いや、3時間しか、ない。   「隔たりは? 予定ある?」    僕はニートだから、これといった予定はない。今日もランの家に泊まってセックスしたいという淡い期待はあったが、ランに予定があるのなら、ここは素直に帰るべきだろう。   「オレもそんな感じだから…ランが出るときに一緒に出るよ」 「うん、わかった。じゃあ、それまでどうする? ご飯食べる?」 「あ、いや…」    ランが家を出るまで、あと3時間。   「あ、ごめんごめん。起きてすぐはご飯食べないんだっけ」    一回くらいなら、セックスができるかもしれない。   「…食べたい」 「ん? 食べる?」 「ランを、食べたい」    もう一度セックスをしたい。僕はそんな希望を込めて、横にいるランの唇にキスをした。ランの口からは、ほのかにミント味の歯磨き粉の香りがした。   「私を食べたい?」    唇を離すと、ランは困ったように笑った。   「そう、食べたい」 「それってどういう意味?」    ランは照れながら笑っている。その表情を見るに、「食べる」がそういう意味を指すか、わかっているのだろう。   「ランともう一回、セックスしたいって意味だよ」    今度は誤魔化すのではなく、ストレートに告げた。   「でも…友達とご飯あるし」 「まだ3時間あるよ」 「そうだけど…」    僕は繋いでいた手を離して、ランを抱きしめた。   「お願い、しよう」 「…」

(文=隔たり)

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