大人たちに翻弄される平均年齢12.6歳のアンドロイドアイドルとは?

──「UF」のコンセプトからお聞かせください。

 アイドル市場が供給過剰になっていたので、その中でのブルー・オーシャンを狙おうと。戦略的には3つあって、差別化する、ニッチを目指す、あと海外を視野に入れてというのも当初からありましたね。

──アンドロイドという設定も差別化を狙って?

 そうですね。ファーストのジャケットはメンバーの手足がバラバラに分解している写真で。TOWER RECORDSさんに見せたら、「勘弁してくれ、これでは置けない」と(笑)。それで一般流通がなくなってしまって、ある意味レアものになっちゃいました。Amazonでは買えますけど。

──大変ですね…。メンバーも笑えないのが大変だと言っていましたが?

 アイドルファンが無表情を求めていないと痛烈に感じたので、今は感情チップを搭載して笑顔にもなれます。後付けにはなりますが、スタッフに『スタートレック(※1)』好きがいて、アンドロイドの成長もアリじゃないかと(笑)。 
 

0313underface_live01.jpg無表情で踊り歌うUNDER FACE

──率直にうかがいますが、派生系部活ユニットということで「重音部/BABYMETAL」は意識されました?

「さくら学院」さんと「BABYMETAL」さんの関係性というのは構造的に見習う部分が多いなとは思っていました。ただ、上司から「電音部で行こう」って言われたときは、まんま過ぎて正直驚きましたけど(笑)。

──音楽性で「Perfume」を意識した部分は?

 それは意識していませんでした。もともと音は「アンダーワールド(※2)」や「ダフト・パンク(※3)」を狙っていたんですね。だた、それをアイドルファンにも受け入れられる形にしていったら、無理が生じてしまったかなと反省もしています。どちらかといえば、意識していたのはボーカロイドの方ですね。

──海外からの反響は予想通りですか?

 正直、戦略はかなり練りましたからね。情報がないまま出しても仕方ないので、曲を作って、プロモを作って、Facebookを作ってという状態にしてから海外に発信したんですよ。だから成功したのかなというのはありますね。

──今後は世界進出も視野に?

 Twitterでリツイートの8割強が海外からなんですよ。特にインドネシアが多いんですが、もう海外でもCDはなかなか売れないので、現地に行ってライブをするしかないんですけどね。 
 

0313underface_kaigai.jpg海外ファンが作成したマンガ

──新曲はかなりキワドイ内容のようですが?

 最初の楽曲『SKY TOWER』でゴリゴリのエレクトロをやって一部批判されたんですけど、『WALL BREAKER』でポップにしたら良い意味でも悪い意味でも批判が出なくなっちゃって(笑)。だからこそ、もうちょっと攻めたものにしたかったっていうのはありました。そんなときに『The Pusher(※4)』を耳にして、これいいじゃんって。プッシャーって麻薬密売人の隠語だけど、“推す人”って捉え方もできるよねって制作チームに話したら、みんな乗り気で(笑)。ファンからしたらイヤな歌かもしれないですけど、そこは面白がってくれたらいいなとは思っています。もう、すでに厳しい意見も耳にしていますが(笑)。

──これからの「UF」をどうしていこうと?

 昨年の3月にデビューして次のライブは8月ってアナウンスしたら、ファンの方々から「やる気あるのか」って怒られまして(笑)。でも、時間をかけて着実にクオリティを維持しながらやっていきたいなと思います。ただ、ワンマンライブ2回しかやっていないですからね。着実とは言っても忘れられないようにしないといけません(笑)。

──最後に、幼い少女たちが戸惑う姿を観ていると操り人形のようにも思えてしまうのですが?

 それは設定として狙っていることでもあります。ピグマリオンコンプレックス(※5)ってあるじゃないですか。だから最初は衣装もカタンドール(※6)を目指したんですけど、美術スタッフが大変そうなので止めました(笑)。ボークス人形(※7)の怪しさが出せたらとか色々と研究もしたんですけどね。 
 

0313underface_live03.jpgアンドロイドにしてマリオネット?

──これからも試行錯誤をしながら?

 今後も運営もアイドルもお客さんも三位一体になって成長していければいいなと思います。ただ運営側としては試行錯誤を言い訳で終わらせないように、そこはエンターテイメントとして楽しめるようにしていきたいですね。

 「UF」は楽曲、衣装、プロモーションのどれを取っても他のインディアイドルと比べてクオリティが非常に高い。「アイドルはドラマが必要」と語るプロデューサーら運営が試行錯誤を加えながら、メンバーもそしてファンも成長していけば、新たなるビッグウェーブを巻き起こせるのかもしれない。
(取材・文=児玉陽司)

※1:アメリカのSFテレビドラマ
※2:イギリスのエレクトロニックバンド
※3:フランスのエレクトロ・デュオ
※4:カナダのロックバンド「ステッペンウルフ」の代表曲で、映画『イージー・ライダー』の挿入歌
※5:人形偏愛症を意味する用語
※6:天野可淡が制作した球体関節人形
※7:模型メーカーであるボークスが手掛けた球体関節人形

■UNDER FACE
新曲『Mr.PUSHER』は4月発売

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