美咲かんなエッセイ:ふしだらな気持ち「言霊と相棒」

 美しい花には棘がある――。誰もが備える多面性を表現したこの言葉。特に男を惑わす美女には危険な一面がある、という男の自戒的な意味を表しているわけだが…。勝手に舞い上がって棘が刺さってしまうのは男のせいとも言える。美女は美女で悩むことも多いのだ。AV女優・美咲かんなも悩み多き美女のようで…。美しくもどこか陰のある彼女が、素直な気持ちをふしだらに綴る。

 

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美咲かんな

 

 盆が過ぎ、テレビの天気予報では毎日厳しい残暑だという話をよく耳にするようになった。ここ10年くらいは暑い時期が長引く印象が強く、盆の前後に立秋といわれてもピンとこない。残暑というのは建前で、まだまだ夏本番という気分だ。体感では10月くらいの暑さこそ残暑というイメージではないか。

 言葉というのは不思議なもので、時代や背景とともに変化していく。「雰囲気」を「ふいんき」と読んだり「ら抜き言葉」を常用したり、国語のテストの解答であれば不正解とされるような表現でも、会話の上では柔らかさや親しみを表すのに都合がいい場合もある。なるべく正しい言葉を使用するように心掛けてはいるが、伝えたいことさえ伝われば、例えそれがビジネスの場だとしても、神経質になる必要はないのではないかと思う。

 とはいえ、意味や使い方を間違えてしまうことによって、相手を不快にさせてしまうことはある。気軽に言葉を発信できる今だからこそ、性格だとか言論の自由だとかで済まさずに「言葉」を選び考えることが大切だ。

 私は物書きとしても女優としてもド素人ではあるが、自分らしさと感情をどうすればうまく言葉にできるかをよく考える。作品で役を演じるときも台本の台詞の言葉遣いに違和感があると、すかさず監督に相談をする。語尾を変えたり、言葉自体を変えたり、自分の納得できる台詞に直しながら演じていくのだ。場合によっては一言一句違わない台本のままでと頼まれることもあるが、ほとんどの場合は話し合いに応じてくれる。面倒くさいと思うかもしれないが、それがまた面白いところだ。

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 ところで、君たちは自分の名前を気に入っているだろうか。私は名前というものにもこだわってしまう癖がある。「名は体を表す」という言葉があるが、言霊みたいなものがなんとなく存在しているような気がするのだ。言葉遣いとはまた違うけれど響きや字面、意味など、名前には付ける人の個性が出る。ある意味ひとつの表現だ。一生背負っていくような大切なものなのに、大半の人が自分で自分の名前を付けることができないというのがなんとも皮肉ではあるが。

 「美咲かんな」という名前はデビューする前に当時のマネージャーからもらったものだ。漢字と平仮名の組み合わせは好きだが、「かんな」という平仮名のバランスをとるのが苦手なため、自分だったらこの名前にはしていなかっただろう。

 「美咲」の方は末広がりっぽさと字の書きやすさが気に入ってはいるが、何といっても「美しく」「咲く」である。マネージャーの願いだったのかもしれないが、名前負け感が否めず苦しい。全体の響きは正統派っぽさと明るさのあるようなイメージで、これまた似合っているのかどうか何とも言えない。

 デビュー当時は業界のこともわからず手探り状態で、マネージャーに対して自分の意見を言うこともできなかった。今だったらもっと自分は違う字の方が書きやすいとか、イメージが違うとか言えただろうか。

 とはいえ、この名前が気に入っていないわけではない。6年の年月を共にして、かなり馴染んできた。今では大事な相棒である。事情により旧事務所とマネージャーの元を離れてからも、変わらずずっと一緒だ。

 名付け親である当時のマネージャーは、直接の関わりがなくなってからも私のことを忘れずにいてくれたという話を人づてに聞いて嬉しく思っていたのだが、少し前に病でこの世を去ってしまったらしい。会うことも話すこともきっとなかっただろうけれど、訃報を聞いたときはやるせないというか、何とも言葉にし難い気持ちになった。

 夏は「美咲かんな」という名前をもらった季節でもあり、初めてカメラの前に立った季節でもある。作品の発売とデビュー自体は冬だが、私にとっては夏の方が思い出深い季節なのだ。

 このエッセイの初回にも記したように、華やかさとはかけ離れた私である。美しく咲ける自信はないが、「あれからもまだまだ頑張っているよ」と、柄にもなく入道雲の向こうに呼びかけてみる。嗚呼、夏はまだまだ終わらない。

美咲かんな

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【美咲かんな】
生年月日:1994年7月3日
スリーサイズ:T158・B85・W58・H88(cm)
公式Twitterはコチラ

 6月某日、私は第3回目のエッセイの内容をどうするか悩んでいた。連載が始まってひと月も経たないというのに、既にスランプ気味である。どうにか絞り出した文章を打っては消し打っては消し、思い悩んでいると突然テレビから「うどんは青春の味」という力強い言葉が聞こえてきた。

 犬の散歩に出かけた際、近所にひまわりが咲いているのを見つけた。今年は花見もせず、季節というものに鈍感であったが、犬の散歩は昼から夜へと変わり、半袖短パンでも寒くはない。ニュース番組では夏日だとか梅雨入りだとか、そんな話をしている。気づけば夏至もすぐそこまできていたのだ。

 美しい花には棘がある――。誰もが備える多面性を表現したこの言葉。特に男を惑わす美女には危険な一面がある、という男の自戒的な意味を表しているわけだが…。勝手に舞い上がって棘が刺さってしまうのは男のせいとも言える。美女は美女で悩むことも多いのだ。AV女優・美咲かんなも悩み多き美女のようで…。美しくもどこか陰のある彼女が、素直な気持ちをふしだらに綴る。

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