風俗とは試行錯誤の歴史! “ノーコミュニケーション”をコンセプトにした店


 それは都内某所を拠点とする“女の子がアンドロイドだったら”というコンセプトのデリヘル。店に電話すると、スタッフの対応はとても丁寧で、フレンドリーですらあった。正直なところ、“ノーコミュニケーション”を謳うのであれば、受付も精算もネットで処理して、接触がまったくなくてもいいのでは、と思わないでもなかったが…。

 手続きもろもろを済ませ、ホテルの部屋で待っていると、一人の女のコ…いや、一体のアンドロイドがやってきた。

 まずは、課金(プレイ料金の支払い)をすると、無表情で部屋へと進入してくる。そして、少し足を開いて、格闘技でいうところの自然体の構え的な感じで立つ。どうやら、これは「脱がせろ」ということらしい。そして、それを考慮してか脱がせやすいワンピースを着ていた。

 背中のファスナーをおろすと、ハラリとワンピースが彼女…いや個体の足元に落ちた。そして、ブラを外すのもユーザーの役目であるが、ドキドキしているのは筆者だけ。普通の風俗であれば、ブラのホックを外した瞬間に女のコの恥らう表情などを楽しめるものだが、一切表情も変えなければ微動だにもせず。…味気ない。しかし、“プロ意識”を感じさせるのも確かだ。

 裸になると、こちらが「シャワーをお願い」といえば一緒にシャワールームへ行き身体を洗ってくれるし(機械なのに水分は大丈夫なのか?)、ベッドでは「キスをして」とか「乳首舐めして」といった感じで指令を出すと、そのように動いてくれるのは、まさにアンドロイドである。

 そんなアンドロイドの回路が軽くショートしてしまったのが、フィニッシュ前のこと。そろそろ時間が迫っていたので、「フィニッシュをお願い!」と指令を出すと、動きが止まってしまったのだ。どうやら『フィニッシュ』という表現だけでは理解できないようだ。つまり、「フェラをしながら乳首をいじってイカせて!」とか「キスしながら手コキでフィニッシュ!」とまで指令をださなくてはいけないようだ。

 「高速フェラでフィニッシュ」という指令を出すと、無表情のまま筆者の股間に顔をうずめてパックン! このままだとオーバーヒートを起こすのではないか、と思わせるほどのフェラで、無機質のはずなのに生暖かい口の中が心地良く、思いっきり発射してしまった。

 その後、シャワーを浴びる時も無言・無表情であったが、部屋を出る時に最後に軽く会釈をしたことだけが、ある意味で“生身感”を出した瞬間でもあった。

 プレイの感想としては、コミュニケーションがないということに違和感を覚えるが、指令を与えて快感に導いてもらえることは、ある意味でSM的なのかもしれないと思った。そして、こうなってくるとスペックとして重視されるのは、「ヌク」ことを最優先で考えた場合、やはり“手際の良さ”なのかもしれない。

 いかに流れるようにヌクか、が重要なスキルだなんて、正直なところ、味気ないというか…。しかしながら、指令を出せば、その通りに動くというコンセプトは、筆者のような四十代中盤のロボットアニメ直撃世代にとって、楽しめる部分があったのも事実である。『未来型風俗』というイメクラだと思えば、ノーコミュニケーション風俗でも楽しむ余地は大いにあるだろう。
(文=子門仁)

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