アートとエロの境界に佇むアーティスト・口枷屋モイラ! 中毒性の高い“妖艶でポップな世界観”

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――小説の世界観を表現したようなビジュアル本に興味が向かったわけですね。

「最初は単純に写真っていいなぁ、綺麗なものをずっと眺めていられるのはいいなぁと思っていただけなんです。でも、だんだんその写真の中にあるストーリーのようなものを考えると面白くなって、自分でも撮りたいと思うようになりました。ちょうど家に35mmのカメラがあって、最初はそれで撮り始めたんですよ。高校生のころでしたね」

――フィルムだったんですか。

「いちおうフィルム現像から焼付けまでひと通りできます。自分で暗室にこもって作業していましたから。そのころは風景とかをよく撮っていました」

――いまは人物がメインですよね。

「フィルムカメラの後に使い始めたのが、当時としては珍しいレンズが自分のほうに向けられるタイプのデジタルカメラで、それがきっかけで自分のことを被写体にするようになりました。大げさなものではなく、考えているものをカタチにして残しておきたいという軽い気持ちだったと思います。特に誰かに見せるわけでもなかったですからね。人に見てもらうことを意識するようになったのはネット環境が整ってからかな。家にパソコンとペンタブとフォトショップがあったので、撮った写真を少しイジってミクシィとかで公開していました」

――どんな作品だったんですか?

「耽美的で退廃的な作品が多かったと思います。それから段々と血まみれの写真とか縛ったものとか(笑)。完全に今まで読んできた本や写真集とか映画で体験した知識の影響ですね。ボールギャグなどを中心にしたポートレートや自縛などが多く、ちょっと偏ってたかも(笑)。露出こそ少なかったですが、今よりかなり刺激的で派手なものを撮っていた気がします。そのときはまだ作家性やオリジナリティっていうものがなかったように思います」

――モデルは自分?

「大学に入ったあたりから友だちとかにモデルを頼むようになりました。自分でサイトを作ったころですかね。19歳くらいだったと思います。ホームページビルダーでせっせと構築したサイトで写真を公開するようになって、見てくれる人のことを意識するようになりましたね。当時は胡子(ココ)っていう名前で活動していました。今もノーブルと少女をテーマにした作品の際には胡子名義でクレジットしています」

――写真家・胡子の誕生ですか。

「プロっていうわけじゃないですけどね。学生時代はフリーペーパーの作成とか自主製作映画とか、いろいろやっていました。西洋服飾史を勉強していた関係でファッション系のイベントとかにも参加していましたね。それから、京都にあった『VISONA VISIERI』というSMラウンジでアルバイトをしていて女王様もやっていたんですよ。これも子どものころからの読書の影響でしょうか(笑)。お店のママがコルセットのデザイナーでもあったのでパリやモントリオールで開催されたフェチ系イベントのファッションショーでお手伝いをさせていただくなど、とてもよい経験をさせていただきました。『VISONA VISIERI』ではいろいろな人に出会うことができて、たくさんのことを学ぶことができました。あのころに経験したことはすべて、私にとってとても大切な財産となっています」

 

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