【元デリヘル店長の回想録】風俗嬢たちの狂った金銭感覚


【ある程度安定すると、日々の生活の出費に鈍感になってくる】

 私が店長を務めていた頃に知り合ったA子というキャストは、風俗業を始めたことによって元の金銭感覚を取り戻せなくなりました。

 19歳の未経験キャストとして入店したA子は、愛くるしいルックスのおかげで、あっという間に人気嬢になります。

 今まで専門学生として細々とパートと仕送りでやりくりしていた彼女の生活は一変し、高級マンションに住んだり、美味しい食事を食べられるようになりました。

 人間の金銭感覚とは怖いもので、今まで外食の予算が1000円前後だったのに対し、入ってくるお金が増えて生活水準が上がると、1回の外食で5000円使うのが当たり前になってきます。

 金銭感覚の違いという言葉を聞くと、高級なバックやアクセサリーなどを買いあさる人のイメージが頭に浮かびますが、本当に差が浮き彫りになるのは、上記の様な日々の固定費の上昇なのです。

 良いマンションに住めば家賃は大きく上がりますし、1回の食事代が2000円増えれば一カ月で6万円あがります。

 それでも金銭に対しての危機感が持てないのは、風俗という仕事の特徴でもある、当日に給与が支給されるシステムのせいでもあるのです。

 風俗のほとんどのお店が、その日働いた給料がその日のうちに全額貰える“完全日給制”で、「お金を使う」「お金がなくなる」「お金を稼ぐ」というサイクルが、風俗嬢の中に根付いてしまっているのです。

 そのせいで、風俗嬢の出勤スタイルは「お金が少なくなってきたから働く」が多くなっています。

 もちろん、生活費としてではなく、借金の返済や何か目標のために働いているコには当てはまりませんが、そういうのは実に稀。多くの場合が、日々の生活費のために働いているのだと言えます。

 さて、そんな日銭を稼ぐスタイルを続けていたA子ですが、3カ月程で人気は失速します。

 業界未経験の新人が新たに入店してきたこと、そしてA子自身にお客様の指名を返せる力がなかったことが原因でした。

 見る見るうちに彼女の収入は激減し、最後には1日8000円の日当で帰る様になったのです。

 しかし、彼女は自分の生活水準を下げることができず、店を辞めて、単価のいいソープや裏風俗に転身しました。

 しかし、もともと接客技術を磨いてこなかったキャストなので、より高い接客技術が必要とされるソープで通用するわけもなく、裏風俗に行っても売れませんでした。

 結局、あらゆるところからお金を借りて首が回らなくなり、どこか地方に夜逃げしたと聞いています。

 金銭感覚が狂うことで本当に怖いのは、あとから修正しづらい“生活水準が上がってしまうこと”だと言えます。

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