改称、法改正、伝染病に翻弄された時代 ~ニッポンの風俗史#11~

ソープランド壊滅…悪魔の伝染病


 昭和61年(1986)、改称して新たな船出をしたばかりのソープランド業界に激震が走った。日本初のエイズ患者が出たのだ。

 当時、エイズは不治の病とされ、罹患したら死は確実の伝染病だった。しかし、当時の情報では、エイズはホモセクシャルや白人しかかからない病気という嘘の情報が伝わっていたため、風俗業界も油断していた。そこに、日本人が罹患したというニュースは衝撃的で、風俗店、特にソープランドを襲った。

 本◯が暗黙の了解となっているソープランドの中には、生中出しできる女のコもいる。実際、エイズ禍以前の吉原には、1万円程度の激安店でも生で挿入してくる女のコはざらにいた。エイズ禍により、ソープランドは開店休業が続き、その代わりファッションヘルスが潤ったと言わている。

 さらに松本のフィリピンパブで働いていたフィリピン人女性がエイズに感染していることが報じられると、その女性とセックスをした男性が追求されたり、松本ナンバーのクルマが避けられるなどの事例が発生した。

 しかし、両件とも患者はHIVに感染していたのであって、エイズを発症しているわけではなかった。当時はエイズとHIVの違いもよくわからなかったため、このような誤解が生まれてしまったのだった。

 そしていよいよ日本はバブルの時代に突入していく。毎夜、札ビラが舞う時代にある風俗が芽生えた。その新しい風俗とは…!?

 続く。

〈文/松本雷太〉


<参考文献>
・excite.ニュース 深笛義也
・「戦後性風俗大系 わが女神たち」小学館 広岡敬一著
・「フーゾク進化論」平凡社新書 岩永文夫著
・「フーゾクの日本史」講談社 岩永文夫著
・「日本風俗業大全」データハウス 現代風俗研究会著

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