吉原の泡姫に蔓延する「五年後不安症候群」とは?


 ちなみに“大阪の一件”とは、1990年に大阪で開催された『国際花と緑の博覧会』(通称:花博)に関連する大阪府条例の改定のことだ。この際に「全特殊浴場の営業許可を認めない」となり、大阪府警によってソープランドの一斉排除が行われたのだ。その結果、現在、大阪府には一軒も存在しない。

 その結果、ソープランドだった物件は、建物の特徴を生かしてマットヘルスになったり、ラブホに鞍替え。そして、店自体はホテルヘルスに業種変更をして、そのラブホを利用するということになる。それが現在、大阪にマットヘルス店やM性感店が多くなっている一因ともいえる。

 さて、話を東京に戻そう。前出のT氏によると、現段階で都からの警告めいたものはないという。しかしながら、「吉原の存続は可能性として半々としか言えません。また、吉原だけではなく、新宿や池袋のソープ。さらには川崎の堀之内もターゲットにされる可能性もある」とのこと。

 それでは、仮にソープランドとしての営業が禁止になったら、大阪のようにマットヘルスやラブホに鞍替えするのだろうか?

 
「実は店によっては“これを機に”と店じまいを考えています。と言うのも、長年の営業で建物が老朽化している店もあって、いっそのこと…という流れです。改修して他の風俗業種に変えるという考え方もありますが、改装費用を考えると…。集客を見込めるという勝算があれば話は簡単ですけど、最近の風俗離れを考えると難しい」(T氏談)

 
 実は、これは吉原だけの問題ではなく、東京各地の店舗型風俗店にいえること。改装費用をその後の経営で回収することができるのか? もしくは土地や建物を売却したほうが今後の利益よりも儲かるのか? 立地条件によっては、後者のほうが得だと考えるオーナーもいることだろう。

 
「ですから、吉原だけではなく、都内で働く風俗嬢は次の一手を考えて関西以外の地方の店を狙っている子も多いです。ある程度の指名があった子は“東京で人気だった!”という肩書きの神通力も地方だと通じますからね。実際に都内で配布している風俗求人誌に地方からの広告が出始めています」(T氏談)

 
 いずれにしても2020年に向けて東京の風俗界は動き出している。あと5年もあるのか、もう5年しかないのか? はたしてどちらなのだろうか…。
(文=子門仁)

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