勘違い医者が片想いの女性に切断したペニスを送った事件


 お払い箱になった後も、ただではすまなかった。「芸者にとんでもない物を送りつけたバカな医者」と指差されるようになり、評判は最悪に。その世間の目に耐えられず、ついに東京を引き払い横浜へと引っ越すハメとなった。そこまでの状況になることが、少しでも想像できなかったのだろうか。医師という以前に、人間として問題がありそうな人物である。

 そして、たしかに人間としてちょっとダメな部類だったようだ。横浜に移ってからも医師の仕事をしていたが、そこでも女性がらみのトラブルが続出したらしい。女性に対して目に余る行動を繰り返していたようで、挙げ句は、近隣の女性たちからは「あの先生の診察だけはまっぴら」と悪評が広がり、おまけに同業者たちからも嫌われる有様。さらに、知人のとりなしで資産家の娘さんと結婚したものの、嫁さんの実家にカネをせびったり、同業からもまったく人望のないことが発覚したりして、結局は強制的に離婚させられたという。

 明治時代でも医者はエリートだったわけであるが、品性下劣で人格的に問題ある人物は少なからずいたことは、このケースを含めてさまざまな事例が物語っている。まあ、エリートだからといってやすやすと信用してはいけないことは、現代もまったく同じということだ。
(文=橋本玉泉)

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